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Imaging findings · Published

Halo徴候

Halo sign (ring sign)

別名
リング徴候二重リング徴候
臓器系
神経耳鼻咽喉科
科目
ENT
トピック
耳鼻咽喉科 18:外耳・中耳・内耳の外傷耳鼻咽喉科 31:副鼻腔・顔面骨格・前頭蓋底の外傷

🧠 全体像:Halo徴候は、血液の混じったをガーゼや吸水紙に垂らしたときに中心の血液斑の周囲へ透明な輪(リング)が広がるという、を疑うための床上での簡易所見である。診察の場でその場で行えるという利点はあるが、実は血液と混ざればCSFに限らずや普通のでも同じ輪ができることが実験的に示されており、特異度が低い(髄液以外の体液でも同じ輪ができる)。この所見の役割は「を疑うきっかけを作ること」までであり、β2でなければならない。なお、名前が似た別名)は胎児死亡のを示す全く別の所見であり、混同しないこと。

所見の定義

血液の混じったを吸水性のある布・ろ紙・ガーゼなどに1滴垂らすと、中心に血液が濃く集まり、その周囲に淡く染まった輪(ハロー)が広がる二重リングのパターンを形成する。これがHalo徴候(リング徴候、二重リング徴候)である。

この現象は、血液と髄液の・拡散速度の違いにより、比重の大きい血球成分が中心にとどまり、水分に富む髄液成分がより速く外側へ拡散することで生じると理解されている。

⚠️ この所見はCSFに特異的ではない。 血液1滴と髄液・・水道水・液(正常な)のいずれかをろ紙上で混合する実験では、血液と混合したすべての体液が同じリング徴候を生じ、血液単独ではリングが発生しなかった。すなわちリング徴候は「何らかの体液が血液と混ざって分離したこと」を示すだけで、その体液が髄液かどうかまでは区別できない1

モダリティと写り方

Halo徴候は画像検査ではなく、の一部として行う床上検査である点が、他の画像所見と最も異なる。

内容
手技 血液混じりのをガーゼ・吸水紙・リネン類に1滴垂らし、数分間観察する
陽性所見 中心の血液斑の周囲に淡い輪状の染みが広がる
検体 外傷後・術後の水様性
位置づけ 確定検査ではなく、を疑うきっかけとしての補助的な

としてはβ2(血清・には存在せず髄液・にのみみられるの異なる分画)を提出する。既報の感度・特異度はおおむね感度87〜100%・特異度71〜100%とされるが、化膿性副鼻腔炎・鼻をかんだことによる粘液混入・検体採取の誤り・血液混入が偽陽性・偽陰性の原因になりうる2。漏出点の局在にはやCT/MRシステルノグラフィ、軟部組織評価にはMRIを用いる3

見逃してはいけない使い方の誤り

  • Halo徴候陰性を根拠にを除外しない。 リング形成には一定量以上の体液が血液に混ざる必要があり、微量の漏出や乾燥した検体では陰性になりうる。
  • Halo徴候陽性だけで確定診断としない。 ・水道水・通常のでも同じ輪を生じうるため、陽性はあくまで「疑う根拠」にとどめ、β2で確認する1
  • ブドウ糖の試験紙判定も同様に精度が低く、にも糖が含まれるため偽陽性を生じやすい。Halo徴候・糖試験紙のいずれも確定検査の代替にはならない。

評価の進め方

flowchart TD
    A["外傷後・術後の水様性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rhinorrhea'>鼻漏</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='otorrhea'>耳漏</span>"] --> B["血液混じりの検体をガーゼに垂らす"]
    B --> C{"中心の血液斑の周囲に<br>淡い輪が広がるか"}
    C -->|"あり"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='CSF leak'>髄液漏</span>を疑う所見として記録する<br>(確定診断ではない)"]
    C -->|"なし・判然としない"| E["所見が無くても<span class='jp-term jp-term-diagram' title='CSF leak'>髄液漏</span>を否定しない"]
    D --> F["検体をβ2<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transferrin'>トランスフェリン</span>へ提出する"]
    E --> F
    F --> G{"β2<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transferrin'>トランスフェリン</span>陽性か"}
    G -->|"陽性"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high-resolution CT'>高分解能CT</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dehiscence'>骨欠損</span>部位を評価"]
    G -->|"陰性だが疑いが強い"| I["採取条件・副鼻腔炎・血液混入を確認し再検査"]

紛らわしいもの

  • (別名:名称が似ているが全く別の概念。頭皮の浮腫によって頭蓋骨と頭皮のあいだに生じる分離を示す、の一つであり、の診断とはである。
  • 通常の・唾液・涙が血液と混ざった場合も、同じ二重リングを生じうる(前述の実験結果)。外傷後の血性分泌物すべてに反射的にHalo徴候陽性と判定しない。
  • ブドウ糖試験紙による「偽陽性」:にもブドウ糖が微量含まれ、糖測定単独ではの確認にならない点はHalo徴候と共通する落とし穴である。

まとめ

  • Halo徴候は血液混じりのをガーゼに垂らし、中心の血液斑の周囲に透明な輪が広がるかを見る床上での簡易所見である。
  • 特異度は低く、血液と混ざればCSF以外の体液(・正常ななど)でも同じ輪を生じることが実験的に示されている。
  • 陽性はあくまでを疑うきっかけであり、確定にはβ2が必要である。
  • 陰性であってもを否定する根拠にはならない。
  • 名称の似た(胎児死亡の)とは全く別の概念であり、混同しない。

出典

  1. 1.The 'ring sign': is it a reliable indicator for cerebral spinal fluid?(Annals of Emergency Medicine(Dula DJ, Fales W)・1993)血液1滴と髄液・生理食塩水・水道水・鼻漏液のいずれかをろ紙上で混合し10分後にリング(ハロー)徴候の発生を検討した実験で、血液と混合したすべての体液がリング徴候を生じ血液単独ではリングが発生しなかったこと、この実験設定においてリング(ハロー)徴候は体液の分離を検出できるが**髄液に特異的ではない**と結論づけたことを確認した。閲覧 2026-08-11
  2. 2.Diagnostic Accuracy of Beta-2 Transferrin Gel Electrophoresis for Detecting Cerebrospinal Fluid Rhinorrhea(The Laryngoscope・2025)β2トランスフェリン検査の感度・特異度は既報でおおむね感度87〜100%・特異度71〜100%とされる一方、単施設での検証でも化膿性副鼻腔炎・鼻をかんだことによる粘液混入・検体採取の誤り・血液混入が偽陽性/偽陰性の主な原因になること閲覧 2026-08-11
  3. 3.Cerebrospinal Fluid Leak(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)β2トランスフェリンが髄液漏の確認検査として高い特異度・感度をもつ検査であること、骨欠損部位の同定には高分解能CT、漏出点の局在にはCT/MRシステルノグラフィ、軟部組織評価にはMRIが用いられることを確認した。閲覧 2026-08-11