画像所見ノート一覧へ

Imaging findings · Published

脈絡膜新生血管

Choroidal neovascularization

別名
CNV脈絡膜新生血管膜
臓器系
眼科
科目
Translational Medicine and Pathophysiology
トピック
病態生理学 2-29:老化症候群の臓器レベルの症状
関連疾患
ポリープ状脈絡膜血管症加齢黄斑変性近視性脈絡膜新生血管点状脈絡膜内層症網膜色素線条

🧠 全体像:は、側から生じた異常血管がを越え、または網膜下へ入り込む所見である。もろく漏れやすいため、血管そのものだけでなく、網膜内・、、出血、線維化という「血管が起こした結果」まで一組で読む。⭐ 画像評価の目的は、原因疾患名を当てることだけではなく、活動性があり治療を急ぐか、治療後に再活性化しているかを判断することにある。

定義

は、血管から発生してを越える病的な網を指す。古くから使われる名称だが、黄斑部の病的には網膜から外向きに発育する3型も含まれるため、現在は包括語としてを用いる体系が推奨される1。

型 の位置・起源 構造OCTの基本像
1型 の下 不整な、その内部または直下の高反射性病変
2型 を越えた網膜下 より上、感覚網膜下の高反射性病変
3型 網膜循環(網膜毛細血管叢)から外網膜へ向かって下行 網膜内の高反射性病変と液体。由来が網膜循環なので「」という呼称は3型には当てはまらない1
混合型 1型と2型の成分が併存 下と網膜下の両方に成分がある
の血管網と結節状の血管拡張。1型の亜型として扱われる のな隆起とその下の結節。インドシアニングリーンで最もよく描出される

💡 1型・2型・3型は蛍光漏出の強さではなく解剖学的位置の分類である。 従来の「クラシック/オカルト」は主にの漏出パターンであり、現在の型分類と同じ軸ではない。

モダリティと写り方

検査 何を捉えるか 主な限界
・カラー 黄斑部の出血、灰、、瘢痕 下の血管網や微量の液体は直接評価しにくい
構造OCT の層、網膜内・、、網膜下高反射物質 血流を直接示さず、滲出物・血液・が似た高反射像を作る
早期のと後期漏出から血管の活動性・漏出範囲を評価 出血や色素でされ、深い1型病変の境界が不明瞭になりうる。造影剤を要する
インドシアニングリーン 近赤外光で下・出血下の血管を描出 造影剤を要し、すべての経過観察で反復する検査ではない
造影剤なしで層別に血流信号を示し、網の形態・広がりを追跡 漏出を示さない。遅い血流、瞬き・眼球運動、投影・分割誤差で偽陰性・偽陽性が生じる

単独の検査ですべては決まらない。構造OCTは滲出の結果、は漏出、は血流を示すため、構造・漏出・血流を重ねる多評価で初めて病変の位置と活動性が揃う2。

活動性を上げる形態

活動性を示す所見 読み方
新規または増加する・ による滲出を強く示唆する
新規出血 少量でも活動性を示す。OCTだけでは見落としうるため眼底診察と写真を併用する
の後期漏出 活動中の血管から造影剤が漏れていることを示す
の増大、網膜下高反射物質の増加 血管・血液・滲出・を含みうるため、他所見と併せて判定する
での血管網拡大・末梢分枝の増加 活動性を支持するが、血流信号だけで治療要否を単独決定しない

⚠️ 血管が見えることと、いま漏れていることは同義ではない。 治療後もでは血管幹が残存しうる一方、構造OCTで液体が消失していれば滲出活動性は抑えられていることがある。逆に血流が検出できなくても、分割誤差や遅い血流による偽陰性を考える。

評価の進め方

flowchart TD
    A["新しい<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metamorphopsia'>変視症</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='central visual acuity'>中心視力</span>低下<br>または眼底で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='macular hemorrhage'>黄斑出血</span>"] --> B["両眼の眼底診察・カラー写真<br>構造OCT"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraretinal fluid'>網膜内液</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subretinal fluid'>網膜下液</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pigment epithelial detachment'>色素上皮剥離</span>・出血があるか"}
    C -->|"ある"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluorescein angiography'>蛍光眼底造影</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='OCT angiography'>OCT血管撮影</span>で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='neovascularization (new vessels)'>新生血管</span>の存在と型を確認"]
    C -->|"不明瞭"| E["OCTの分<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cut surface'>割面</span>を再確認<br>必要に応じ多<span class='jp-term jp-term-diagram' title='modality'>モダリティ</span>撮像"]
    D --> F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pigment epithelium'>色素上皮</span>下病変・出血下病変<br>特殊な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroid'>脈絡膜</span>血管形態を疑うか"}
    F -->|"はい"| G["インドシアニングリーン<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluorescein angiography'>蛍光眼底造影</span>を追加"]
    F -->|"いいえ"| H["活動性と原因背景を統合"]
    G --> H
    E --> H
    H --> I{"新規出血・漏出・液体増加があるか"}
    I -->|"ある"| J["治療を速やかに開始・再開"]
    I -->|"ない"| K["過去画像と比較し短期追跡<br>再活性化を監視"]

に伴うでは(・・・適応外の)が第一選択となるため、急な、低下、新規出血・液体を認めた時点で眼科網膜専門評価へつなぐ3。経過観察では同一装置・同一位置のOCTと過去画像を比較し、液体の新規出現・増加を重視する。

紛らわしいもの・限界

類似所見 区別の要点
非血管性の 構造OCTだけでは似ることがある。で内部血流を確認し、造影所見と統合する
黄斑部の出血のみ 以外の出血原因もある。血管網・漏出・周囲構造を評価する
活動性炎症そのものも造影で染まり、OCTで高反射性病変になる。網の血流と漏出を多で分ける
網膜下の線維化・瘢痕 高反射性だが、液体や新規出血を欠き、過去画像で安定していれば活動性は低い
の 表層血管の投影、誤った層分割、眼球運動をと照合して除外する

原因は加齢性変化だけではなく、、炎症、外傷など複数の背景にまたがる。したがって若年者やな位置・形態では、所見をそのままと同一視せず、年齢、眼軸、炎症所見、外傷・を確認する。

まとめ

  • はを越えて進入する病的網で、漏出・出血・により中心視機能を損なう。
  • 現行分類はとの位置関係で1型・2型・3型に分け、3型まで含める包括語にはを用いる。
  • 構造OCTは液体と層構造、は漏出、は血流を示す。単一検査ではなく多で統合する。
  • ⭐ 新規出血、網膜内・の出現または増加、造影漏出は活動性を上げる所見であり、迅速な治療判断につながる。
  • で血管が残ることだけでは活動性を断定できず、過去画像との比較と構造OCTの滲出所見を重視する。

出典

  1. 1.Consensus Nomenclature for Reporting Neovascular Age-Related Macular Degeneration Data: Consensus on Neovascular Age-Related Macular Degeneration Nomenclature Study Group(Consensus on Neovascular Age-Related Macular Degeneration Nomenclature Study Group・2020)新生血管を網膜色素上皮との解剖学的位置で1型・2型・3型に分類し、3型を含む包括語として黄斑新生血管を用いる現行の命名体系を確認した。閲覧 2026-08-30
  2. 2.American Society of Retina Specialists Clinical Practice Guidelines on Multimodal Imaging for Retinal Disease(American Society of Retina Specialists・2024)OCTが微細構造、蛍光・インドシアニングリーン・OCT血管撮影が血管と灌流という異なる情報を担い、黄斑新生血管の診断と管理には複数モダリティを統合することを確認した。閲覧 2026-08-30
  3. 3.Age-Related Macular Degeneration Preferred Practice Pattern (2024, Updated 2026)(American Academy of Ophthalmology・2024)新生血管型加齢黄斑変性で眼底検査・OCT・血管造影を用いて出血、液体、新生血管の型と活動性を評価し、活動性病変では抗VEGF硝子体内注射が第一選択となることを確認した。閲覧 2026-09-05