Biophysics

Biophysics · 08.03

動的光散乱法(dynamic light scattering)

Dynamic light scattering

🧠 動的法は、で生じる強度の時間揺らぎから粒子のを求め、へ換算する方法である。 ほど速く拡散するため、自己相関は速く減衰する。

ブラウン運動を散乱光で読む

溶液中の粒子はによって位置を変える。粒子間の位相関係が時間とともに変化すると、検出器上の強度I(t)I(t)も揺らぐ。DLSは平均散乱強度そのものではなく、異なる時刻の信号がどれほど似ているかをで評価する。

flowchart TD
  A["粒子の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Brownian motion'>ブラウン運動</span>"] --> B["粒子間の位相関係が変化"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scattered light'>散乱光</span>強度 I(t) が揺らぐ"]
  C --> D["自己相関の減衰率 Γ を推定"]
  D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diffusion coefficient'>拡散係数</span> D=Γ/q²"]
  E --> F["Stokes–Einstein式で半径 rₕへ換算"]

相関減衰から拡散係数へ

で球形の粒子が溶液中を並進拡散する場合、相関はに減衰する。

g(1)(τ)=eΓτ,Γ=Dq2,qquadq=4πnλsinθ2g^{(1)}(\tau)=e^{-\Gamma\tau},\qquad \Gamma=Dq^2,qquad q=\frac{4\pi n}{\lambda}\sin\frac{\theta}{2}

τ\tauは遅延時間、Γ\Gammaは減衰率、DDは並進qqは散乱ベクトル、nnは媒質のλ\lambdaθ\thetaは散乱角である。実際の装置は強度相関g(2)(τ)g^{(2)}(\tau)を測り、Siegert関係を介してg(1)g^{(1)}を求める。

拡散係数を粒径へ換算する

球形粒子に対するStokes–Einsteinの式

rh=kBT6πηDr_h=\frac{k_BT}{6\pi\eta D}

である。rhr_hは粒子と一緒に動く溶媒層を含むη\etaは溶媒粘度、TTは絶対温度である。温度や粘度の入力が誤ると粒径も系統的にずれる。

💡 DLSが求めるのは幾何学的半径ではなくである。 同じでも表面修飾、、分子形状が異なればrhr_hは変わる。

分布の読み方と限界

散乱強度は大粒子に強く偏るため、少量の凝集体が見かけのを大きくする。試料では相関関数が複数の減衰成分を含み、強度基準・体積基準・個数基準の粒径分布は一致しない。高濃度での多重散乱、非球形粒子、沈降も単純な換算を妨げる。

静的な散乱強度で濃度を測ると異なり、DLSは時間相関から拡散速度を測る。ナノ粒子、、タンパク質凝集体の品質評価に用いられる。

まとめ

  • DLSは強度の時間自己相関から粒子のを求める。
  • ほど拡散が速く、相関関数は速く減衰する。
  • Stokes–Einsteinの式による換算には温度、粘度、球形・系という条件が必要である。
  • 少量の大粒子や凝集体が散乱強度を支配しやすい。