Pathology

Pathology · C/97

線維芽細胞・筋線維芽細胞分化軟部腫瘍

Fibroblast-myofibroblast differentiated soft tissue tumors

疾患
軟部肉腫

🧠 全体像(良性、急速増大でも自然軽快する)と(局所侵襲性だが転移能はない)は、いずれも組織像だけを見ると肉腫を疑わせる「肉腫もどき」の良性〜病変であり、臨床経過(自然軽快 vs 浸潤性の再発)で真の悪性腫瘍と区別する。

結節性筋膜炎

定義

  • 良性の非癌性軟部組織増殖
  • とも呼ばれる(顕微鏡的に肉腫を模倣)。
  • 若年成人(20〜40歳)に発生。
  • 部位:四肢、体幹、頭頸部

発生機序

  • 大多数でUSP6再構成を認め、USP6を含む融合遺伝子をもつ。
  • 最多:MYH9-USP6融合。

形態

  • 通常小さい(< 3 cm)、より大きいことも。
  • 波状の腫瘍細胞(線維芽細胞・)。
  • 「組織培養様」パターン
  • 細胞密度の高い、疎な粘液様・膠原性基質。
  • 漏出した赤血球
  • (高い — 肉腫を模倣する理由)。

臨床像

  • 自然軽快性の疾患 → 退縮・消失。
  • 無症状または軽度の疼痛。
  • 急速な増殖が悪性を疑わせる。
  • 単純切除で治癒

線維腫症(デスモイド型)

定義

  • 深部軟部組織に生じる(局所侵襲性・非転移性)の線維芽細胞・腫瘍
  • 浸潤性増殖を伴う局所侵襲性
  • 転移能なし
  • 良性腫瘍のように遠隔転移しない一方、周囲組織へ浸潤して機能障害や再発を生じうる。

部位

  • 腹部領域(腹腔内、腸間膜、結腸近傍)。
  • 胸壁+乳房
  • 四肢、

  • (手掌の、足底のLedderhose、Peyronie)。
  • 深部・β-変異細胞の蓄積(CTNNB1変異)またはAPC変異。

関連

形態

  • 高分化の線維芽細胞+
  • 長い束状配列
  • 淡い
  • しばしば筋膜に生じる。
  • 組織像は線維肉腫を模倣しうるが異型を欠く。

臨床像

  • 浸潤性パターンで局所的に非常に侵襲性
  • 切除後の頻回の再発
  • 転移能なし
  • 診断直後から一律に切除せず、無症状・非進行例では専門施設でを第一段階とする。自然安定化・退縮もある。
  • 持続的な増大、症状悪化、重要臓器への切迫があれば部位と予想される機能障害に応じて治療する。
    • 低侵襲に切除できる腹壁病変などでは手術を検討する。
    • 切除による重大な機能・整容障害が予想される部位では薬物療法や放射線治療を優先する。
    • 全身治療を要する進行性成人例ではなどを選択肢とする。+NSAIDsは現行の標準治療として一律に推奨しない。

まとめ表

腫瘍 挙動 部位 主な特徴
良性、自然軽快 四肢、体幹、頭頸部 偽肉腫性、若年成人、USP6融合(MYH9-USP6)組織培養様の、漏出赤血球、単純切除で治癒
線維腫症( 局所侵襲性、転移なし 腹部、胸壁(乳房)、四肢 β-/APC変異Gardner症候群(FAP+骨腫+の長い束、を第一段階とし進行・症状時に部位別治療

💡 ポイント: = 若年成人の良性偽肉腫USP6融合(MYH9-USP6)、疎な粘液様基質中の「組織培養様」+漏出赤血球、自然軽快 — 単純切除で治癒。線維腫症β-またはAPC変異局所侵襲性・浸潤性、転移なし、腹部/胸壁/乳房、Gardner症候群 = FAP+骨腫+。診断直後の一律切除ではなくから開始し、持続的進行や症状時に部位・機能を踏まえて治療する。

まとめ

  • は若年成人に好発する良性の偽肉腫性病変で、USP6再構成(MYH9-USP6融合が最多)を認め、単純切除で治癒し自然軽快することもある。
  • はβ-またはAPC変異による局所侵襲性・浸潤性の腫瘍で、転移能はないが切除後の再発が多い。
  • Gardner症候群はFAP+線維腫症()+骨腫を合併する症候群で、APC遺伝子変異による。
  • は診断直後に一律切除するのではなく、無症状・非進行例ではを第一段階とし、進行時に部位に応じた治療を選ぶ。