生物物理学

生物物理学 · 28.01

呼吸器系の伝導部とガス交換部

Conductive and gas-exchange parts of the respiratory system

🧠 は、空気を肺胞まで運ぶと、血液との交換を行う呼吸部に分けて考える。 は気体の加温・加湿・浄化にも関わるがガス交換には直接参加せず、その容積はとなる。

伝導部と呼吸部

は鼻腔からまでで、気管、気管支、を含む。これに対し呼吸部は、、肺胞からなり、薄い肺胞―毛細血管障壁を介してガスが移動する。したがって、が空気を動かしても、肺胞まで届かずに残った分はガス交換へ寄与しない。

を考えるときはから量を引く必要がある。浅く速い呼吸では、が保たれていても一回ごとにが占める割合が増え、肺胞へ届くな空気が少なくなりうる。

気道分岐と流れの抵抗

円筒内の近似では、は–の法則から次のように表せる。

Raw=8ηLπr4R_{aw}=\frac{8\eta L}{\pi r^4}

η\eta は気体の率、LL は管長、rr は半径である。半径が4乗で効くため、の収縮、、分泌物によるわずかな狭窄でも、一つの気道の抵抗は大きく増える。ただし実際の肺は分岐管が並列につながるので、は個々には細くてもが大きい。式を一本の硬い管へ無条件に当てはめず、分岐数や呼吸に伴う径変化も考える。

ガス交換面までの連続した過程

flowchart TD
  A["鼻腔から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='terminal bronchiole'>終末細気管支</span><br>加温・加湿・浄化"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anatomical dead space'>解剖学的死腔</span><br>交換には直接参加しない"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='respiratory bronchiole'>呼吸細気管支</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alveolar duct'>肺胞管</span>"]
  C --> D["肺胞へ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fresh'>新鮮</span>な空気が到達"]
  D --> E["肺胞―毛細血管障壁でガス交換"]

換気は空気を交換面まで運ぶ過程であり、拡散は膜を越える過程である。は前者を障害し、の肥厚や面積減少は血液―肺胞間のガス交換を障害する。この区別により、同じ低酸素でも原因となる場所を切り分けられる。

病態を構造から読む

  • 喘息ではやにより気道半径が減少し、主にの抵抗が上がる。
  • 肺気腫ではの虚脱に加えてが失われ、呼吸部の交換面積も減少する。
  • 肺炎や肺水腫では肺胞内に液体が増え、換気と拡散の両方が損なわれうる。

まとめ

呼吸器の力学とガス交換は、気道・肺胞の構造、、換気、拡散を分けて扱う。12

  • は空気を運び、呼吸部は肺胞―毛細血管間の交換を担う。
  • の容積はとなるため、とは同じではない。
  • 気道半径の減少は抵抗を強く増やすが、実肺では並列分岐と径の動的変化も考慮する。

出典

  1. 1.Lung Structure and the Intrinsic Challenges of Gas Exchange(Comprehensive Physiology・2016)気道から肺胞へ至る構造、換気、拡散およびガス交換面の関係閲覧 2026-08-21
  2. 2.Gas Exchange in the Lung(Seminars in Respiratory and Critical Care Medicine・2023)肺胞換気、分圧、肺胞―毛細血管間の拡散および換気血流関係閲覧 2026-08-21