Embryology

Embryology · 13.1

呼吸器系:呼吸器憩室

Respiratory System — Respiratory diverticulum

応用トピック
先天性横隔膜ヘルニアと肺発生異常

🧠 は「前腸の腹側にできた1本の憩室」から始まる、と覚える。 は前腸(14-2-foregut)の腹側壁からの膨隆にすぎず、食道(背側)と気管(腹側)は本来1本の管の中にあった。この2つを隔てるの形成不全が、そのままという代表的な奇形に直結する。

呼吸器憩室の出現

発生第4週、前腸の腹側壁に(喉頭気管溝 laryngotracheal groove)という膨隆が出現する。この憩室の内胚葉が気道・肺の上皮・腺の内張りになり、周囲を取り囲む06-2-mesoderm-derivativesが軟骨・筋・結合組織になる(06-3-endoderm-derivativesで述べた「上皮=内胚葉、周囲組織=中胚葉」という原則そのもの)。

気管食道中隔の形成

は急速に尾側へ伸長し、前腸から分離していく。この分離を担うのが左右ので、これらが正中で癒合してを形成し、前腸を2本の管に分ける。

flowchart TD
  A["前腸の腹側壁に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='respiratory diverticulum'>呼吸器憩室</span>が出現(第4週)"]
  A --> B["左右の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tracheoesophageal ridges'>気管食道稜</span>が正中に向かって伸長・癒合"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tracheoesophageal septum'>気管食道中隔</span>の形成"]
  C --> D["背側:食道"]
  C --> E["腹側:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='laryngotracheal tube'>喉頭気管管</span>→ 喉頭・気管・気管支・肺"]

食道と気管が「もとは1本の管」であったという事実が、という奇形の存在理由そのもの。 の癒合が不完全・偏位すると、食道と気管の間に異常な交通(瘻孔)が残ったり、食道自体が閉鎖したりする(詳細は13-3-clinical)。

呼吸器憩室と前腸の連続性

は最終的に喉頭になり、その入口(喉頭口)を介して原始咽頭・前腸と連続したままである。こののため、成人でも喉頭・気管の入口は消化管(咽頭)と共有の空間から分岐した構造として、誤嚥の解剖学的背景を理解できる。

まとめ

  • は第4週、前腸の腹側壁からの膨隆として出現し、内胚葉が上皮・腺を、周囲のが軟骨・筋・結合組織を作る。
  • 左右のが正中で癒合してとなり、前腸を背側の食道と腹側のに分離する。
  • 食道と気管がもとは1本の管であったことが、という奇形の発生学的背景になる。
  • は喉頭となり、原始咽頭と連続したままである。