組織病理学

組織病理学 · H2-053B

B型肝炎

Hepatitis – HBV

描出疾患
ウイルス性肝炎

🧠 全体像:B型肝炎(hepatitis B)は、感染肝細胞に対する応答が主に肝傷害を起こす。すりガラス状肝細胞は小胞体内のHBs抗原蓄積を反映し、そのものをHE染色で見ているわけではない。

病態

flowchart TD
    A["血液・性行為・周産期に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatitis B virus'>HBV</span>感染"] --> B["肝細胞でウイルス抗原発現"]
    B --> C["細胞傷害性免疫応答"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatocellular injury'>肝細胞傷害</span>・炎症"]
    D --> E["回復・慢性化・劇症化"]
    E --> F["慢性炎症から肝硬変・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatocellular carcinoma'>HCC</span>"]

の宿主ゲノム組込みは発癌に関与するが、通常のに必須ではない。組込みはウイルスにとって複製の行き止まりであり、には要らない。それでも高頻度に起こり、複製に依存しない抗原発現や発癌という形での病態に効いてくる1。では広範を来し、「大量肝硬変」とは表現しない。

感染後はから回復する場合のほか、無症候性の、、肝硬変へ移行する場合がある。では成人感染より慢性化しやすく、成人期に獲得した感染が慢性化するのは5%未満であるのに対し、乳幼児期の感染では約95%がへ移行する2。乳幼児期のワクチン接種を優先する根拠がここにある。

血液・体液を介して伝播し、はしばしば60〜90日程度と長い。糞口感染を主経路とせず、ワクチンで予防できる。

所見 意義
炎症 の活動性を評価
すりガラス状肝細胞 HBs抗原蓄積を示唆
脂褐素 非特異的な性色素
小葉構築の目印

💡 すりガラス像は1973年から知られるHBs抗原蓄積の像である。 すりガラス状肝細胞は小胞体に貯まったHBs抗原を見ているもので、・コア抗原の発現様式との段階に応じていくつかの型に分かれる。I型はpre-S1欠失、II型はpre-S2欠失の変異体を含み、どちらもとを誘導する。とくにII型は関連のになりうると考えられている3。

診断はHBs抗原、抗HBc抗体、HBe抗原、 などを組み合わせる。ワクチンで予防し、例ではまたはなどで増殖を抑制する。

血清学、周産期予防、の詳細は B型肝炎 に集約する。

まとめ

  • 肝傷害は主にである。
  • すりガラス像はHBs抗原蓄積を反映する。
  • 慢性例では肝硬変とを監視する。

出典

  1. 1.HBV DNA Integration: Molecular Mechanisms and Clinical Implications(Viruses・2017)HBV DNAの宿主ゲノムへの組込みはウイルスにとって複製の行き止まり(replicative dead-end)であり、通常の複製サイクルには必要ない。それでも高頻度に生じ、複製に依存しない抗原発現や肝細胞癌への関与という形でHBVの持続と病態に影響しうる。閲覧 2026-08-24
  2. 2.Hepatitis B (fact sheet)(World Health Organization・2026)「成人期に獲得したB型肝炎感染が慢性肝炎に至るのは5%未満であるのに対し、乳児期・幼児期の感染では約95%が慢性肝炎に至る。これが乳幼児期のワクチン接種を強化・優先する根拠である」との記載を確認した。閲覧 2026-08-24
  3. 3.Ground glass hepatocytes contain pre-S mutants and represent preneoplastic lesions in chronic hepatitis B virus infection(Journal of Gastroenterology and Hepatology・2008)HBs抗原を含むすりガラス状肝細胞は1973年にHadziyannisとPopperが記載したもので、表面抗原・コア抗原の発現様式とウイルス複製の段階に応じて型が分かれる。I型はpre-S1欠失、II型はpre-S2欠失の変異体を含み、いずれも小胞体ストレスと酸化的DNA損傷を誘導する。II型はp27分解を介した増殖優位性をもち、HBV関連肝細胞癌の前癌病変になりうる。閲覧 2026-08-24