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Disease Atlas · 皮膚 · 先天性疾患

弾性線維性仮性黄色腫

Pseudoxanthoma elasticum

別名
PXEGrönblad-Strandberg症候群
臓器系
皮膚眼科循環器
科目
Microscopic Anatomy and Embryology (Microscopic Anatomy)Dermatology
トピック
組織学 3.2:結合組織:線維皮膚科 3-01:皮膚の構造
合併症
網膜色素線条

🧠 全体像:弾性線維性仮性(PXE)は、ABCC6遺伝子の変異により全身の弾性線維に異所性の石灰化が起こる、の結合組織疾患である1。侵される組織はほぼ決まっていて、皮膚(様丘疹→弛緩性皮膚)・眼(の=網膜色素線条)・血管(動脈の石灰化による虚血症状)の3系統である。根治療法はまだ無く、管理は各臓器の合併症を早期に見つけて対症的に抑えることに尽きる2。

病態:ABCC6の機能喪失が弾性線維の石灰化を招く

は16番にあるABCC6で、肝臓・腎臓に強く発現するMRP6をコードする。この輸送体が働かないと血中のなどの恒常性が乱れ、皮膚・・血管壁の弾性線維に異所性のが起こる1。遺伝形式はで、患者のきょうだいは25%の確率で罹患する1。

flowchart TD
    A["ABCC6遺伝子変異<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='autosomal recessive'>常染色体劣性</span>)"] --> B["MRP6輸送体の機能喪失"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inhibitor of mineralization'>石灰化抑制因子</span>の恒常性破綻"]
    C --> D["弾性線維の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ectopic calcification'>異所性石灰化</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fragmentation'>断片化</span>"]
    D --> E["皮膚:頸部・屈曲部の丘疹<br>→弛緩性皮膚"]
    D --> F["眼:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Bruch membrane'>Bruch膜</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rupture (tear)'>断裂</span><br>網膜色素線条"]
    D --> G["血管壁の石灰化<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='intermittent claudication'>間欠性跛行</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cerebral infarction'>脳梗塞</span>など"]

臨床像:皮膚・眼はほぼ全例、血管は約6割

系統 頻度 主な所見
皮膚 ほぼ100% 頸部・腋窩・など屈曲部に自然な肌色より濃い丘疹が出現し、癒合して局面を形成。進行すると皮膚が弛緩・冗長化し、整容目的の形成外科的切除が必要になることもある1
眼 ほぼ100% 10〜20歳代でpeau d’orange(眼底のびまん性斑状変化)が先行し、続いて網膜色素線条(の)が出現。を合併すると・が進み、PXEにおける最大の機能になる1
血管 約60% 動脈壁の石灰化により・小梗塞(脳)・腸管狭心症・・狭心症/心筋梗塞などの虚血症状1。自体は比較的まれとされるが、の頻度は一般人口より高いとされる2
消化管 約10% 主に胃からの1

💡 臨床診断は「皮膚+眼」の組み合わせで成立する。 特徴的な皮膚病変に加え、peau d’orange・網膜色素線条・血管新生のいずれか1つ以上の網膜所見があれば臨床診断でき、皮膚生検(Verhoeff染色などで弾性線維の・石灰化=elastorrhexisを確認)やABCC6の2アレル性病的変異の同定で確定する1。

管理:出血系の薬剤を避け、多科で定期監視する

⚠️ (アスピリン)は原則禁忌である。 網膜からの出血リスクが高まるためで、消化管出血の既往がある患者ではや全般も、血栓症予防の必要性と天秤にかけたうえで避けるべきとされる2。喫煙・眼を保護しない(軽微な外傷でもを誘発しうる)も避ける1。

管理の中心は多科連携での定期監視である。眼科は少なくとも年1回の精査を行い、が生じればを検討する。消化管出血にはを、血管病変には科的治療を必要に応じて行う1。疾患そのものを止める治療(弾性線維の石灰化を止める治療)は現時点で存在せず、遺伝子治療や療法は研究段階にとどまる2。

まとめ

  • PXEはABCC6遺伝子変異によるの結合組織疾患で、全身の弾性線維にが起こる。
  • 皮膚(丘疹→弛緩性皮膚)と眼(peau d’orange→網膜色素線条→)はほぼ全例に、血管病変(虚血症状)は約60%、消化管出血は約10%にみられる。
  • 臨床診断は特徴的皮疹+網膜所見1つ以上で成立し、皮膚生検やで確定する。
  • アスピリン・・喫煙・眼を保護しないは避ける。管理は多科連携での定期監視と対症療法が中心で、根治療法はまだ無い。

出典

  1. 1.Pseudoxanthoma Elasticum(GeneReviews (NCBI Bookshelf)・2020)常染色体劣性遺伝でABCC6遺伝子変異が原因であること、皮膚病変(頸部・屈曲部の丘疹から弛緩性皮膚へ進行)と眼病変(peau d'orange・網膜色素線条・脈絡膜新生血管)がほぼ全例に生じること、血管病変(間欠性跛行・脳梗塞・腸管狭心症・腎血管性高血圧・狭心症/心筋梗塞)が約60%、上部消化管出血が約10%にみられること、臨床診断基準(特徴的皮疹+網膜所見1つ以上)と管理方針(少なくとも年1回の眼科定期検査、アスピリン・NSAID・喫煙・眼を保護しない接触競技の回避)を確認した。2020年6月4日改訂版閲覧 2026-09-08
  2. 2.Pseudoxanthoma elasticum(Orphanet Journal of Rare Diseases・2017)有病率が1/25,000〜1/100,000で女性にやや多いこと、現時点で根治療法は無く管理は対症的(眼合併症への抗VEGF療法・生活指導・必要に応じた血管外科治療)であること、遺伝子治療や薬理学的シャペロン療法が研究段階にあること、網膜新生血管からの出血リスクのためアセチルサリチル酸が原則禁忌とされ消化管出血例ではNSAIDと抗血小板薬も避けるべきとされることを確認した閲覧 2026-09-08