生物物理学

生物物理学 · 23.03

水の相図

Phase diagram of water

🧠 常圧近傍の氷Ih–液体水の固液(solid–liquid coexistence curve)は傾きが負である。 氷Ihのほうが液体水より体積が大きいため、圧力を上げると融解が促進される。ただし高圧氷を含む他の固液境界まで一様に負勾配ではない。1 2

液相・固相の境界が通常物質と異なる傾きをもつ理由は、水の密度異常と氷の開いた水素結合構造から説明できる。相境界そのものは熱力学的平衡条件として読む。

相図の読み方

は温度と圧力に対して安定な固相・液相・気相を示す。上では2相が平衡共存し、では3相、では液相と気相の境界が消失する。

=関係(Clausius–Clapeyron relation)はの傾きを与える。

dPdT=ΔHTΔV\frac{dP}{dT}=\frac{\Delta H}{T\Delta V}

氷Ihの融解ではΔH>0\Delta H>0だが、液体の体積がより小さいためΔV=Vliquid−Vsolid<0\Delta V=V_{liquid}-V_{solid}<0となり、dP/dT<0dP/dT<0である。水には多数の氷多形があり、この符号関係は境界で個別に評価する。1

flowchart TD
  A["氷は液体水より体積が大きい"] --> B["融解で ΔV < 0"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Clausius'>クラウジウス</span>=<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Clapeyron'>クラペイロン</span>関係"]
  C --> D["固液<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coexistence curve'>共存曲線</span>の傾き < 0"]
  D --> E["圧力↑で融点↓"]

💡 相境界は「相が変わる線」だけでなく、2相のが等しい平衡条件を表す。このポテンシャルの考え方は熱力学ポテンシャルへつながる。

まとめ

  • はP–T条件と安定相の関係を示す。
  • 常圧近傍の氷Ihの融解曲線は、その低密度性により負の傾きをもつ。
  • 傾きは=関係(Clausius–Clapeyron relation)でと体積変化へ結びつく。

出典

  1. 1.Quantum-mechanical exploration of the phase diagram of water(Nature Communications・2021)水に多数の安定な氷多形と相境界が存在すること閲覧 2026-08-21
  2. 2.Water: A Tale of Two Liquids(Chemical Reviews・2016)水の豊富な相図と液体・アモルファス相を含む複雑な相挙動閲覧 2026-08-21