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Disease Atlas · 眼科 · 疾患

網膜色素線条

Angioid streaks

臓器系
眼科
科目
Microscopic Anatomy and Embryology (Microscopic Anatomy)Medical Physiology
トピック
組織学 17.1:眼生理学 8.04:視覚の生理
治療薬
ファリシマブラニビズマブアフリベルセプトベバシズマブ
症状
視力低下変視症
画像所見
光干渉断層計脈絡膜新生血管
元疾患
鎌状赤血球症弾性線維性仮性黄色腫
原因となる疾患
骨のパジェット病

🧠 全体像:網膜色素線条は「という眼底の1枚の膜が、石灰化して脆くなりする」ことで生じる線状の変化である。多くは無症候で経過観察のみでよいが、を合併するとを脅かす——このがすべての起点になる。線条そのものは特発性のこともあるが、弾性線維性仮性(PXE)がもっとも高頻度の背景疾患で、Paget病・鎌状赤血球症でも一定の頻度でみられる。治療の中心は合併したに対するであり、日本では2025年5月にこの適応でが承認された(・米国にはこの適応がない)。

病態:Bruch膜が石灰化して裂ける

一次病態は中間層にあるの変性であり、石灰化はその二次的な変化にすぎない。石灰化によって脆くなったが破裂し、周辺から放射状に広がる線状の変化として観察される1。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Bruch membrane'>Bruch膜</span>の弾性線維の変性"] --> B["石灰化<br>(二次的変化)"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Bruch membrane'>Bruch膜</span>の破裂"]
    C --> D["網膜色素線条<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='optic disc'>視神経乳頭</span>周囲から放射状)"]
    D --> E["多くは無症候"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroidal neovascularization'>脈絡膜新生血管</span>の合併"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='central visual acuity'>中心視力</span>障害<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='metamorphopsia'>変視症</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decreased visual acuity'>視力低下</span>"]

背景疾患:特発性のこともあるが、原因検索は必須

背景疾患 網膜色素線条の合併頻度
弾性線維性仮性(PXE) 59〜87%を占め、診断から20年でほぼ全例に生じる1
Paget病 8〜15%1
鎌状赤血球症 0.9〜6%1
歴史的に関連が指摘されてきたが、近年の文献では従来考えられたほど一般的でない1

💡 背景疾患が無くても線条は起こりうる(特発性)。 ただし網膜色素線条を見つけたら、上記の(結合組織の弾性線維の異常な石灰化を来す)を一度は検索する価値がある。の診断が先につくこともあれば、が先にを疑う糸口になることもある2。

合併症と治療:脈絡膜新生血管が視力予後を決める

経過中にを合併する頻度は高く、喪失の主因になる。無症候のまま経過観察でよい患者も多いが、を合併すれば(・・・など)がこれまでのところ最良のとされている1。

⚠️ 「網膜色素線条に伴う」は、いまのところ日本だけのである。 日本の電子添文は2025年5月の効能変更でにこの適応を追加した(1回6.0 mgで4週以上)が、のにも米国添付文書にも同じ適応は無い3。

無症候例では、外傷(軽微なでもを誘発しうる)を避けるためのの装用と、定期的な眼科検査による経過観察が管理の中心になる2。

まとめ

  • 網膜色素線条は、の弾性線維の変性と石灰化により膜が破裂して生じる線状の変化である。
  • 弾性線維性仮性(PXE)がもっとも高頻度の背景疾患(59〜87%)で、Paget病(8〜15%)・鎌状赤血球症(0.9〜6%)でもみられるが、特発性のこともある。
  • 多くは無症候で経過観察のみでよいが、を合併すると障害の主因になる。
  • 合併症の治療はが中心。日本では2025年5月にがこの適応で承認されたが、・米国にはこの適応が無い。

出典

  1. 1.Comprehensive review of angioid streaks(Indian Journal of Ophthalmology・2024)網膜色素線条の一次病態がBruch膜の変性であり石灰化はその二次的な変化であること、弾性線維性仮性黄色腫が全症例の59〜87%を占め診断から20年でほぼ全例に線条が生じること、Paget病での頻度が8〜15%、鎌状赤血球症での頻度が0.9〜6%であること、Ehlers-Danlos症候群との関連は歴史的に指摘されてきたが近年の文献では従来考えられたほど一般的でないこと、抗VEGF薬がこれまでのところ脈絡膜新生血管合併症に対する最良の治療手段であることを確認した閲覧 2026-09-08
  2. 2.Angioid Streaks(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)2024年3月3日改訂版。網膜色素線条がBruch膜の弾性線維の石灰化と断片化による破壊で視神経乳頭周辺から放射状に広がること、無症候例では経過観察のみでよく外傷予防のための保護眼鏡装用と定期眼科検査を指導することを確認した閲覧 2026-09-08
  3. 3.バビースモ硝子体内注射液120mg/mL 電子添文(中外製薬株式会社(PMDA 医療用医薬品情報。2025年5月改訂・第6版)・2025)日本の電子添文の「効能又は効果」が脈絡膜新生血管を伴う網膜色素線条を含み第5版(2025年5月、効能変更)で追加された日本独自の適応であること、用法は1回6.0 mgで投与間隔4週以上であることを確認した閲覧 2026-09-08