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Imaging findings · Published

楔状の造影欠損

Wedge-shaped perfusion defect

別名
楔状灌流欠損
臓器系
腎・泌尿器循環器
科目
Pathology
トピック
病理学 A/04:凝固壊死(臓器別の所見)
関連疾患
腎梗塞脾梗塞

🧠 全体像の造影欠損は、で「良悪性」を決める所見ではなく、動脈の支配領域(区域)がそのまま虚血に陥ったことを示す形の所見である。腎の区域動脈はを持たない終末動脈のため、1本が詰まるとその全体が楔形に染まらなくなる——が血管側(部)、底が被膜側という向きは、血流がから皮質表面へ向かって扇状に広がる解剖をそのまま反映している。この所見は造影CTのでなければ検出できないため、だけで「なし」として見逃す落とし穴がある。

所見の定義

造影CTで、正常な腎実質の増強効果が扇状・三角形(楔形)に途切れる領域として描出される。境界は比較的明瞭で、・髄質側を、底辺は被膜側を向く1。単一区域の閉塞では単発の楔形病変、複数区域や本幹の閉塞ではより広範な欠損域として現れる。

なぜ楔形になるか

腎の区域動脈は互いに吻合を持たない終末動脈である。1本の区域動脈が塞栓・血栓で閉塞すると、その全体が虚血に陥る一方、隣接する区域は別の動脈から灌流されているため無傷のまま保たれる。この「支配領域の境界がそのまま病変の境界になる」という性質が、楔形という形そのものを説明する12

flowchart TD
    A["区域動脈が塞栓・血栓で閉塞"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='collateral circulation'>側副血行</span>のない終末動脈のため<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='territory of innervation'>支配域</span>全体が虚血に陥る"]
    B --> C["隣接区域は別の動脈で灌流され無傷"]
    C --> D["造影CTで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='wedge-shaped'>楔状</span>の造影欠損として描出<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pointed end'>尖端</span>=<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal hilum'>腎門</span>側、底辺=被膜側)"]
    D --> E["数日後、被膜動脈からの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='collateral circulation'>側副血行</span>で<br>皮質辺縁だけが染まる(皮質辺縁徴候)"]

モダリティと写り方

⚠️ では見えない。造影CTのが必須である。 ・腎盂腎炎の除外には有用だが、では組織の濃度上昇など乏しい所見しか示さないことが多く、これだけで診断的な検査にはならない1。「痛+血尿でに結石が無い」で終わらせず、臨床的に疑いが残れば造影CT()を追加する必要がある。

所見
所見に乏しい(軽度腫大、織の濃度上昇程度)
造影CT・ の造影欠損がもっとも明瞭
造影CT・数日後(遅延) 皮質辺縁徴候を伴うことがある

紛らわしいもの・関連所見

皮質辺縁徴候は、の造影欠損に隣接して、被膜直下の薄い皮質層だけが正常に近い増強効果を保つ所見である。腎被膜動脈は副・尿管動脈・などからを受けており、この経路で灌流され続けた被膜下皮質だけが染まる。発症直後には目立たず、発症から数日が経過してから明瞭になる——が確立するまでに時間を要するためである。のおよそ半数で認められる所見であり、見えないからといって梗塞を否定しない1

同じ「支配領域がそのまま抜ける」機序は腎に限らず、など他のの梗塞でも同じ楔形をとる。臓器が変わっても、終末動脈のという考え方は共通している。

まとめ

  • の造影欠損は、動脈の支配領域(区域)全体が虚血に陥ったことを示す形の所見で、・髄質側、底辺は被膜側を向く。
  • を持たない終末動脈という腎の血管解剖が、この形そのものの理由になる。
  • ⚠️ では検出できず、造影CTのが必須。で結石が無いだけでを除外しない。
  • 皮質辺縁徴候は、被膜動脈からので皮質辺縁だけが灌流され続ける所見で、発症から数日後に明瞭になり、約半数の症例で見られる。
  • 同じ楔形の梗塞パターンは脾・肺など他のでも共通する。
  • の診断では、この所見とLDH(AST/ALT非上昇)を組み合わせて確認する。

出典

  1. 1.Renal Infarction(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)区域動脈の閉塞が腎実質の古典的な「楔状の造影欠損」を作ること(尖端が腎門・髄質側を向くこと)、全ての腎区域動脈が側副血行を持たない終末動脈であるため閉塞が虚血・梗塞に直結すること、単純CTが所見に乏しく診断的でない場合は造影CTを追加すべきこと、造影CTでは動脈相でもっとも明瞭に楔状の造影欠損を確認できること、皮質辺縁徴候(cortical rim sign)が腎梗塞例の約半数で認められ、腎被膜動脈からの側副血行により被膜下皮質の灌流が保たれることで発症から数日後に明瞭になることを確認した(Pathophysiology節・Imaging Studies節)閲覧 2026-08-12
  2. 2.Renal Artery Stenosis and Occlusion(Merck Manual Professional Version・2024)腎梗塞が典型的に楔状を呈し、閉塞した血管から外側へ向かって広がる形態をとること、CT血管造影による診断にはヨード造影剤の静脈内投与を要すること(腎毒性のリスクを伴う)を確認した(Etiology節・Diagnosis節)閲覧 2026-08-12