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Drug Atlas · A5 Adrenergic agonists / アドレナリン作動薬

フォレドリン

pholedrine

分類
Adrenergic agonists / アドレナリン作動薬
商品名(EU)
Veritol
科目
Pharmacology
トピック
A5: Indirect sympathomimetics. Selective α1 agonists

🧠 全体像:フォレドリン(4-hydroxy-N-methylamphetamine)は、のN-メチル誘導体にあたるである1。かつてはドイツなどで低血圧・への(商品名Veritol)として使われた古い薬だが、今日この薬を学ぶ実質的な理由はただ1つ——が入手困難になった状況で、の・を鑑別する点眼試験の代替薬として実際に置き換わっている、という一点に尽きる。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 機序の系統 現在の実地での役割
純粋な型(節後終末のノルアドレナリン遊離) の局在診断(原法)。単剤製剤・配合剤ともに米国で販売中止
フォレドリン 同じ型(のN-メチル誘導体) が入手できない現在、局在診断の点眼試験を実際に代替している薬
同じ型(食品にも含まれる) 力価が弱く診断試験としては実用的でない

⭐ 「原法が手に入らないなら、同じ機序を持つ薬で置き換える」という発想そのものが、この薬を覚える理由である。 構造的にきわめて近い類縁薬(N-が付加されただけ)だからこそ、代替が成立する。

機序

flowchart TD
    A["フォレドリンを点眼"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='postganglionic sympathetic nerve terminal'>節後交感神経終末</span>に取り込まれる"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='postganglionic fiber'>節後線維</span>は健常か"}
    C -->|"健常(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='preganglionic'>節前性</span>の障害)"| D["終末内のノルアドレナリン貯蔵から遊離"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dilator pupillae'>瞳孔散大筋</span>のα1受容体を刺激"]
    E --> F["瞳孔が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dilation (mydriasis)'>散大</span>する(両眼とも)"]
    C -->|"変性している(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='postganglionic'>節後性</span>の障害)"| G["ノルアドレナリン貯蔵が枯渇し遊離できない"]
    G --> H["患側の瞳孔は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dilation (mydriasis)'>散大</span>しない"]

💡 の項で説明した鑑別原理(節後終末が健常かどうかを映す鏡になる)が、フォレドリンにもそのまま当てはまる。 違いは分子に付加されただけで、型という機序の本質は変わらない。

適応

適応の系統 内容
診断的(現在の実質的用途) と確認された患者における・の鑑別。の代替薬として1%溶液を用いる2
歴史的用途 低血圧・に対する(ドイツ等でVeritolの商品名)。現在ではスイスなど複数国で販売中止になっている

⚠️ 代替が生まれた経緯を理解しておく。 に従来用いられてきたの濃度は0.5%だったが、これが入手できなくなったため、著者らは1%フォレドリンを代替として提案した2。「濃度が0.5%から1%へ変わっている」のは薬理学的な優劣ではなく、入手可能性という実務上の理由による。

用法・用量

健常者10例で・・フォレドリンの点眼によるを比較した研究では、両眼の垂直を赤外線瞳孔計で点眼前および点眼後10〜15分間隔で測定し、薬物のに達するまで(通常45〜60分)追跡している2。判定はの項と同様、このの時点で左右のを比較して行う。

⚠️ 力価はより弱い。 同研究でに対する力価比はフォレドリン0.62・0.047であり、3剤とものを示した2。フォレドリンの1%溶液は、この力価の低さをより高い濃度で補う設計になっている。

⚠️ の色素が濃いほどが小さい点も共通する。 濃く色素沈着したをもつは、フォレドリンを含む3剤いずれでも青色・ヘーゼルのをもつより有意にが小さかった(F=41.676、p<0.001)2。判定は同一患者の左右差で行い、絶対値を個人間で比較しない。

必ずまたはで陽性と確認した後に行う(の項を参照)。実際の運用は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • と同じであるため、節後終末のノルアドレナリン取り込み・貯蔵に影響する薬剤(、など)の併用歴は結果の解釈を歪めうる
  • 結果は単独で確定診断とせず、画像検査・臨床経過と合わせて判断する(原著も「診断の補助以上のものとして用いるべきでない」としている)2
  • としての用法(歴史的用途)に関する現行の添付文書は今回確認できていない。は複数国で既に販売中止になっている。

副作用

として使われていた歴史的な文脈での全身性副作用(頻脈・頭痛など、他のに共通するもの)は想定されるが、今回一次資料で確認できたのは点眼による局所的な試験のデータに限られる。眼科診断用途でのについて、原著は特記すべき有害事象を報告していない2。

まとめ

  • フォレドリンはのN-メチル誘導体で、同じ(節後終末からのノルアドレナリン遊離)である。
  • ⭐ 今日この薬を学ぶ理由は、の局在診断(・の鑑別)でが入手困難になった状況の代替薬として実際に用いられているからである。
  • 力価はよりやや弱く(力価比0.62)、その分1%溶液として用いる。判定原理・タイミング(、通常45〜60分)・色素による量の差は、いずれもと共通する。
  • 歴史的には低血圧・に対する(商品名Veritol、主にドイツ)として使われたが、この用途の製剤は複数国で販売中止になっている。
  • 診断結果は単独で確定的に扱わず、補助的に用いる。

出典

  1. 1.Pholedrine — MeSH Supplementary Concept Record (C005877)(U.S. National Library of Medicine(MeSH)・2018)2018年11月27日最終更新のMeSH補助概念レコードで、フォレドリンの化学名が4-(2-(メチルアミノ)プロピル)フェノール(別名4-hydroxy-N-methylamphetamine)であること、Veritol・Pulsotylなどの商品名が同義語として登録されていること、薬理分類がメタンフェタミン類縁体に属する中枢神経刺激薬/交感神経刺激薬(sympathomimetic)であることを確認した。閲覧 2026-09-16
  2. 2.Pholedrine: a substitute for hydroxyamphetamine as a diagnostic eyedrop test in Horner's syndrome(Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry・1995)健常者10例でチラミン・ヒドロキシアンフェタミン・フォレドリンの点眼による散瞳を比較した研究。方法の PUPIL MEASUREMENTS の節に、両眼の垂直瞳孔径を赤外線瞳孔計で点眼前と点眼後10〜15分間隔で測定し、薬物の最大効果に達するまで(原文は "usually at 45-60 minutes")続けたと記されていること、3剤とも用量依存性の散瞳を示しヒドロキシアンフェタミンに対する力価がフォレドリン0.62・チラミン0.047であったこと、虹彩の色素が濃い被験者では3剤いずれでも青色・ヘーゼルの虹彩をもつ被験者より散瞳が有意に小さかったこと(F=41.676、p<0.001)、著者らが従来この診断検査に用いられてきたヒドロキシアンフェタミンの濃度を0.5%とし、それが入手できなくなったため1%フォレドリンを代替として提案していること、Horner症候群におけるこの種の点眼検査は診断の補助以上のものとして用いるべきでないと結論していることを、PMC1073320の全文PDF(Europe PMC経由)で確認した閲覧 2026-09-13