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Imaging findings · Published

消化管通過シンチグラフィ

Whole gut transit scintigraphy

別名
全消化管通過シンチグラフィレジン顆粒シンチグラフィ
臓器系
消化器
科目
Medical Physiology
トピック
生理学 6/2:消化管の運動機能とその制御
関連疾患
慢性偽性腸閉塞

🧠 全体像:この検査で決めるのは「胃だけ」でも「大腸だけ」でもなく、口から肛門までのを1回の検査で連続的に評価することである。⚠️ CIPOの診断手順の中では終盤に位置する検査——単純X線・造影CTでを除外し、内視鏡でを除外した後にそのものを評価する段階で使う。ここで通過異常が確認されて初めて、次のマノメトリー(内圧測定)で・の鑑別に進む——「拡張はあるがはない」を「本当に運動が悪い」に変える検査である。

検査の原理と実施法

で標識した食事・マーカーを摂取させ、消化管内を移動するの分布をに追跡することで、生理的な条件下でのを胃・小腸・大腸の各区間について測定する。

区間 代表的な標識法 主な指標
胃 固形食を硫黄で標識 胃内(と共通)
小腸 液体成分をIn-111 で標識、または固形食に混ぜたレジン顆粒(Amberlite樹脂粒子等)で標識 貯留部への到達率、口腔盲腸
大腸 In-111 粒子を封入した遅延放出カプセル(回腸終末部のアルカリ性環境で溶解)など

SNMMI/EANMの合同ガイドラインは、固形成分を硫黄・液体成分をIn-111 水で標識するを標準とし、代替法としてIn-111 粒子を封入した遅延放出カプセルを挙げる1。レジン顆粒を食事に混ぜて測定する方法もに用いられ、健常者の口腔盲腸は151〜290分の範囲と報告されている2。

判定の目安

区間 正常の目安
小腸通過 摂取6時間後に40%超のがに到達・通過していれば正常2
大腸通過(幾何中心) 24時間 4.6±1.5/48時間 6.1±1.0/72時間 6.6±0.19(平均±SD)2

⚠️ 数値は用いる標識法・プロトコルで変わる。 上記はIn-111 を用いたでの代表値であり、施設のプロトコルに応じたで判定する。ルーチンのを延長するだけの簡易法では、小腸通過の指標(貯留部の比)が4時間で37%超、大腸幾何中心が24時間で2.8〜4.4を正常域とする報告もあり、プロトコルが違えばも違う1。

CIPOの診断フローにおける位置づけ

flowchart TD
    A["単純X線・造影CTで<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='mechanical obstruction'>機械的閉塞</span>を除外"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='upper gastrointestinal endoscopy'>上部消化管内視鏡</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='colonoscopy'>大腸内視鏡</span>で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='organic lesion'>器質的病変</span>を除外"]
    B --> C{"内視鏡で異常なしか"}
    C -->|"はい"| D["消化管通過<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scintigraphy'>シンチグラフィ</span><br>(胃・小腸・大腸の通過を評価)"]
    D --> E{"通過異常があるか"}
    E -->|"あり"| F["食道・胃・小腸のマノメトリー<br>(内圧測定)で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myogenic'>筋原性</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurogenic'>神経原性</span>を鑑別"]
    E -->|"なし"| G["他の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='functional disorder'>機能性疾患</span>を再検討"]

⭐ 通過異常の組み合わせが診断を支持する。 ・小腸通過遅延・大腸通過遅延がそろって認められることが、特発性の慢性(CIPO)の診断を後押しする所見となる2。異常があれば、収縮パターンと振幅から・を鑑別するマノメトリーに進む3。

⚠️ 紛らわしいもの・注意点

  • 機能性の診断確定は、原因の除外が前提になる。 画像・内視鏡検査で解剖学的・(腫瘍・狭窄・など)が除外されるまでは、所見だけで一次性の運動障害と確定してはならない2。
  • 通過遅延はCIPOに特異的ではない。 、強皮症、セリアック病など多様な病態でも通過遅延・亢進のパターンを呈するため、臨床像・他検査と併せて解釈する。
  • 単回の測定値は・食事内容・服薬(・オピオイド・など運動に影響する薬剤)の影響を受ける。検査条件を揃えることが結果のを左右する。

まとめ

  • 全消化管通過は、放射性標識した食事・マーカー(レジン顆粒、In-111 等)を用いて胃・小腸・大腸の通過を1回で連続評価する検査。
  • CIPOの診断手順では、の除外(画像)→の除外(内視鏡)の後に位置し、通過異常が確認されれば次にマノメトリーで・を鑑別する。
  • 小腸通過は6時間で40%超の到達を正常の目安とし、大腸通過は幾何中心(24時間4.6±1.5等)で評価する。プロトコルによりは異なる。
  • 原因の除外が前提であり、通過遅延自体はCIPOに特異的な所見ではない。

出典

  1. 1.Assessment of Small-bowel and Colonic Transit on Routine Gastric Emptying Scintigraphy: Establishment of Reference Values(Indian Journal of Nuclear Medicine(Kumar S, Chanu AR, Jaleel J ほか)・2024)本文を取得して確認した(PMC11135368、健常対照29例の前向き研究)。SNMMI/EANM合同ガイドラインが全消化管通過シンチグラフィの標準法として、固形成分をTc-99m硫黄コロイド・液体成分をIn-111 DTPA水で標識する二重トレーサー法、または代替法としてIn-111 DTPA活性炭粒子を封入した遅延放出カプセルを推奨していること、routine胃排出シンチグラフィの延長として小腸通過(終末回腸貯留部の放射能比=ISBT)・大腸通過(大腸幾何中心=CGC)を同時評価する手法を検証し、幾何平均法でのISBT基準値を摂取4時間後37%超、CGC基準値を24時間で2.8〜4.4と設定したことを確認した。閲覧 2026-09-08
  2. 2.Gastrointestinal Motility, Part 2: Small-Bowel and Colon Transit(The Journal of Nuclear Medicine(Maurer AH)・2015)PDF全文を取得して確認した(J Nucl Med. 2015;56(9):1395-1400)。小腸・大腸通過シンチグラフィの適応に慢性特発性腸管偽性閉塞(chronic idiopathic intestinal pseudoobstruction)が含まれること、レジン顆粒を食事に混ぜて測定した健常者の口腔盲腸通過時間(orocecal transit time)が151〜290分の範囲であったこと(引用文献18: Krevsky B et al. 1992)、SNMMI/EANM合同ガイドラインが小腸通過の簡便な指標として摂取6時間後に終末回腸に到達・通過した放射能の割合を用い40%超で正常と判定すること、大腸通過は幾何中心(geometric center)を指標とし正常値が24時間で4.6±1.5・48時間で6.1±1.0・72時間で6.6±0.19であること、全消化管通過シンチグラフィが胃排出遅延・小腸通過遅延・大腸通過遅延の組み合わせを示すことで特発性腸管偽性閉塞の診断を支持すること(引用文献36)、原文が「A final diagnosis of a primary motility disorder by scintigraphy should not be made until an anatomic or structural cause...has been excluded by imaging or endoscopy」として画像・内視鏡による器質的原因の除外が本検査による機能性診断確定の前提であることを確認した。閲覧 2026-09-08
  3. 3.Intestinal Pseudo-Obstruction(StatPearls (NCBI Bookshelf)(Ahmed S, Sharman T)・2023)本文を取得して確認した(Last Update: July 3, 2023)。慢性偽性腸閉塞(CIPO)の診断では、慢性症状の患者にビタミンB12・葉酸・TSH・セリアック血清学検査で代謝性・自己免疫性異常を評価し、単純X線・造影CTで機械的閉塞のないびまん性の腸管拡張を確認したうえで、上部消化管内視鏡・大腸内視鏡で器質的病変を除外し、異常がなければレジン顆粒を用いた消化管通過シンチグラフィで運動機能を評価し、異常があれば食道・胃・小腸の内圧測定(マノメトリー)で収縮パターン・振幅から筋原性と神経原性を鑑別すること、高度の運動障害があり診断がついている場合は全層生検で腸管神経系の異常を同定できることを確認した。閲覧 2026-09-08