Histopathology

Histopathology · H2-128

膠芽腫(分子診断基準とMGMTメチル化)

Glioblastoma

描出疾患
中枢神経系腫瘍(成人・小児)

🧠 全体像という古典的組織所見と、IDH野生型に限定するという診断の基本条件はに既出である。本項では、これらの古典的所見を欠く場合でも診断を確定できる分子基準と、化学療法の反応性を左右するMGMTプロモーターメチル化を補足する。

分子基準による診断(古典的組織所見を欠く場合)

現行のWHO CNS分類では、IDH野生型のびまん性系腫瘍について、のような古典的な所見がなくても、以下のいずれかの分子異常があればグレード4(相当)として扱う。

分子基準 内容
EGFR遺伝子増幅 増加
7番染色体増加+10番染色体欠失(+7/−10) 特徴的な染色体パターン
TERTプロモーター変異 遺伝子プロモーター領域の変異

⚠️ 「壊死・がない=低悪性度」と即断しない。IDH野生型の系腫瘍でこれらの分子基準のいずれかを満たせば、組織形態が一見穏やかでも生物学的にはと同等の予後不良群として扱う。

MGMTプロモーターメチル化とテモゾロミド感受性

MGMT(O6-メチルDNAメチルトランスフェラーゼ)は、などのがDNAに作るO6-メチルを修復する酵素である。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='temozolomide'>テモゾロミド</span>がDNAにO6-メチル<span class='jp-term jp-term-diagram' title='guanine'>グアニン</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='adduct'>付加体</span>を形成"] --> B{"MGMTプロモーターはメチル化されているか"}
    B -->|"メチル化あり(サイレンシング)"| C["MGMT酵素が産生されず修復できない"]
    C --> D["腫瘍細胞死が起こりやすく、薬剤感受性が高い"]
    B -->|"メチル化なし"| E["MGMT酵素が産生され損傷を修復"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antimicrobial resistance, AMR'>薬剤耐性</span>を来しやすい"]

⚠️ MGMTメチル化の有無は治療の可否を決める絶対条件ではない。非メチル化例にもは投与されうるが、あくまで反応性・予後を予測する補助的なとして扱う。

まとめ

  • 組織学的)とIDH野生型という条件の詳細はを参照する。
  • IDH野生型の系腫瘍では、EGFR増幅・+7/−10・TERTプロモーター変異のいずれかがあれば、古典的組織所見を欠いても相当として扱う。
  • MGMTプロモーターメチル化はが作るDNA損傷の修復を妨げ、薬剤感受性・予後の予測因子として働く。
  • 治療の詳細はの外科・薬物治療を参照する。