Molecular Cell Biology

Molecular Cell Biology · 76

SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動とウェスタンブロット

SDS-polyacrylamide gel electrophoresis and Western blot

🧠 SDS-PAGEの核心は「SDSが全てのタンパク質を同じ電荷密度でコーティングする」という1点にある——これにより電荷による移動速度の違いが消え、残るのはゲルのによる「ふるい効果」だけになる。 つまりこの手法はタンパク質を電荷ではなくサイズだけで分離する仕組みへと変換する装置であり、はその後「ゲル上のバンド」を「膜上に固定された、抗体で狙い撃ちできる標的」へ移し替える追加の一手である。が標的を選び、二次抗体が酵素を運んでシグナルを増幅する、という2段階の抗体サンドイッチが検出の感度を支えている。

電気泳動とは

電気泳動とは、した高分子(RNA、DNA、タンパク質、炭水化物)をそのに従って分離する技術である。分離は、溶液中の成分がの作用下で異なる速度で移動するという事実に基づく。

SDS-PAGE

SDS-ポリアクリルアミドゲルにはポリアクリルアミドが用いられる。SDS(硫酸ナトリウム)は、天然タンパク質の二次的相互作用を破壊するとして用いられる。SDSは2つの重要な機能を持つ:

  1. タンパク質相互作用を破壊し、変性したタンパク質を可溶状態に保つ
  2. 折り畳みが解けたタンパク質に大過剰で結合し、分子に追加の負電荷を与える→結果として、各タンパク質はほぼ同じ電荷を持つようになる

電気泳動中の異なるタンパク質のは、主にゲルのふるい効果によって決定される:

  • 小さい分子→抵抗が小さい→が大きい→移動距離が長い
  • 大きい分子→抵抗が大きい→が小さい→移動距離が短い

→ SDS-PAGEはタンパク質をその分子量(サイズ)に従って分離する。

本質的には、が印加され、分子がゲル中を移動する。SDSにより電荷の効果が排除され、ゲル全体で電圧が一定とみなされるため、分子量の小さい分子はより速く移動し、大きい分子はより遅く移動する。バンドはその後既知の分子量を持つ参照物と比較され、高分子の分子量を推定できる。

flowchart TD
  A["タンパク質試料(SDS+DTT+加熱で変性)"] --> B["SDSが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hydrophobic interaction'>疎水性相互作用</span>を破壊し均一な負電荷を付与"]
  B --> C["ゲルへのローディング"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='electric field'>電場</span>印加:小さい分子ほど速く・遠くまで移動(ふるい効果)"]
  D --> E["分子量マーカーとの比較によるサイズ推定"]

ウェスタンブロット

は組織抽出物試料中の質を検出するために用いられる。電気泳動が完了すると、ゲルとろ紙の間にニトロ膜がぴったりと重ねられた「サンドイッチ」が組み立てられ、特殊な装置内でゲル平面に垂直な方向にもう一度電気泳動が行われる。タンパク質はゲルから膜へ転写され、これにより抗体での標識に適した状態になる。

検出は、ニトロ膜上に固定化されたタンパク質へ抗体を結合させることで達成される。転写されたタンパク質は抗体の組み合わせで標識される:目的タンパク質に特異的な抗体()と、の宿主種に特異的なもう1つの抗体(二次抗体)である。二次抗体はしばしば酵素と複合体を形成しており、これが適切な基質と組み合わさると検出可能なシグナルを産生する。

flowchart TD
  A["SDS-PAGEで分離されたタンパク質を含むゲル"] --> B["ニトロ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cellulose'>セルロース</span>膜へのサンドイッチ形成"]
  B --> C["ゲルに垂直な方向の電気泳動でタンパク質を膜へ転写"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary antibody'>一次抗体</span>:目的タンパク質に特異的に結合"]
  D --> E["二次抗体:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary antibody'>一次抗体</span>の宿主種に特異的に結合、酵素と複合体化"]
  E --> F["酵素基質反応による検出可能なシグナル産生"]

まとめ

  • SDS-PAGEはSDSがタンパク質を変性させ均一な負電荷を付与することで電荷の影響を排除し、ゲルのふるい効果のみによって分子量に基づく分離を可能にする。
  • はSDS-PAGEで分離したタンパク質をニトロ膜へ転写し、(目的タンパク質特異的)と二次抗体(の宿主種特異的)の組み合わせにより質を検出する。