組織病理学

組織病理学 · H2-054B

肝細胞癌

Hepatocellular carcinoma

描出疾患
肝細胞癌

🧠 全体像:(hepatocellular carcinoma:)は、肝細胞分化を示すである。・偽腺構築、胆汁産生、細胞内を評価し、背景肝の肝硬変・慢性炎症も同時に読む。

主な危険因子は慢性・感染、肝硬変、アルコール関連肝疾患、、B1曝露などである。B1は汚染された穀類・ナッツ類などから曝露し、とに発癌リスクを高めうる。定量的リスク評価では、世界で年55万〜60万例ののうち25,200〜155,000例(4.6〜28.2%)が曝露に帰せられ、その多くはが高く曝露が管理されていないサハラ以南アフリカ・東南アジア・中国に集中する1。

所見 意義
太い配列 を支持
偽腺管・構築 腫瘍性肝細胞の配列
胆汁産生 肝細胞分化を強く支持
・ ・増殖の手がかり
血管侵襲 進展・予後に重要
背景肝の・慢性炎症・胆管反応・ 肝硬変性を示す

肉眼的には黄白色の単発塊状、多発結節、びまんをとりうる。構造・数的染色体異常などのは一般的だが、単一の染色体所見だけでを診断しない。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatitis B virus'>HBV</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatitis C virus'>HCV</span>・代謝性・アルコール関連肝疾患など"] --> B["慢性傷害・再生"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Dysplastic nodules'>異形成結節</span>"]
    C --> D["HCC"]
    D --> E["単発・多発・びまん浸潤"]
    D --> F["門脈侵襲・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrahepatic'>肝内</span>転移"]

💡 異型結節と高分化の境目は、形態だけでは決めきれない。 生検材料でHSP70・(GPC3)・(GS)の3マーカーを組み合わせると、と異型結節はほぼ染まらず、異型結節は1つ陽性になることはあっても(22%)2つ以上陽性にはならなかった。3つすべて陽性を条件にすると検出のは60.8%、2つ以上陽性なら78.4%で、どちらも特異度は100%である。非常に高分化〜高分化G1のに限っても2つ以上陽性で72.9%となるため、実用上は「3つのうち2つ陽性」が推奨される組み合わせとされる2。

関連は非肝硬変肝にも生じうる。オランダ5施設の1221例でも19%は背景に肝硬変がなく、非硬変例は単発が多い一方(67%対48%)で腫瘍径は大きかった(中央値8 cm対4 cm)3。上昇は補助所見で、正常でも除外できず、上昇だけでも確定しない。高リスク患者では多相・の特徴で診断できる場合があり、非典型例は生検を検討する。 v2018のLR-5はに対する感度70%・特異度91%で、LR-5とされた病変の95%がだった一方、LR-4では64%、LR-3では31%にとどまる4。特異度が高いから生検を省けるのであって、感度は70%にすぎないので、画像所見が典型的でないことを「癌ではない」とは読めない。

進行例では急速な、右上腹部痛、腹水、発熱、体重減少を来しうる。によると、背景肝不全によるは緊急性の高い病態である。

治療は、腫瘍負荷、、転移から切除、移植、、塞栓療法、を選ぶ。早期例では切除・移植・に治癒可能性があり、進行例では免疫療法を含むを、リスクなど背景肝の安全性も踏まえて個別化する。

まとめ

  • 腫瘍と背景肝を同時評価する。
  • 胆汁産生と構築が重要である。
  • 単独で診断しない。

出典

  1. 1.Global burden of aflatoxin-induced hepatocellular carcinoma: a risk assessment(Environmental Health Perspectives・2010)アフラトキシンはトウモロコシやナッツ類に生えるAspergillus flavus・A. parasiticusが産生するヒト肝発癌物質で、定量的リスク評価では世界で年55万〜60万例の肝細胞癌のうち25,200〜155,000例(全体の4.6〜28.2%)がアフラトキシン曝露に帰せられる。発癌力はHBV陽性者と陰性者で別々に算出され、症例の多くはHBV有病率が高くアフラトキシン曝露が管理されていないサハラ以南アフリカ・東南アジア・中国に集中する。閲覧 2026-08-24
  2. 2.The application of markers (HSP70 GPC3 and GS) in liver biopsies is useful for detection of hepatocellular carcinoma(Journal of Hepatology・2009)肝生検材料176例(大再生結節13、低異型度異型結節21、高異型度異型結節50、非常に高分化な肝細胞癌17、高分化G1 40、G2-3 35)でHSP70・glypican-3・グルタミン合成酵素の3マーカーを検討したところ、大再生結節と低異型度異型結節はほぼ染まらず、高異型度異型結節は1マーカー陽性が22%あったが2つ以上陽性になることはなかった。肝細胞癌の検出では3マーカー陽性を条件にすると正診率60.8%、2マーカー以上陽性で78.4%、いずれも特異度100%であり、非常に高分化〜高分化G1に限ると57%と72.9%だった。実用上は3つのうち2つ陽性が推奨される組み合わせとされた。閲覧 2026-08-24
  3. 3.Hepatocellular carcinoma in cirrhotic versus noncirrhotic livers: results from a large cohort in the Netherlands(European Journal of Gastroenterology & Hepatology・2016)オランダ5施設の肝細胞癌1221例のうち19%は背景に肝硬変がなく、非硬変例では女性・非アルコール性脂肪性肝疾患・危険因子なしの割合が高いこと、非硬変肝の肝細胞癌は単発が多い(67%対48%)一方で腫瘍径は大きい(中央値8 cm対4 cm)ことを確認した。閲覧 2026-08-24
  4. 4.CT and MRI Liver Imaging Reporting and Data System Version 2018 for Hepatocellular Carcinoma: A Systematic Review With Meta-Analysis(Journal of the American College of Radiology・2020)LI-RADS v2018を用いた14研究2,708病変(うち肝細胞癌1,841)のメタ解析で、LR-5カテゴリーの肝細胞癌診断能は感度70%(95%CI 61〜78%)・特異度91%(95%CI 89〜93%)だった。肝細胞癌が占める割合はLR-1・LR-2で0%、LR-3で31%、LR-4で64%、LR-5で95%、LR-M(悪性だが肝細胞癌に非特異的)で33%、LR-TIV(腫瘍による静脈内進展)で54%であった。閲覧 2026-08-24