Medical Microbiology

Medical Microbiology · 4/35

回虫。鞭虫

Ascaris lumbricoides. Trichuris trichiura

微生物
Ascaris lumbricoidesTrichuris trichiura
疾患
腸管線虫症
症状
直腸脱

🧠 回虫とは、同じ「型の」でも、幼虫が腸管を出るか出ないかで運命が分かれる好対照のペアとして読む。 回虫の幼虫は腸壁を突き破って血流に入り、肺→気道→再嚥下という壮大な回り道をしてから腸に戻る(=肺移行症状が出る)。一方、の幼虫は最初から最後まで腸管内(盲腸)に留まり続ける(=局所症状しか出ない)。この「移行するか、しないか」が両者の臨床像の違いをすべて説明する。

分類と形態

項目 回虫(Ascaris lumbricoides) (Trichuris trichiura)
分類上の位置づけ 世界で最も頻度の高いの原因種 衛生状態の悪い地域・小児に多い
形態 最大の線虫(体長15〜20cm)、淡紅色 鞭状の虫体(前端が細い)
卵の特徴 レモン形で両端にを持つ胆汁染色卵
最終寄生部位 小腸 盲腸

感染経路と生活環

いずれもの経口摂取で感染するが、体内での経路が大きく異なる。

回虫

  1. を経口摂取
  2. 小腸で幼虫がし、十二指腸壁を貫通する
  3. 血流に入り、肝臓・心臓を経てに到達する
  4. 肺胞から気道を上行し、されて再び嚥下される
  5. 小腸に戻って成熟し、産卵する
  6. 卵は糞便とともに土壌へ排出される
flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='embryonated egg'>感染卵</span>を経口摂取"] --> B["小腸で幼虫<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hatching'>孵化</span>→十二指腸壁を貫通"]
  B --> C["血流→肝臓→心臓を経て肺へ"]
  C --> D["肺胞から気道を上行→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Expectoration'>喀出</span>・再嚥下"]
  D --> E["小腸に戻り成熟・産卵"]
  E --> F["卵が糞便とともに土壌へ排出"]

  1. を経口摂取
  2. 小腸で幼虫がする
  3. 盲腸まで移行し、粘膜内に前端を埋め込んで成熟する(血流・肺への移行は起こらない)
  4. 受精雌が産卵し、卵は糞便中に排出される
  5. 土壌中でへと成熟する

臨床像

  • 無症状のことも多い
  • 肺移行期:喘息様発作に類似した肺炎(様の像)
  • 胆管・胆嚢・肝臓へのによる
  • 大量寄生による腸閉塞(イレウス)
  • 腸管での栄養吸収阻害による栄養不良

小児での大量感染はタンパク欠乏(、Kwashiorkor症候群)様のを来しうる。 虫体が腸管内で栄養素の吸収を物理的に妨げるためで、頻出ポイントとして押さえておく。

  • 多くは無症状
  • 腹痛、血性下痢
  • 虫垂を虫体が充満させると
  • (大量寄生・慢性のによる)

⚠️ は腸管を出ないため、回虫のような肺症状は起こらない。 症状はすべて盲腸〜直腸に限局した(機械的損傷・炎症)に由来する。

診断

  • いずれも糞便中の虫卵または成虫の検出が基本
  • 回虫卵:厚い凹凸のある殻を持つ、または
  • 卵:レモン形・両端にを持つ胆汁染色卵

治療

まとめ

  • 回虫は世界最多ので最大の線虫、は衛生不良地域・小児に多い鞭状の線虫——いずれもの経口摂取で感染する。
  • 回虫の幼虫は腸壁→血流→肺→気道→再嚥下という肺移行を経てから小腸に定着する。の幼虫は最初から盲腸に留まり移行しない。
  • この違いが臨床像を分ける:回虫は肺症状(Löffler様肺炎)・大量感染での腸閉塞・様)、は盲腸・直腸の局所症状(血性下痢・)。
  • 診断は両者とも糞便中の虫卵・成虫検出(卵は両端の栓が特徴的)。
  • 治療は両者とも