組織病理学

組織病理学 · H1-056

異物肉芽腫

Granuloma corporis alienis (HE)

🧠 全体像:は、縫合糸などマクロファージ単独では貪食できない物質を、と異物型が取り囲む慢性炎症である。異物に接して核が不規則に散在する巨細胞を捉える。

形成機序

flowchart TD
    A["縫合糸などの難分解性異物"] --> B["マクロファージが異物表面へ集積"]
    B --> C["マクロファージが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='epithelioid cells'>類上皮細胞</span>化"]
    B --> D["マクロファージ同士が融合"]
    D --> E["異物型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multinucleated giant cell'>多核巨細胞</span>"]
    C --> F["異物を囲む肉芽腫"]
    E --> F
    F --> G["線維化・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='walled-off (encapsulated)'>被包化</span>"]

標本の読み方

所見 意味
縫合糸 透明・屈折性または裂隙状にみえる異物
多数の核が細胞質内に不規則に分布する
淡い豊富な細胞質をもつ
周囲の線維化 長期化したと

異物による肉芽腫は珍しい病態ではない。肺の肉芽腫でも、の主要な原因として・と並んでやタルク肉芽腫症が挙がる。の型と、による微生物の有無・形態を突き合わせて絞り込む1。

Langhans型巨細胞との比較

核は中央を含め不規則に散在 核が辺縁に弧状・に並ぶ
異物表面に密着しやすい 免疫性肉芽腫でみられやすい
縫合糸などの異物が手掛かり 結核などを示唆するが特異的ではない

💡 核の並び方は病因より「その巨細胞の成熟段階」を映す。 という純粋な異物を家内・マウス腹腔に埋め込んだ実験では、巨細胞の核配列ははじめ核が中央に集まる異物型を示し、核数が約5個に達すると核が辺縁に並ぶLanghans型の分布へ移行した2。免疫性の肉芽腫が無くてもLanghans型の核配列は起こりうるということなので、核の並びだけを病因の決め手にしない。異物そのものが見えるか、分布が異物に沿うかを優先して読む。

まとめ

  • は難分解性異物を隔離するマクロファージ系反応である。
  • 縫合糸、、異物型を一続きに確認する。
  • 巨細胞の種類だけで原因を確定せず、異物の存在と分布を合わせて判断する2。

出典

  1. 1.Granulomatous lung disease: an approach to the differential diagnosis(Archives of Pathology & Laboratory Medicine・2010)肺で見られる肉芽腫の大半は抗酸菌または真菌感染によるもので、診断には組織反応の型と特殊染色による微生物形態の判定が要る。非感染性の主な原因はサルコイドーシス、Wegener肉芽腫症、過敏性肺炎、hot tub lung、誤嚥性肺炎、タルク肉芽腫症である閲覧 2026-08-24
  2. 2.Experimental intraocular lens implantation in the rabbit eye and in the mouse peritoneal space. Part V: Phagocytosis and nuclear patterns of giant cells observed on the implanted lens surface(Journal of Cataract and Refractive Surgery・1990)家兎眼内およびマウス腹腔に眼内レンズを埋植した実験で、レンズ表面の細胞はマクロファージと類上皮細胞化したもの、およびそれらの融合による異物型巨細胞から成った。巨細胞形成過程の核配列は、はじめ核が中央に位置する異物型の分布を示し、核数が約5個に達すると核が辺縁に位置するLanghans型の分布へ移行した。この移行は家兎眼内・マウス腹腔のいずれでも観察された閲覧 2026-08-24