分子細胞生物学 · 33
バクテリオファージの溶菌サイクルと溶原サイクル(EM学生のみ)
Lytic and lysogenic replication cycles of bacteriophages (only for EM-students)
🧠 バクテリオファージbacteriophage バクテリオファージ(bacteriophage)bacteriophage(バクテリオファージ) は「今すぐ増殖して宿主を破壊するか(溶菌bacteriolysis (lysis)溶菌(bacteriolysis (lysis))bacteriolysis (lysis)(溶菌))、宿主ゲノムに潜んで待つか(溶原)」という二者択一の生活環を持ち、λファージではこの選択がcIリプレッサーとcroタンパク質という2つの競合するタンパク質の綱引きで決まる。 DNADNA(deoxyribonucleic acid)損傷(UV照射)がSOS応答を介してcIリプレッサーを分解させると、天秤は一気に溶菌 bacteriolysis (lysis) 溶菌(bacteriolysis (lysis)) bacteriolysis (lysis)(溶菌) 側へ傾く——ファージの生存戦略そのものが、宿主のDNA損傷という「もう安全ではない」というシグナルに反応する仕組みになっている。
ウイルスとバクテリオファージの基本
ウイルスは細胞内寄生体である。自身では増殖できず、ウイルスタンパク質の合成とウイルスゲノムの複製のために宿主細胞の機構を(感染により)乗っ取らなければならない——絶対寄生体として生きている。感染性ウイルスinfectious virus 感染性ウイルス(infectious virus)infectious virus(感染性ウイルス) 粒子全体はビリオンvirionビリオン(virion)virion(ビリオン)と呼ばれ、少数の遺伝子産物をコードする核酸断片(DNA、RNARNA(ribonucleic acid))を含み、カプシドcapsidカプシド(capsid)capsid(カプシド)と呼ばれるタンパク質の保護殻に包まれている。ウイルスは宿主細胞に特異的である。
バクテリオファージbacteriophageバクテリオファージ(bacteriophage)bacteriophage(バクテリオファージ)は細菌に感染するウイルスである。真核細胞eukaryote 真核細胞(eukaryote)eukaryote(真核細胞) のウイルスは植物ウイルスまたは動物ウイルスでありうる(34-classification-of-animal-viruses-structure-and-replication-of-retroviruses参照)。
バクテリオファージbacteriophage バクテリオファージ(bacteriophage)bacteriophage(バクテリオファージ) が細菌内で複製する方法は2通り:①溶菌サイクル lytic cycle溶菌サイクル(lytic cycle) lytic cycle(溶菌サイクル)、②溶原サイクル lysogenic cycle溶原サイクル(lysogenic cycle) lysogenic cycle(溶原サイクル)。
1. 溶菌サイクル
ウイルスDNAの侵入後、宿主細胞のDNA複製は阻止される。宿主細胞のDNAは分解され、ファージDNAが複製・転写される。子孫ファージprogeny phage 子孫ファージ(progeny phage)progeny phage(子孫ファージ) が細胞内で組み立てられ、最終的に宿主細胞膜 cell membrane 宿主細胞膜(cell membrane) cell membrane(宿主細胞膜) の溶解により拡散する。
T4ファージの溶菌サイクル
T4ファージは大腸菌に感染するバクテリオファージ bacteriophage バクテリオファージ(bacteriophage) bacteriophage(バクテリオファージ) の一種であり——溶菌 bacteriolysis (lysis) 溶菌(bacteriolysis (lysis)) bacteriolysis (lysis)(溶菌) 様式のみを取ることができ、溶原様式は取れない。溶菌サイクルlytic cycle 溶菌サイクル(lytic cycle)lytic cycle(溶菌サイクル) は感染細胞とその膜の破壊をもたらす。
段階:
- ファージの付着と大腸菌への注入: ウイルスが遺伝物質 hereditary material 遺伝物質(hereditary material) hereditary material(遺伝物質) (一本鎖または二本鎖のRNAまたはDNA)を細胞内へ放出する=細胞が感染する
- ファージ特異的酵素 specific enzyme 特異的酵素(specific enzyme) specific enzyme(特異的酵素) による細菌染色体の分解: ウイルスは細胞の複製・翻訳機構を乗っ取り、これを利用してより多くのウイルスを作り、宿主のDNAを破壊する
- 細菌材料・ファージ酵素を用いたファージ染色体の複製: 宿主細胞の代謝機構を用いてウイルスmRNAが産生される
- ファージ構造成分を産生するファージ遺伝子の発現
- 子孫ファージprogeny phage 子孫ファージ(progeny phage)progeny phage(子孫ファージ) 粒子の組み立て: ウイルスタンパク質と複製されたゲノムが会合し子孫ビリオン virion ビリオン(virion) virion(ビリオン) を形成する
- 細菌壁の溶解による子孫ファージ progeny phage 子孫ファージ(progeny phage) progeny phage(子孫ファージ) の放出: これにより子孫ビリオン virion ビリオン(virion) virion(ビリオン) が周囲環境へ放出され、他の細胞を見つけて同様に感染できる
💡 溶解は「膜」と「壁」の2段構えで行われる(ホリン-エンドリシン二人組)。 上の導入では「細胞膜の溶解」、この段階6では「細菌壁の溶解」と書き分けているが、実際には役割の異なる2種のファージタンパク質が順に働く12。エンドリシンは細胞壁(ムレイン=ペプチドグリカン)を分解する酵素で、感染中はフォールディング済みの状態で細胞質にたまり続ける。ホリンは細胞質膜 cytoplasmic membrane 細胞質膜(cytoplasmic membrane) cytoplasmic membrane(細胞質膜) にたまる小さな膜タンパク質 membrane proteins 膜タンパク質(membrane proteins) membrane proteins(膜タンパク質) で、ホリン遺伝子に「プログラム」された特定の時刻に突然膜へ穴を開け、エンドリシンを細胞壁へ通す。ムレインの破壊と細胞の破裂は直後に続く。⭐ ホリンが感染サイクルの長さを決める時計として働くのが要点である。
ファージ遺伝子発現プログラムはσ因子(=特異性因子、原核生物のTFに相当)を変化させることで制御される(早期遺伝子→中期遺伝子→後期遺伝子)。
ゲノムパッケージング
- ターミナーゼterminase ターミナーゼ(terminase)terminase(ターミナーゼ) がウイルスゲノムに結合する
- ターミナーゼterminase ターミナーゼ(terminase)terminase(ターミナーゼ) -DNAがプロカプシド capsid カプシド(capsid) capsid(カプシド) のポータルに結合する
- DNA転位(ATPを使用)
- コンカテマーconcatemer コンカテマー(concatemer)concatemer(コンカテマー) の切断とパッケージ cage (spinal fusion implant) ケージ(cage (spinal fusion implant)) cage (spinal fusion implant)(ケージ) ングの完了
細菌は自己DNAと外来DNAをどう区別するか
細菌は「制限メチラーゼ-エンドヌクレアーゼ endonuclease エンドヌクレアーゼ(endonuclease) endonuclease(エンドヌクレアーゼ) 対」を用いて侵入者を破壊する——メチラーゼが自己DNAをメチル化し、メチル化されたDNAは制限エンドヌクレアーゼ endonucleaseエンドヌクレアーゼ(endonuclease) endonuclease(エンドヌクレアーゼ)によって切断されない。
ウイルスDNAはどう生き残るか
ファージ感染初期の出来事には以下が含まれる:
- ウイルスエンドヌクレアーゼ endonuclease エンドヌクレアーゼ(endonuclease) endonuclease(エンドヌクレアーゼ) による宿主DNAの分解
- 全てのシトシンの5-ヒドロキシメチルシトシン hydroxymethylcytosineヒドロキシメチルシトシン(hydroxymethylcytosine) hydroxymethylcytosine(ヒドロキシメチルシトシン)への変換
→ ファージDNA複製は100%ヒドロキシメチル-dCTPを用い、ファージDNAのHMC残基の100%が複製後にグリコシル化 glycosylation グリコシル化(glycosylation) glycosylation(グリコシル化) される(これにより宿主の制限エンドヌクレアーゼ endonuclease エンドヌクレアーゼ(endonuclease) endonuclease(エンドヌクレアーゼ) のほとんどに耐性を持つ)。
💡 T4のグルコシル-HMC修飾は制限酵素 restriction endonuclease 制限酵素(restriction endonuclease) restriction endonuclease(制限酵素) だけでなくCRISPR-Cas9からも身を守る。 T4ゲノムではシトシンがグルコシル-ヒドロキシメチルシトシン hydroxymethylcytosine ヒドロキシメチルシトシン(hydroxymethylcytosine) hydroxymethylcytosine(ヒドロキシメチルシトシン) (glc-HMC)に置き換わっており、この修飾を持つ野生型T4はCRISPR-Cas9による切断に耐性だが、修飾のない変異体は切断される3。⭐ CRISPR(トピック35)は細菌の適応免疫 adaptive 適応免疫(adaptive) adaptive(適応免疫) であり、この修飾はそれに対するファージ側の対抗手段——ここは「細菌の防御 対 ファージの回避」という軍拡競争として繋がる。
2. 溶原サイクル
ファージDNAは(溶菌サイクルlytic cycle 溶菌サイクル(lytic cycle)lytic cycle(溶菌サイクル) のように自律的には)複製されず、代わりに宿主細胞のDNAへ組み込まれる。ファージゲノムは(1遺伝子を除き)発現されない(プロファージprophageプロファージ(prophage)prophage(プロファージ)、prophage、温和ファージ=溶原生活環を示すファージ)。プロファージprophage プロファージ(prophage)prophage(プロファージ) を含む細菌(溶原菌、lysogen)は分裂を続け、娘細胞も溶原菌のままである。プロファージprophage プロファージ(prophage)prophage(プロファージ) は自然発生 spontaneous 自然発生(spontaneous) spontaneous(自然発生) 的または刺激により再活性化されることがあり、溶菌サイクルlytic cycle 溶菌サイクル(lytic cycle)lytic cycle(溶菌サイクル) へ切り替わりうる→ファージ誘導phage inductionファージ誘導(phage induction)phage induction(ファージ誘導)。
⚠️ 「複製されない」を「増えない」と読み違えない。 プロファージprophage プロファージ(prophage)prophage(プロファージ) が自前で複製しないというだけで、宿主染色体の一部として宿主の複製装置により毎回コピーされる(下の段階4「潜伏——宿主細胞との複製」と同じことを言っている)。だからこそ娘細胞も溶原菌のままでいられる。発現されない1遺伝子とはcIリプレッサー遺伝子のことで、これが発現し続けることが溶原状態の維持そのものである。
λファージの溶原サイクル
λファージも大腸菌に感染するバクテリオファージ bacteriophage バクテリオファージ(bacteriophage) bacteriophage(バクテリオファージ) の一種であり——溶菌 bacteriolysis (lysis)溶菌(bacteriolysis (lysis)) bacteriolysis (lysis)(溶菌)・溶原両方の生活様式を取ることができる。溶原状態はファージ核酸の細菌ゲノムへの組み込みを特徴とする。細菌は正常に生存・増殖を続ける。プロファージprophage プロファージ(prophage)prophage(プロファージ) (ファージの遺伝物質 hereditary material遺伝物質(hereditary material) hereditary material(遺伝物質))は各細胞分裂 cell division 細胞分裂(cell division) cell division(細胞分裂) で娘細胞へ伝達されうるが、後の出来事でそれを放出し、溶菌サイクルlytic cycle 溶菌サイクル(lytic cycle)lytic cycle(溶菌サイクル) を介した新しいファージの増殖を引き起こしうる。
段階:
- 付着: ファージが「ファージ受容体」を介して大腸菌に結合し、ビリオンvirion ビリオン(virion)virion(ビリオン) を活性化する
- DNA射出と環状化: λファージのDNAのみが細胞内へ入る。ファージDNAは線状であり、最終的に環を形成し溶菌 bacteriolysis (lysis)溶菌(bacteriolysis (lysis)) bacteriolysis (lysis)(溶菌)・溶原サイクルlysogenic cycle 溶原サイクル(lysogenic cycle)lysogenic cycle(溶原サイクル) のいずれかを選択する
- 組み込み: 環状ファージDNAが宿主DNAの特定部位へ組み込まれプロファージ prophage プロファージ(prophage) prophage(プロファージ) を形成する
- 潜伏——宿主細胞との複製: ほぼ全てのファージ遺伝子が抑制されたままである。プロファージprophage プロファージ(prophage)prophage(プロファージ) を含む細菌は溶原菌と呼ばれ、プロファージprophage プロファージ(prophage)prophage(プロファージ) とともに複製する
- ファージ誘導phage induction ファージ誘導(phage induction)phage induction(ファージ誘導) : 活性化されたプロファージ prophage プロファージ(prophage) prophage(プロファージ) が宿主DNAから切り出され溶菌サイクル lytic cycle 溶菌サイクル(lytic cycle) lytic cycle(溶菌サイクル) を開始する
λリプレッサー
λリプレッサー(cIリプレッサーとも呼ばれる)はλファージの転写阻害因子である。cIリプレッサーはファージの溶原生活様式の維持を担う。cIもcroもそれぞれが単独でホモ二量体 homodimerホモ二量体(homodimer) homodimer(ホモ二量体)を作り、ヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフでオペレーター operator オペレーター(operator) operator(オペレーター) (右オペレーター operator オペレーター(operator) operator(オペレーター) ORの3部位OR1〜OR3)へ二量体として結合する。croタンパク質はcIタンパク質の転写を停止させる抑制因子 repressor 抑制因子(repressor) repressor(抑制因子) であり、これにより細胞は溶菌 bacteriolysis (lysis) 溶菌(bacteriolysis (lysis)) bacteriolysis (lysis)(溶菌) 生活様式を取ることになる。
⚠️ cIとcroは「1つの二量体を一緒に作る」のではない。 両者は別々のタンパク質で、同じオペレーター operator オペレーター(operator) operator(オペレーター) 部位を奪い合う競合関係にある。二量体化dimerization 二量体化(dimerization)dimerization(二量体化) するのはcI同士・cro同士であって、cI+croのヘテロ二量体 heterodimer ヘテロ二量体(heterodimer) heterodimer(ヘテロ二量体) ではない。両者がOR1〜OR3への結合の好みを逆向きに持つ(cIはOR1>OR2>OR3、croはOR3>OR1・OR2の順に強く結合する)ことが4、下の「綱引き」を双安定なスイッチにしている。
- 「cI」(λリプレッサー)は自身の合成を制御し、他の全てのファージ遺伝子を抑制する
- 「cro」はオペレーター operator オペレーター(operator) operator(オペレーター) とcI遺伝子に結合し、cIの転写を妨げる
flowchart TD
A["感染成立"] --> B["cIとcroが遺伝子スイッチの制御を競合"]
B -->|"cIが勝利:cro転写を阻止、リプレッサー転写を維持"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lysogenic cycle'>溶原サイクル</span>"]
B -->|"croが勝利:cIの転写を妨げる"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lytic cycle'>溶菌サイクル</span>"]
E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>損傷(例:UV照射)"] --> F["λリプレッサーの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proteolysis'>タンパク質分解</span>"]
F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phage induction'>ファージ誘導</span>:切り出し→複製→組み立て"]
G --> D
cIとcroは互いに競合し遺伝子スイッチを制御する——これが感染後に溶菌サイクル lytic cycle溶菌サイクル(lytic cycle) lytic cycle(溶菌サイクル)・溶原サイクルlysogenic cycle 溶原サイクル(lysogenic cycle)lysogenic cycle(溶原サイクル) のいずれが続くかを決定する。
- この競合をcIリプレッサーが制する場合:cro遺伝子の転写が阻止されリプレッサー転写が維持される=溶原サイクルlysogenic cycle溶原サイクル(lysogenic cycle)lysogenic cycle(溶原サイクル)
- 競合をcroリプレッサーが制する場合:cIの転写を妨げる=溶菌サイクルlytic cycle溶菌サイクル(lytic cycle)lytic cycle(溶菌サイクル)
DNA損傷(例:UV放射)はλリプレッサーのタンパク質分解 proteolysis タンパク質分解(proteolysis) proteolysis(タンパク質分解) を引き起こし、ファージが誘導される→ファージの切り出し・複製・組み立て→溶菌サイクル lytic cycle溶菌サイクル(lytic cycle) lytic cycle(溶菌サイクル)。この切断は宿主のrecA遺伝子産物に依存し、cI側の変異でもrecA側の変異でも誘導は起こらなくなる5。
溶菌サイクルlytic cycle 溶菌サイクル(lytic cycle)lytic cycle(溶菌サイクル) はSOS応答の結果としても誘導されうる。SOS応答とはDNA損傷への応答として誘導される一連の調節遺伝子 regulator gene 調節遺伝子(regulator gene) regulator gene(調節遺伝子) を指す。SOS応答は損傷したゲノムを修復することで細胞生存を促進する。SOS修復の活性化はLexA(転写抑制因子transcriptional repressor転写抑制因子(transcriptional repressor)transcriptional repressor(転写抑制因子))のタンパク質分解 proteolysis タンパク質分解(proteolysis) proteolysis(タンパク質分解) に基づく——通常LexAはDNA修復酵素をコードするSOS応答遺伝子を抑制している。
⚠️ RecAはプロテアーゼではない——cIもLexAも「自分で自分を切る」。 cIリプレッサーとLexAはどちらも分子内自己切断autodigestion分子内自己切断(autodigestion)autodigestion(分子内自己切断)の能力を潜在的に持っており、精製purification 精製(purification)purification(精製) 標品を高pHに置けばRecAが無くても同じアラニン alanine アラニン(alanine) alanine(アラニン) -グリシン結合が切れる6。損傷DNAに結合して活性化したRecA(RecA*)は、この自己切断反応の速度を上げるコプロテアーゼcoproteaseコプロテアーゼ(coprotease)coprotease(コプロテアーゼ)として働くのであって、通常のプロテアーゼのように基質を切るのではない7。⭐ 覚え方:RecAは「ハサミ」ではなく「引き金」。1つの引き金(RecA*)がLexA(宿主のSOS遺伝子の抑制を外す)とcI(プロファージprophage プロファージ(prophage)prophage(プロファージ) の抑制を外す)を同時に落とすので、宿主のDNA損傷が即座にファージ誘導 phage induction ファージ誘導(phage induction) phage induction(ファージ誘導) へ直結する。
まとめ
- バクテリオファージbacteriophage バクテリオファージ(bacteriophage)bacteriophage(バクテリオファージ) は溶菌サイクル lytic cycle 溶菌サイクル(lytic cycle) lytic cycle(溶菌サイクル) (宿主DNA分解→ファージ複製→組み立て→溶解による放出)と溶原サイクル lysogenic cycle 溶原サイクル(lysogenic cycle) lysogenic cycle(溶原サイクル) (宿主ゲノムへの組み込み→プロファージ prophage プロファージ(prophage) prophage(プロファージ) として潜伏→誘導による溶菌 bacteriolysis (lysis) 溶菌(bacteriolysis (lysis)) bacteriolysis (lysis)(溶菌) への切り替え)の2つの生活環を持つ。
- T4ファージは溶菌サイクル lytic cycle 溶菌サイクル(lytic cycle) lytic cycle(溶菌サイクル) のみを取り、自らのDNAをグルコシル-ヒドロキシメチルシトシン hydroxymethylcytosine ヒドロキシメチルシトシン(hydroxymethylcytosine) hydroxymethylcytosine(ヒドロキシメチルシトシン) 化により保護しながら、ファージ特異的酵素 specific enzyme 特異的酵素(specific enzyme) specific enzyme(特異的酵素) で宿主DNAを分解する(保護されるのはファージDNAの側であることに注意)。
- λファージは溶菌 bacteriolysis (lysis)溶菌(bacteriolysis (lysis)) bacteriolysis (lysis)(溶菌)・溶原両方の様式を取り、それぞれがホモ二量体 homodimer ホモ二量体(homodimer) homodimer(ホモ二量体) としてORの同じ部位を奪い合うcIリプレッサー(溶原維持)とcroタンパク質(溶菌bacteriolysis (lysis) 溶菌(bacteriolysis (lysis))bacteriolysis (lysis)(溶菌) 誘導)の競合によって運命が決定される。プロファージprophage プロファージ(prophage)prophage(プロファージ) は自律複製しないが宿主染色体の一部として毎世代コピーされる。
- DNA損傷(UV照射)とSOS応答は、活性化RecAをコプロテアーゼとするLexAとλリプレッサー(cI)の自己切断を介してファージ誘導 phage induction ファージ誘導(phage induction) phage induction(ファージ誘導) を引き起こし、溶原状態から溶菌サイクル lytic cycle 溶菌サイクル(lytic cycle) lytic cycle(溶菌サイクル) への切り替えをもたらす。子孫の放出は、ホリンが細胞質膜 cytoplasmic membrane 細胞質膜(cytoplasmic membrane) cytoplasmic membrane(細胞質膜) に穴を開けエンドリシンが細胞壁を分解するという2段構えで起こる。
出典
- 1.Holins: the protein clocks of bacteriophage infections(Annual Review of Microbiology・2000)宿主の溶解にはエンドリシンとホリンの2つのタンパク質が必須。エンドリシンは細胞壁(ムレイン)を分解する酵素でフォールディング済みの形で細胞質に蓄積し、ホリンは膜に蓄積してホリン遺伝子にプログラムされた特定の時刻に膜を透過性にする。ホリンが感染サイクルの長さを決める閲覧 2026-08-22
- 2.Diversity in bacterial lysis systems: bacteriophages show the way(FEMS Microbiology Reviews・2013)有尾dsDNAファージは共通してホリン-エンドリシン二人組で溶解を起こす。エンドリシンは細胞壁分解酵素、ホリンは定刻に細胞質膜へ穴を開けエンドリシンを細胞壁へ通す閲覧 2026-08-22
- 3.Covalent Modification of Bacteriophage T4 DNA Inhibits CRISPR-Cas9(mBio・2015)T4ではシトシンがグルコシル-ヒドロキシメチルシトシン(glc-HMC)に置き換わっており、この修飾を持つ野生型T4はCRISPR-Cas9による切断に耐性だが、修飾を欠く変異体は切断される閲覧 2026-08-22
- 4.Mechanism of action of the cro protein of bacteriophage lambda(Proceedings of the National Academy of Sciences・1978)croタンパク質はλリプレッサーと同じ右オペレーターOR内の3部位に結合するが、親和性の順序が逆で、λリプレッサーはOR1>OR2>OR3、croはOR3>(OR1, OR2)の順。両者ともcIとcroの2つの逆向きプロモーターからの転写を阻害する閲覧 2026-08-22
- 5.Proteolytic cleavage of bacteriophage lambda repressor in induction(Proceedings of the National Academy of Sciences・1975)溶原菌をマイトマイシンCまたは紫外線で誘導するとλリプレッサーが切断される。この切断はファージリプレッサー側または宿主recA遺伝子産物側の変異で誘導が阻止されるときには起こらない閲覧 2026-08-22
- 6.Autodigestion of lexA and phage lambda repressors(Proceedings of the National Academy of Sciences・1984)高度精製したLexAタンパク質はrecAタンパク質が無くても特異的に切断されうる。この自己消化はrecA依存性切断と同じアラニン-グリシン結合を切り、反応速度がタンパク質濃度に依存しないことから分子内反応である閲覧 2026-08-22
- 7.Mechanism of specific LexA cleavage: autodigestion and the role of RecA coprotease(Biochimie・1991)RecAは通常のプロテアーゼとして働くのではなく分子内自己切断(autodigestion)を促進する「RecAコプロテアーゼ」である。自己切断の機構はセリンプロテアーゼに似ており、RecAはLexAの重要なリジン残基のpKaを下げることで作用する閲覧 2026-08-22