組織病理学

組織病理学 · H2-040A

耳下腺多形腺腫の標本読解

GASTROENTEROLOGY 2 HISTOLOGY SLIDES

描出疾患
唾液腺腫瘍

🧠 全体像:は上皮・筋細胞と、様・軟骨様間質が混在する唾液腺の良性腫瘍である。異なる見え方の成分が一つの腫瘍内で連続することを低倍率から追う。

観察の順序

flowchart TD
    A["被膜と正常耳下腺を確認"] --> B["上皮性腺管・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cord-like structure'>索状構造</span>"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myoepithelial cells'>筋上皮細胞</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Myxoma'>粘液腫</span>様・軟骨様間質"]
    D --> E["被膜外の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pseudopodia'>偽足</span>状突出・衛星結節を確認"]
所見 読み方
上皮成分 腺管・索・胞巣を形成し濃くみえる
筋上皮成分 多様な形態をとり、間質形成に関与
様間質 淡く疎な基質
軟骨様間質 青白い様基質
被膜 境界を作るが不完全なことがある

「混合腫瘍」は複数の胚葉由来という意味ではなく、同じ腫瘍性上皮・が多彩な形態と間質を作ることを指す1。

💡 これは推論ではなく実測された。 耳下腺5例の上皮成分と間葉様(様・軟骨様)成分をマイクロダイセクションで別々に取り出し、X染色体上の遺伝子の反復多型とそのランダム不活化を利用してクローン解析したところ、両成分とも単クローン性であり、しかも5例すべてで不活化されていたアレルが同一だった1。由来の異なる2集団が5例とも同じアレルを不活化する確率はでき、共通の単一細胞に由来するとされた。標本で「軟骨に見える部分」はの増殖ではなく、腫瘍性が作った基質である。

💡 分子でも同じ腫瘍として同定できる。 と由来癌で最も高頻度の遺伝子異常はPLAG1とHMGA2の再構成である。では由来癌22例中19例(86%)が陽性で、と形態が紛らわしい模倣病変11例はすべて陰性だった。自体では低細胞密度・様の型で9例中6例(67%)陽性、細胞密度の高い型では7例中2例(29%)と差がある2。陰性でもを否定できないという意味で、は形態を置き換えるものではなく補助である。

正準的な病態・治療は 耳下腺 で確認する。

まとめ

  • 上皮、筋上皮、様・軟骨様間質を一続きに読む。
  • 被膜があっても状突出や衛星結節を伴いうる。
  • 低倍率の構築と高倍率の細胞像を統合する。

出典

  1. 1.Demonstration of monoclonal origin of human parotid gland pleomorphic adenoma(Cancer・1996)耳下腺多形腺腫5例で上皮成分と間葉様成分をマイクロダイセクションで分離し、X染色体アンドロゲン受容体遺伝子のトリヌクレオチド反復多型とメチル化によるランダム不活化を用いてクローン解析したところ、両成分とも単クローン性で、しかも5例すべてで同一アレルが不活化されていた。上皮成分と間葉様成分は共通の単一細胞に由来すると考えられる閲覧 2026-08-24
  2. 2.Consistent PLAG1 and HMGA2 abnormalities distinguish carcinoma ex-pleomorphic adenoma from its de novo counterparts(Human Pathology・2015)PLAG1・HMGA2のFISH解析で、多形腺腫由来癌22例中19例(86%)がPLAG1またはHMGA2の再構成・増幅陽性だったのに対し、de novo癌20例中18例(90%)は陰性(P<0.01)。多形腺腫の形態学的模倣病変11例はすべて陰性。多形腺腫では低細胞密度・粘液腫様の9例中6例(67%)が陽性だったのに対し、細胞密度の高い7例では2例(29%)にとどまった閲覧 2026-08-24