組織病理学

組織病理学 · H2-053A

肝硬変(ピクロシリウス染色)

Hepatic cirrhosis (picrosirius)

描出疾患
肝硬変

🧠 全体像:はを強調し、肝硬変のを囲むと架橋線維化を評価する補助染色である。HE染色と併用して、線維化の分布と肝を判断する。

染色の読み方

観察条件 主な所見 注意点
コラーゲンが赤色系に強調される 炎症活動性や肝細胞異型はHEが優れる
観察 がを示す 色調だけでコラーゲン型を厳密に同定しない
肝硬変 太い架橋隔壁がを囲む 切片方向や被膜を隔壁と誤認しない
初期線維化 ・の線維増加 病因により分布が異なる

下でコラーゲン束が緑・赤・黄に分かれて見えるのは、線維の太さと詰まり方の違いであり、色素が吸収する量はコラーゲン束の向きに強く依存する。したがって色をI型・III型といったコラーゲンの型の同定に使わない1。

線維化進展の評価

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='portal triad/area'>門脈域</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pericentral (perivenular)'>中心静脈周囲</span>の線維化"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibrous septa'>線維性隔壁</span>の伸長"]
    B --> C["門脈‐門脈架橋"]
    B --> D["門脈‐<span class='jp-term jp-term-diagram' title='central vein'>中心静脈</span>架橋"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='regenerative nodule'>再生結節</span>形成"]
    D --> E
    E --> F["肝硬変"]

HE染色との役割分担

評価項目 HE染色 ピクロシリウス染色
評価しやすい 補助的
炎症活動性 評価しやすい 補助的
構築を確認 周囲隔壁を強調
コラーゲン分布 概略を確認 高感度に強調
反応・血管 形態評価 隔壁との位置関係を補助
flowchart TD
    A["HEで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='regenerative nodule'>再生結節</span>・炎症を評価"] --> B["ピクロシリウスでコラーゲンを確認"]
    B --> C["架橋線維化の分布を判定"]
    C --> D["臨床・非侵襲的線維化評価と統合"]

💡 ピクロシリウス染色は線維量を数値にする入口でもある。 シリウスレッド染色切片をデジタル画像解析にかけ、切片に占めるコラーゲンのを測ると、CPAはIshak病期と相関しつつ、同じ肝硬変(Ishak stage 6)の中でも13〜45%と大きな幅を示す。後の患者から得た経静脈的250本では、CPAはと r=0.62 で相関し、Ishak病期より門脈圧との対応がよかった2。段階分類が頭打ちになる肝硬変内部の重症度を、面積比なら連続量として表せる。

ピクロシリウス染色だけで肝硬変の原因や代償・非代償を決めない。病態、原因、管理は 肝硬変(HE染色) に集約する。

まとめ

  • ピクロシリウス染色はコラーゲン網とを強調する。
  • を囲む架橋線維化をHEと併せて評価する。
  • 色だけでコラーゲン型や病因を断定しない。

出典

  1. 1.Picrosirius red staining: a useful tool to appraise collagen networks in normal and pathological tissues(Journal of Histochemistry and Cytochemistry・2014)偏光下でピクロシリウスレッド染色のコラーゲン束が緑・赤・黄に見えるのは線維の太さと詰まり方を反映しているにすぎず、この色素が吸収する偏光量はコラーゲン束の向きに強く依存するため、偏光色でコラーゲンの型を区別することはできないと組織学的実例で示した。色と背景の黒とのコントラストが定量的形態計測に向くという利点は別にある。閲覧 2026-08-24
  2. 2.Computer-assisted image analysis of liver collagen: relationship to Ishak scoring and hepatic venous pressure gradient(Hepatology・2009)肝移植後のHCV患者115例から得た経静脈的肝生検250本をシリウスレッドで染めてデジタル画像解析にかけ、コラーゲン面積比(collagen proportionate area:CPA)を測ると、CPA中央値は6%(0.2〜45%)でIshak病期と相関し、同じIshak stage 6の中でも13〜45%の幅があった。CPAは肝静脈圧較差と r=0.62 で相関し、Ishak病期より圧との対応がよく、肝硬変内部の線維量をさらに定量できた。閲覧 2026-08-24