組織病理学

組織病理学 · H2-030B

消化管間質腫瘍(HE染色)

GIST (HE)

疾患
消化管間質腫瘍

🧠 全体像:のHE染色では、正常粘膜の下に位置する腫瘍として捉え、・の配列、核異型、、壊死、、周囲組織との境界を系統的に評価する。

層構造から読む

構造 読み方
正常粘膜 腫瘍表面で保たれることがある
腫瘍の膨張でされうる
が生じる代表的な壁層
腫瘍 筋層から内腔側・漿膜側へ発育
潰瘍 粘膜へ突出した腫瘍で出血源となる
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastrointestinal wall'>消化管壁</span>内腫瘤"] --> B["粘膜・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='submucosa'>粘膜下層</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='muscularis propria'>固有筋層</span>との位置関係"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fusiform'>紡錘形</span>・類上皮・混合型を評価"]
    C --> D["核分裂数・壊死・破裂を評価"]
    D --> E["DOG1・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='CD117 (c-KIT)'>CD117</span>などを追加"]
    E --> F["分子型と再発リスクを確定"]

形態と鑑別

疾患 主な特徴
束状のまたは、を伴うことがある
質と、desmin・を評価(側も18%・desmin 5%が陽性になるので、陽性だけでにしない)1
波状核、リンパ球性カフ、S100・SOX10を評価
腫瘍 量や特異的分子異常を検討

核分裂数と腫瘍径だけでなく、発生部位とを含めてリスクを判定する。小型での少ない胃でも転移可能性を完全には否定できず、「良性」と断定しない。⚠️ この但し書きには実測の裏づけがある。 長期追跡した胃 1,765例では、10 cm未満かつ50 HPFあたり5個未満という最も条件のよい群でも2-3%が転移した(10 cm超かつ5個超では86%)。さらに10 cm超でも5個未満なら11%、5 cm未満でも5個超なら15%と、径と核分裂数は互いに置き換えられない。同じ胃の中でも・の局在、、、粘膜浸潤は予後不良因子で、幽門前庭部の局在は予後良好因子だった(いずれもP<0.001))1。「小さいから良性」ではなく「小さいから低リスク」と書く。

💡 HEでと読み違える危険は歴史的に実証されている。 この1,765例は、もともと胃のと診断されていた1,869例を再検討して94%がだったと判明したものである)1。免疫染色を足すときも、DOG1.1が326例中1例(0.3%)しか染まらない特異度の高さが鑑別の支点になる)2。

と治療は を参照する。

まとめ

  • 壁層との位置関係と・類上皮形態を最初に確認する。
  • HEだけで・と確定鑑別しない。
  • 部位、径、核分裂数、破裂を合わせて再発リスクを評価する。

出典

  1. 1.Gastrointestinal stromal tumors of the stomach: a clinicopathologic, immunohistochemical, and molecular genetic study of 1765 cases with long-term follow-up(The American Journal of Surgical Pathology・2005)もともと胃の平滑筋腫瘍と分類されていた1,869例を再検討すると1,765例(94%)がGISTだった。転帰は腫瘍径と核分裂数に強く依存し、10 cm未満かつ50 HPFあたり核分裂5個未満の腫瘍でも2-3%が転移した一方、10 cm超かつ核分裂5個超では86%が転移した。10 cm超で核分裂5個未満の群と、5 cm未満で核分裂5個超の群の転移率はそれぞれ11%と15%だった。胃底部・食道胃接合部の局在、凝固壊死、潰瘍化、粘膜浸潤は予後不良因子(いずれもP<0.001)、幽門前庭部の局在は予後良好因子(P<0.001)だった。免疫染色ではKIT 91%、CD34 82%、平滑筋アクチン18%、desmin 5%が陽性で、後2者の陽性は予後良好因子だった(P<0.001)。年齢中央値63歳、径中央値6.0 cm、12%は偶発発見だった。閲覧 2026-08-24
  2. 2.A novel monoclonal antibody against DOG1 is a sensitive and specific marker for gastrointestinal stromal tumors(The American Journal of Surgical Pathology・2008)GISTの約4-15%はKIT(CD117)発現を欠く。GIST 447例の検討でDOG1.1抗体は425例中370例(87%)陽性、CD117は428例中317例(74%)、CD34は430例中254例(59%)陽性だった。軟部腫瘍935例中DOG1.1陽性は平滑筋肉腫326例中1例(0.3%)と滑膜肉腫39例中1例(2.5%)のみで、GISTと平滑筋腫瘍の鑑別に有用である。閲覧 2026-08-24