Medical Microbiology

Medical Microbiology · 4/33

旋毛虫

Trichinella spiralis

微生物
Trichinella spiralis

🧠 は「1匹の宿主動物の中で、腸管寄生(終宿主的な段階)と(中間宿主的な段階)の両方を完結させる」という点で、ここまでの線虫と一線を画す。 土壌も水も経由せず、感染筋肉の直接捕食だけで次の宿主へ伝播する——だから加熱不十分な豚肉・肉を食べることそのものが感染成立の全てである。

分類と形態

項目 内容
分類 (線虫、roundworm)、通称「
ブタなどの雑食・肉食性動物
生活環の特徴 中間宿主・期を持たず、感染筋肉の摂食のみで伝播する

💡 」という通称に注意。 (Trichuris trichiura、回虫・を参照)の英語名 は「鞭形の虫体」に由来するのに対し、でとぐろを巻く小さな線虫であり、両者は名称も分類上の位置づけも異なる——出典によっては混同されやすいので区別すること。

感染経路と生活環

  • 感染は加熱不十分な豚肉(またはクマ肉などの)に含まれるの摂食による
  1. を含む生・半生の豚肉を摂食する
  2. 小腸で
  3. 幼虫が腸管粘膜内で成虫へと発育する(この宿主にとっては「終宿主」の役割)
  4. 成虫が血流・に入り、骨格筋へ移行する
  5. 骨格筋内でする(この宿主にとっては同時に「中間宿主」の役割)——数年間感染性を保つ
  • 部位として好発するのは舌、など——いずれも血流が豊富で代謝の高い筋肉
  • (シスト)は外側のと、内部でとぐろを巻いた幼虫、そしてそれを取り囲むからなる
flowchart TD
  A["加熱不十分な豚肉/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='game meat'>ジビエ</span>肉<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='encysted larva'>被嚢幼虫</span>含有)を摂食"] --> B["小腸で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='excystation'>脱嚢</span>"]
  B --> C["腸管粘膜内で成虫へ発育"]
  C --> D["血流/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymph flow'>リンパ流</span>に入り骨格筋へ移行"]
  D --> E["骨格筋内で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='encystment (to encyst)'>被嚢</span><br>(舌・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extraocular muscles'>外眼筋</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deltoid muscle'>三角筋</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intercostals'>肋間筋</span>など)"]
  E --> F["数年間感染性を維持"]

臨床像:旋毛虫症

病期 症状
発熱、嘔吐、筋肉痛
幼虫移行・定着後 心臓・中枢神経系への波及症状
大量感染時 胃腸炎

⚠️ 心筋炎の主要な死因である。 発熱・筋肉痛・というに加えて、心臓や中枢神経系への幼虫移行は重篤化のであり、見逃してはならない。

診断

  • 血液からの血清学的検査(ELISA〈enzyme-linked immunosorbent assay〉)
  • 血算:好酸球増多

治療

まとめ

  • (俗称「」)は、1匹の宿主の中で腸管寄生(成虫)と骨格筋内(幼虫)の両段階を完結させる特殊な線虫である。
  • 感染は加熱不十分な豚肉・肉に含まれるの摂食のみで成立し、中間宿主も期も持たない。
  • 幼虫は舌・など血流豊富な筋肉に好んでし、数年間感染性を保つ。
  • 臨床像は発熱・筋肉痛・の三徴が古典的で、心筋炎・中枢神経系症状は重症化・死亡の主因になる。
  • 診断は血清学・好酸球増多・。治療は