組織病理学

組織病理学 · H2-054A

肝硬変(HE染色)

Hepatic cirrhosis (HE)

描出疾患
肝硬変

🧠 全体像:肝硬変(cirrhosis)は、とにより正常肝構築と血流が改変された状態である。原因治療により線維化が部分的に改善しうるため、固定した生存年数で説明しない。

💡 「肝硬変は不可逆」は、原因が続いている場合の話である。 慢性B型肝炎で最長5年を投与し、治療前と240週の両方でが得られた348例では、組織学的改善が304例(87%)、Ishakスコアで1段階以上の線維化退縮が176例(51%)にみられた1。ただし全例で線維化が消えるわけではなく、血管構築の改変と門脈圧亢進が残る例もある。臨床側でも・・後期は決まった順序で進むわけではなく、acute-on-chronic liver failureはからも起こりうるので、病期の移行は競合リスクを含む多状態モデルで扱う2。

flowchart TD
    A["慢性肝細胞・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bile duct injury'>胆管傷害</span>"] --> B["炎症・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatic stellate cell'>肝星細胞</span>活性化"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bridging fibrosis'>架橋性線維化</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='regenerative nodule'>再生結節</span>"]
    D --> E["門脈圧亢進・肝機能低下"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatocellular carcinoma, HCC'>肝細胞癌</span>リスク上昇"]
所見 意味
・ 正常小葉構築の改変
・間を架橋
胆管反応 慢性傷害への反応
慢性炎症・ 原因と活動性の手がかり
・短絡 門脈圧亢進の基盤

原因にはアルコール関連肝疾患、、、胆汁うっ滞性・遺伝代謝性疾患がある。・の区別だけで原因を決めない。一方、隔壁の太さと結節の細かさは無意味ではない。生検で確認された肝硬変123例では、Laennec線維化スコアによる細分(軽度=細い隔壁、中等度=太い隔壁が2本以上、高度=非常に太い隔壁が1本以上またはが多数)が、静脈瘤・腹水・で決めたともの高さとも有意に相関した3。結節径は原因ではなく門脈圧の目安として読む。

病因、代償・非代償の判定、は 肝硬変(HE染色) に集約し、コラーゲン分布の補助評価は 肝硬変のピクロシリウス染色 で確認する。

まとめ

  • とを一体として読む。
  • 腹水、、脳症はを示す。
  • 原因治療と()が重要である。

出典

  1. 1.Regression of cirrhosis during treatment with tenofovir disoproxil fumarate for chronic hepatitis B: a 5-year open-label follow-up study(The Lancet・2013)慢性B型肝炎で最長5年間テノホビルを投与し、治療前と240週の両方で肝生検が得られた348例のうち、組織学的改善(Knodell壊死炎症スコアが2点以上低下し線維化が悪化しない)は304例(87%)、線維化の退縮(Ishakスコアが1段階以上低下)は176例(51%)にみられた。長期のウイルス抑制は線維化・肝硬変の退縮につながりうるが、全例で起こるわけではない。閲覧 2026-08-24
  2. 2.Clinical states of cirrhosis and competing risks(Journal of Hepatology・2018)肝硬変の臨床病期(代償期・非代償期・後期非代償期)は予測可能な順序では進行せず、それぞれ異なる死亡リスクに対応する。acute-on-chronic liver failureは代償期からも非代償期からも起こりうる。したがって病期間の移行は競合リスクを含む多状態モデルで扱う必要があり、2状態以外にKaplan–Meier法を用いるべきではない。閲覧 2026-08-24
  3. 3.Histological subclassification of cirrhosis using the Laennec fibrosis scoring system correlates with clinical stage and grade of portal hypertension(Journal of Hepatology・2011)生検で確認された肝硬変123例で、Laennec線維化スコアが肝硬変を軽度(細い隔壁)・中等度(太い隔壁が2本以上)・高度(非常に太い隔壁が1本以上、または微小結節が多数)に細分するとき、この組織学的細分類が臨床病期(静脈瘤・腹水・静脈瘤出血の有無)とも肝静脈圧較差の高さとも有意に相関した。肝硬変は一様な終末像ではなく重症度に幅がある。閲覧 2026-08-24