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Imaging findings · Published

empty delta徴候

Empty delta sign

別名
デルタ徴候empty delta sign
臓器系
神経
科目
NeurologyAnatomy
トピック
神経内科 G1-18:脳静脈循環障害解剖学 7.3:頭部:頭蓋腔と髄膜

🧠 全体像:empty delta徴候は、造影CT・MRIで静脈洞(代表は上矢状洞)を横切る断面に現れる、造影された硬膜の壁に囲まれた中心が抜けた三角形(Δ)のである。中心の「」な部分が血栓そのもの、周囲の造影される壁は血栓を取り巻く豊富な硬膜静脈を反映する。で決めるべきは徴候の有無だけではなく、この所見が正常変異や撮影タイミングの偽陽性ではないかを見極め、確定にはMR/CT静脈撮影へ進むという次の一手である。

所見の定義

  • 必ずの画像で評価する所見であり、・単純MRIでは定義できない。 造影されない血栓周囲を、造影される硬膜が三角形に取り囲むことで初めて「Δの中に空洞がある」という形に見える。
  • 名称の由来は、上矢状洞の横断像に現れる形がギリシャ文字Δ(デルタ)に似ることによる。
  • 古典的には上矢状洞の血栓症で記載された所見だが、など他のの血栓でも同様の原理で出現しうる(血栓症を参照)1

モダリティと写り方

・相 見え方 位置づけ
早期(発症後1〜2週間程度)は血栓自体がを示すcord sign(徴候)・dense triangle sign(三角)として写ることがある empty delta徴候に先行する所見で、造影しなくても血栓の存在を示唆できるが感度は高くない
造影CT 造影された硬膜壁に囲まれた低吸収域として三角形の(empty delta徴候)が見える 発見のきっかけになるが、下記の偽陽性の落とし穴が多い
MRI( CT同様、造影される硬膜に囲まれた域として描出できる CTと同じ原理だが軟部組織のに優れる
MR静脈撮影(MRV)・CT静脈撮影(CTV) 静脈洞内の信号消失・血流欠如を直接描出する 確定診断に用いる。empty delta徴候だけでを決めない

💡 での(cord sign/dense triangle sign)は血栓がなうちに限られ、時間の経過とともに血栓の吸収値は低下して見えにくくなる。一方empty delta徴候は造影という別の原理で描出するため、で所見が乏しくなった時期でも造影で血栓を検出できることがある。

⚠️ 紛らわしいもの

empty delta徴候は偽陽性が多いことで知られる所見であり、次を確認してから血栓症と判定する。

紛らわしいもの 区別の手掛かり
撮影タイミングが早すぎる 頭蓋内圧亢進などで静脈洞への造影剤到達が遅れている場合、単に造影剤がまだ届いていないだけで血栓に見えることがある。を確認し、必要なら撮り直す
CSFと等信号・境界明瞭で、静脈洞の拡張を伴わない。血栓による欠損は辺縁が不整で洞の拡張を伴いやすい2
横・の低形成・分裂(正常変異) 性の低形成・無形成は個体の20〜39%と高頻度に存在する正常変異で、特に左右差は正常範囲のことが多い。骨性の静脈溝(・S状溝)の大きさが小さければ先天性の低形成を、血栓なら骨性溝と不釣り合いな狭小化を示唆する2
洞内中隔・有窓化 静脈洞内のや分裂した洞の構造が、線状の充盈欠損として偽陽性を生む
慢性期血栓の 血栓の器質化に伴う血管新生が強く造影され、見かけ上正常な開存に見えることがある(偽陰性方向の落とし穴)

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cerebral venous sinus thrombosis (CVT)'>脳静脈洞血栓症</span>を疑う臨床像"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='noncontrast CT'>単純CT</span>を確認"]
    B --> C{"cord sign/dense triangle signがあるか"}
    C -->|"あり"| D["血栓を強く示唆。造影へ進む"]
    C -->|"なし・不明瞭"| E["除外はできない。造影へ進む"]
    D --> F["造影CT/MRIでempty delta徴候を確認"]
    E --> F
    F --> G{"撮影タイミング・正常変異の<br>落とし穴を除外できるか"}
    G -->|"除外できない・所見が非典型"| H["MR/CT静脈撮影で信号消失・血流欠如を直接確認"]
    G -->|"典型的で臨床像とも一致"| H
    H --> I["過去画像・骨性静脈溝の形態と比較し<br>先天性低形成でないかを確認"]

まとめ

  • empty delta徴候はの画像でのみ定義され、造影される硬膜壁に囲まれた三角形のとして血栓を示す所見である。
  • のcord sign/dense triangle signは早期に先行しうるが感度は高くなく、確定にはMR/CT静脈撮影が必要である。
  • 撮影タイミングの早さ、、横・の高頻度な正常変異(低形成・分裂)は代表的な偽陽性の原因であり、骨性静脈溝の形態や過去画像との比較で除外する。

出典

  1. 1.Lateral Sinus Thrombosis in Otology: A Review(Mediterranean Journal of Hematology and Infectious Diseases・2010)造影CTで洞周囲硬膜増強を示す古典的な"delta徴候"(empty delta sign)が確認できること、MR静脈撮影は静脈洞内の信号消失・血流欠如をより高感度に描出でき治療効果判定にも有用であることを確認した(Radiology節)閲覧 2026-08-11
  2. 2.Non-Thrombotic Filling Defects in Cerebral Veins and Sinuses: When Normal Structures Mimic a Disease(Neurology International・2025)くも膜顆粒はCSFと等信号で境界明瞭・静脈洞の拡張を伴わない点で血栓による不整な辺縁・洞拡張を伴う充盈欠損と区別できること、横静脈洞の一側性低形成・無形成が個体の20〜39%に見られる高頻度の正常変異であり血栓による欠損と誤認されやすいこと、慢性期血栓の再疎通に伴う血管新生が造影後に強く増強し見かけ上の開存として誤読されうること、単一のモダリティの限界からCE-MRVを中心に複数の撮像法を組み合わせることが診断精度を高めることを確認した(Section 4.1.2 Arachnoid Granulations/Section 4.3.2 Transverse Sinus Variations/Section 4.2 Artifacts/Section 3)閲覧 2026-08-11