組織学

組織学 · 12.2

泌尿器:尿路

Urinary system — Excretory passages

🧠 から尿道の手前まで、尿路のほぼ全体が「()」という1種類の上皮でひとつながりに裏打ちされている、と覚える。 尿路は腎盂・尿管・膀胱と部位によって太さも壁の厚みも大きく変わるが、だけは一貫して同じ——「何が変わり、何が変わらないか」を軸に尿路を捉える。

尿路を貫く移行上皮

から膀胱、尿道の一部に至るまで、尿路の粘膜は一貫して(02-1-classification)に裏打ちされる。の尿路にのみ存在し、尿のからの保護とという2つの機能に特化している。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal calyx'>腎杯</span>"]
  A --> B["腎盂"]
  B --> C["尿管"]
  C --> D["膀胱"]
  D --> E["尿道:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transitional epithelium, urothelium'>移行上皮</span>は近位部のみ"]

部位による壁の厚みの変化

という共通の裏打ちに対し、その下のは下流に向かうほど発達する。

部位 の特徴
尿管 内+外輪走筋の2層(下部尿管ではさらに外側にが加わり3層になる)、で尿を膀胱へ送る
膀胱 3層のが錯綜する、内腔側の粘膜は伸展時に大きく変化する

⭐ の伸展による見え方の変化は02-1-classificationで既出——非伸展時は4〜5層でが大型(時に2核)、伸展時は2〜3層に薄くなりがする。膀胱がこの現象を最も顕著に示す部位であり、尿の充満・排出に応じてリアルタイムに上皮の厚みが変化する。

尿道と移行部

尿道は膀胱に近い部分でのみが続き、下流に向かうにつれ上皮の種類が変化する(女性尿道・男性尿道でその後の変化は異なり、最終的に付近ではに移行する)。

💡 「が尿路にしか存在しない」理由は、通常の上皮(や)では尿という・pH変動の大きい液体に対するや、大きな体積変化への追従が両立できないため——表面の特殊な非対称が尿への透過性を最小限に抑えつつ、細胞形態の可逆的変化により伸展に対応する、という尿路特有の適応。この非対称の実体はウロプラキンIa・Ib・II・IIIの4種のが作る二次元結晶(板状構造)で、細胞質内の小胞も同じ板で覆われており、伸展時にはこの小胞がへ融合して膜面積を増やす1。

⚠️ 「バリアはウロプラキン板が担う」と単独で覚えない。 ウロプラキンIII欠損マウスでは経上皮電気抵抗=細胞間隙を塞ぐのバリアは正常のまま(正常2,024±122/欠損2,322±114 Ω·cm²)で、上がるのはの水透過性だけ(0.91±0.06→1.83±0.14 ×10⁻⁵ cm/s、約2倍)である2。つまりの耐尿性は「細胞と細胞の間を塞ぐ」と「細胞のそのものを通しにくくするウロプラキン板」の二重構えであって、どちらか一方では成立しない。

まとめ

  • から尿道近位部までの尿路粘膜は一貫してに裏打ちされ、尿への耐性とを担う。
  • 尿管は2〜3層の平滑筋でを行い、膀胱は3層のをもつ。
  • は非伸展時に4〜5層でが大型、伸展時に2〜3層へ薄くなりがする。
  • はの尿路に特有で、他の上皮では両立できない耐尿性とを兼ね備える。
  • そのバリアは(細胞間隙)とウロプラキン板()の二重構えで成立し、伸展時の膜面積は小胞のへの融合でまかなわれる。

出典

  1. 1.Specific heterodimer formation is a prerequisite for uroplakins to exit from the endoplasmic reticulum(Molecular Biology of the Cell・2002)尿路上皮の被蓋細胞では、頂端膜と細胞質内の紡錘形小胞がウロプラキンIa・Ib・II・IIIの4種の膜タンパク質からなる二次元結晶(板状構造)で覆われており、膀胱の伸展時には紡錘形小胞が頂端膜に融合しうること閲覧 2026-08-24
  2. 2.Role of membrane proteins in permeability barrier function: uroplakin ablation elevates urothelial permeability(American Journal of Physiology. Renal Physiology・2002)ウロプラキンIII欠損マウスの尿路上皮は経上皮電気抵抗(正常2,024±122、欠損2,322±114 Ω·cm²)が保たれる一方、頂端膜の水透過性が約2倍(0.91±0.06→1.83±0.14 ×10⁻⁵ cm/s)に上昇する。バリア機能は密着結合だけでなく頂端膜の膜タンパク質にも依存する閲覧 2026-08-24