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Disease Atlas · 眼科 · 疾患

ポリープ状脈絡膜血管症

Polypoidal choroidal vasculopathy

別名
PCV特発性脈絡膜血管異常Aneurysmal type age-related macular degeneration
臓器系
眼科
科目
Translational Medicine and Pathophysiology
トピック
病態生理学 2-29:老化症候群の臓器レベルの症状
鑑別疾患
加齢黄斑変性
治療薬
ラニビズマブベルテポルフィン
症状
視力低下変視症
画像所見
脈絡膜新生血管
適応薬
ベルテポルフィン

🧠 全体像:(PCV)は「典型的なの亜型」ではなく、が肥厚するパキスペクトラム疾患(を特徴とする)に分類される別の疾患単位である。臨床的にはと酷似した出血性・の黄斑病変を来すため、両者を鑑別することが診療の出発点になる——インドシアニングリーン蛍光造影(ICGA)でしか確実に見分けられない病態でありながら、東アジア人の滲出型AMD様病変の中で高頻度を占める点が、欧米中心の従来のAMD診療との最大の違いである。

病態:脈絡膜血管の異常拡張

PCVは、ポリープ状病変と、これにとして連なる血管網の2要素で構成される血管の異常である1。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroid'>脈絡膜</span>が肥厚する<br>パキ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='colloid'>コロイド</span>スペクトラム疾患"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroid'>脈絡膜</span>血管がびまん性に拡張・肥厚"]
    B --> C["異常な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='branched'>分枝状</span>血管網が形成される"]
    C --> D["血管網の末端が瘤状に拡張<br>=ポリープ状病変"]
    D --> E["出血・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='exudative change'>滲出性変化</span>を来し<br>黄斑機能を障害する"]

⭐ PCVは典型的なとは異なる疾患単位である。 が肥厚するパキスペクトラム疾患に分類され、の亜型として一括りにしない1。一方で、の滲出型と極めて類似した出血性・を呈するため、臨床的な鑑別対象として扱う。

⭐ 東アジア人では、滲出型AMD「様」の病変の中でPCVが高頻度を占める。 アジア人ののうちPCVが占める割合は22〜62%と報告されており1、日本人の片眼性滲出型AMDコホート(297例)でも、典型AMD 170例に対しPCVが119例(40.2%)と、(7例)を大きく上回った2。欧米で報告される割合よりはるかに高く、日本を含む東アジアの滲出型診療でPCVの鑑別が重視される理由になっている。

危険因子

  • 加齢(65歳以上)が主要な危険因子とされる1。
  • 典型的なと共通する背景(血管の加齢変化)を持つが、危険因子プロファイルは完全には一致しない。

診断

⭐ 確定診断のはICGA(インドシアニングリーン蛍光造影)である。 ポリープ状病変は造影早期に結節状のとして描出され、後期にはハロー様の所見を呈する1。

検査 所見
ICGA ポリープ状病変の結節状(早期)・ハロー様所見(後期)、血管網の描出
OCT() 先鋭に尖ったPED(剥離)、RPE下の輪状病変、不整なRPE挙上——ICGAがに施行できない環境での診断の手がかりになる

💡 ICGAが行えない施設では、OCT所見に基づくの実用性も報告されているが、確定診断としての位置づけはICGAに劣る1。

治療

⭐ 単独よりも、(PDT)との併用が優れる。 アジア人PCV患者を対象としたEVEREST II試験では、単独療法と比較して、+PDT併用療法がより大きな視力改善とより高いポリープをもたらした31。

⚠️ PDTが利用できない地域では、抗単独療法が主体となる。 併用療法が理想的だが、PDT設備がない施設では現実的な選択肢としてなどの抗単独療法が行われる1。

まとめ

  • (PCV)は、が肥厚するパキスペクトラム疾患に分類される疾患単位で、典型的なの亜型ではない。
  • 臨床像はと酷似し、東アジア人の滲出型の22〜62%(日本人コホートで40.2%)を占めるため、鑑別対象として重視される。
  • 病態はポリープ状病変+血管網から成る血管の異常拡張で、確定診断はICGAが標準、OCT所見が補助的手がかりになる。
  • 治療は+PDT併用が抗単独より優れるが、PDTが使えない施設では抗単独療法が主体となる。

出典

  1. 1.Polypoidal Choroidal Vasculopathy: An Update on Diagnosis and Treatment(Clinical Ophthalmology・2023)ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)が「ポリープ状病変」と「分枝状血管網」の2成分から成る脈絡膜血管の異常であり、脈絡膜が肥厚するパキコロイドスペクトラム疾患(脈絡膜肥厚を特徴とする疾患群)に分類され典型的な滲出型加齢黄斑変性とは異なる疾患単位とされること、アジア人の滲出型加齢黄斑変性のうちPCVが占める割合が22〜62%と高いこと、インドシアニングリーン蛍光造影(ICGA)でポリープ状病変が早期の結節状過蛍光、後期にハロー様所見を呈すること、光干渉断層計(OCT)での先鋭に尖ったPED(網膜色素上皮剥離)・RPE下の輪状病変・不整なRPE挙上が診断の手がかりになること、EVEREST II試験でラニビズマブ単独療法と比べラニビズマブ+ベルテポルフィン光線力学療法(PDT)併用療法がより大きな視力改善とポリープ閉鎖率をもたらしたこと、PDTが利用できない地域では抗VEGF単独療法が主体となることを確認した閲覧 2026-09-06
  2. 2.Drusen and pigment abnormality predict the development of neovascular age-related macular degeneration in Japanese patients(PLOS ONE・2021)片眼性滲出型加齢黄斑変性の日本人297例の後方視的コホートで、典型AMD 170例に対しポリープ状脈絡膜血管症が119例(40.2%)を占め、網膜血管腫状増殖の7例より大幅に多かったことを確認した閲覧 2026-09-06
  3. 3.Efficacy and Safety of Ranibizumab With or Without Verteporfin Photodynamic Therapy for Polypoidal Choroidal Vasculopathy: A Randomized Clinical Trial(JAMA Ophthalmology (EVEREST II Study Group)・2017)アジア人のポリープ状脈絡膜血管症患者を対象に、ラニビズマブ単独療法とラニビズマブ+光線力学療法併用療法を比較した無作為化比較試験であることを確認した閲覧 2026-09-06