精神医学

精神医学 · B-08

性機能障害:診断基準と臨床管理

Sexual Disorders: Diagnostic Criteria and Clinical Management

前提:正常
勃起機序(NO-cGMP経路)
疾患
性機能障害・パラフィリア症群

🧠 全体像:は欲求・興奮・・疼痛のどこに問題があるかを整理し、身体、薬剤、心理、関係性、文化を統合して評価する。本人に苦痛がない多様性を病気として扱わない。

診断の基本

多くの-TRのでは、症状が約6か月持続し、臨床的に意味のある本人の苦痛を生じることが重要である。パートナーの期待だけによる不満、十分な刺激がない状況、医学的疾患・薬剤・重い関係葛藤で十分説明される場合を区別する。

⚠️ 性的指向、ジェンダーの多様性、合意に基づく性的関心それ自体は精神疾患ではない。

分類

領域 主な診断
欲求・興奮 女性の性的関心・興奮障害 関心、空想、開始・反応、快感、刺激時感覚の低下
勃起 勃起獲得・維持困難、硬さの低下
著しい遅延・低頻度・欠如、強度低下
、 の著しい遅延・欠如、または希望より早い
疼痛・挿入 性器・挿入障害 挿入困難、疼痛、疼痛への恐怖、緊張

は以降の独立診断ではない。また女性の欲求と興奮は現行で統合して扱う。

評価

面接

  • 症状の開始、持続、か状況依存か、生涯性か後天性か
  • 欲求、興奮、、疼痛、刺激の十分さ
  • パートナー関係、合意、安全、暴力・トラウマ
  • うつ、不安、、物質使用
  • 、抗精神病薬、、オピオイドなどの薬剤
  • 糖尿病、心血管疾患、、内分泌疾患、泌尿生殖器疾患

やは定量化に役立つが、面接を置き換えない。

身体評価

症状に応じて、血圧・心血管リスク、神経・泌尿生殖器診察を行う。ホルモン検査は一律ではなく、などを疑う場合に適応を選ぶ。

flowchart TD
    A["本人の苦痛を伴う性機能の問題"] --> B["領域と経過を特定"]
    B --> C["身体疾患・薬剤・心理・関係性を評価"]
    C --> D["可逆要因を治療"]
    D --> E["心理・カップル・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sex therapy'>性療法</span>"]
    D --> F["適応に応じた薬物・器具・手術"]
    E --> G["効果・満足・安全を再評価"]
    F --> G

治療

心理社会的介入

  • と支援
  • 、、
  • 性器では、、疼痛・婦人科評価を統合
  • 背景のうつ、不安、PTSD、関係暴力を治療

勃起障害

と心血管リスクを評価し、性行為自体が心血管状態から安全であることを確認したうえで、阻害薬を第一選択とする12。反応不十分なら使用法を確認し、、、などを検討する。

⚠️ 阻害薬と、NO供与薬、ニコランジルの併用は、重篤な低血圧を起こすためである。との併用も禁忌である。胸痛時は自己判断でを使わず、阻害薬使用を救急担当者に伝える。心血管状態から性行為自体が安全でない場合には処方しない。

女性の性的関心・興奮低下

  • フリバンセリン、ブレメラノチドは国・地域により、後天性・のに限定した承認である3。
  • フリバンセリンは低血圧、失神、中枢抑制、アルコール・阻害薬・肝障害との相互作用に注意する。
  • テストステロンは「女性の一般」に漫然と使用しない。病態、閉経状態、現地承認、を確認し専門的に検討する。

射精障害・疼痛

では心理・行動療法、、適応に応じなどを検討する。💡 ISSMの統一定義では、生涯型を腟内挿入から約1分以内、後天型を臨床的に意味のあるの短縮(しばしば約3分以内)という時間基準で規定している4。では薬剤、神経・内分泌、刺激、関係性を評価する。疼痛は感染、皮膚・、、心理的恐怖を多職種で扱う。

倫理とコミュニケーション

  • 非批判的で包括的な言葉を用い、プライバシーを確保する。
  • 、強制、暴力、搾取を評価する。
  • 本人の目標をとし、「正常な頻度」を押し付けない。
  • 文化・宗教的背景を尊重しつつ、安全と自律を守る。

まとめ

  • 欲求・興奮・勃起・・・疼痛に分けて評価する。
  • 身体、薬剤、心理、関係性を同時に確認し、本人の苦痛を診断の中心に置く。
  • 阻害薬と・の併用は禁忌。性行為の心血管安全性を先に評価し、女性の薬物療法・は限定適応を守る。

参考指針

出典

  1. 1.EAU Guidelines on Sexual and Reproductive Health — Management of Erectile Dysfunction(European Association of Urology (EAU)・2026)EAUガイドラインがPDE5阻害薬をEDの第一選択治療として強い推奨(Strong recommendation)で位置づけ、海綿体注射を代替の第一選択または第二選択として挙げていることを、Management of Erectile Dysfunctionの章から確認した。閲覧 2026-08-26
  2. 2.VIAGRA (sildenafil citrate) tablets, for oral use — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration・2014)シルデナフィル(VIAGRA)が勃起障害(ED)の治療薬としてFDA承認されていること、有機硝酸薬・NO供与薬との併用が低血圧増強のため禁忌であることを、添付文書のINDICATIONS AND USAGE・CONTRAINDICATIONS欄で確認した。閲覧 2026-08-26
  3. 3.ADDYI (flibanserin) tablets, for oral use — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration・2025)フリバンセリン(ADDYI)が65歳未満の女性における後天性・全般性の低活動性性欲障害(HSDD)に限定して承認されていること、アルコール併用による重篤な低血圧・失神リスクと肝障害での禁忌を、添付文書のINDICATIONS AND USAGE・boxed warning欄で確認した。閲覧 2026-08-26
  4. 4.An evidence-based unified definition of lifelong and acquired premature ejaculation: report of the second International Society for Sexual Medicine Ad Hoc Committee for the Definition of Premature Ejaculation(International Society for Sexual Medicine / Journal of Sexual Medicine・2014)ISSMの統一定義が、生涯型早漏を「腟内挿入から約1分以内の射精」、後天型早漏を「臨床的に意味のある射精潜時の短縮、しばしば約3分以内」という時間基準で規定していることを確認した。閲覧 2026-08-26