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Disease Atlas · 血液 · 病態

単クローン性B細胞リンパ球増加症

Monoclonal B-cell lymphocytosis

別名
MBL
臓器系
血液腫瘍
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 H-24:慢性リンパ性白血病・小リンパ球性リンパ腫
上位概念
慢性リンパ性白血病
検査値
血算

🧠 全体像:(MBL)は、末梢血に(CLL)と同じを持つが存在するが、CLLと診断するにはクローン数が少なく、症状も一切ない状態を指すCLLのである。学習の幹は単純で、「無症候で、数が5,000/µL未満」という定義を満たせばMBL、これを超えるかリンパ節腫脹・・血球減少などの症状があればCLLと呼ぶ。MBLはさらに高型と低型に分かれ、CLLへ進展するのは年率1〜2%とされる高型だけであり、低型は進展がまれで性質が異なる。原則はであり、治療対象にはならない。

定義:CLLとの境界

MBLは、末梢血の数が5×10^9/L(5,000/µL)未満であり、かつリンパ節腫脹・肝脾腫・血球減少などCLLを示唆する所見を一切伴わない状態と定義される1。はCLLと同じくCD5・CD23をする成熟B細胞クローンで、境界を分けるのはクローン数と症候の有無だけである。の診断フローチャートでも、末梢血数がCLLの閾値に達せず、かつ組織病変(リンパ節腫脹など)を伴わない場合にMBLと判定される。

flowchart TD
    A["健診などで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chance'>偶然</span>発見される<br>持続性の軽度<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphocytosis'>リンパ球増加</span>"] --> B["末梢血<span class='jp-term jp-term-diagram' title='flow cytometry'>フローサイトメトリー</span>で<br>CD5/CD23陽性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='monoclonal B cell'>単クローン性B細胞</span>を確認"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clonal B cell'>クローン性B細胞</span>数は5×10^9/L未満か"}
    C -->|"5×10^9/L以上"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic lymphocytic leukemia, CLL'>慢性リンパ性白血病</span>(CLL)"]
    C -->|"5×10^9/L未満"| E{"リンパ節腫脹・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='organomegaly'>臓器腫大</span>・血球減少など<br>CLLを示唆する所見があるか"}
    E -->|"あり"| D
    E -->|"なし"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='monoclonal B-cell lymphocytosis'>単クローン性B細胞リンパ球増加症</span>(MBL)"]
    F --> G{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clonal B cell'>クローン性B細胞</span>数は<br>0.5×10^9/L以上か"}
    G -->|"以上(高<span class='jp-term jp-term-diagram' title='counting'>計数</span>型)"| H["年率約1〜2%でCLLへ進展しうる"]
    G -->|"未満(低<span class='jp-term jp-term-diagram' title='counting'>計数</span>型)"| I["CLLへの進展はまれ"]

高計数型と低計数型

⭐ MBLは数によって、生物学的性質の異なる2つの群に分かれる。

高型 低型
数の目安 0.5×10^9/L以上〜5×10^9/L未満 0.5×10^9/L未満
CLLとの類似性 CLL、とくに緩徐進行型と生物学的特徴を共有する CLLとは性質が異なり、加齢に伴う免疫学的変化に近いと考えられている
CLLへの進展 年率約1〜2% まれ

⚠️ 高型MBLは年率1〜2%でCLLへ進展する。 進展した場合は改めてCLLとして活動性疾患の有無を評価し、治療開始の要否を判断する2。低型は健診などで発見されることが多く、進展のリスクは低いが、加齢とともに頻度が上昇することが知られている。

臨床像

MBLは定義上、症状を一切伴わない。リンパ節腫脹・肝脾腫・貧血・血小板減少・B症状(発熱・・体重減少)のいずれかがあれば、その時点でMBLの定義から外れCLL・として扱う。したがって臨床像の記載自体がなく、多くは健診の血算や、な理由で行われたで発見される。

経過観察と付随するリスク

⚠️ MBLは原則としてであり、治療しない。 CLLに準じた化学療法・の対象にはならず、定期的な血算と数のモニタリングを行う1。

MBLそのものは無症状だが、CLLに準じたリスクを一部共有することが知られている。

  • 感染症のリスク上昇:新規診断されたMBL患者は対照群と比較して感染症による入院のリスクが高く、MBLは感染症入院の独立した危険因子である3。
  • ()のリスク上昇:高型MBLの患者コホートでは、のが対照群より有意に高く、年齢・性別などで調整してもMBLが独立した危険因子であった4。

これらのリスクがあっても、無症候である限り治療の適応にはならない。経過観察の目的は、症状出現や数の増加によるCLLへの進展を早期に捉えることと、感染症・への注意を促すことにある。

まとめ

  • MBLは末梢血数が5,000/µL未満で、リンパ節腫脹・・血球減少などの症状を伴わない、CLLのである。
  • 高型(0.5×10^9/L以上)と低型(0.5×10^9/L未満)に分かれ、CLLへ進展するのは高型に限られ、年率約1〜2%とされる。
  • 定義上、症状を伴わない。健診などで発見されることが多い。
  • 原則はで、無症候であるかぎり治療しない。
  • 感染症リスクの上昇、高型ではのリスク上昇が知られており、経過観察の中でこれらにも注意する。

出典

  1. 1.iwCLL guidelines for diagnosis, indications for treatment, response assessment, and supportive management of CLL(International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia・2018)単クローン性B細胞リンパ球増加症(MBL)が末梢血の単クローン性B細胞5×10^9/L未満であり、かつリンパ節腫脹・臓器腫大・血球減少・その他のリンパ増殖性疾患を示唆する症候を伴わない状態と定義されること、無症候であるかぎり治療の対象とはならず経過観察を原則とすることを確認した。閲覧 2026-08-19
  2. 2.Monoclonal B-Cell Lymphocytosis and Chronic Lymphocytic Leukemia(New England Journal of Medicine・2008)単クローン性B細胞リンパ球増加症のうち末梢血クローン性B細胞数が高い高計数型が慢性リンパ性白血病(CLL)と生物学的特徴を共有し、治療を要するCLLへ年率約1〜2%で進展すること、クローン性B細胞数が低い低計数型ではCLLへの進展がまれであることを確認した。閲覧 2026-08-19
  3. 3.Infectious complications among individuals with clinical monoclonal B-cell lymphocytosis (MBL): a cohort study of newly diagnosed cases compared to controls(Leukemia・2013)新規診断されたMBL患者が対照群と比較して感染症による入院のリスクが高く、年齢・性別・治療などで調整した後もMBLが感染症入院の独立した危険因子であったことを確認した。閲覧 2026-08-19
  4. 4.Risk of non-hematologic cancer in individuals with high-count monoclonal B-cell lymphocytosis(Leukemia・2016)高計数型MBLの患者コホートで非血液悪性腫瘍の発生率が対照群と比べて有意に高く、年齢・性別など既知の交絡因子で調整してもMBLが非血液悪性腫瘍発生の独立した危険因子であったことを確認した。閲覧 2026-08-19