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Microbe Atlas · 細菌

Brucella suis

分類
G− 球桿菌 / Gram− coccobacilliBrucella
性状
Gram陰性 (G−)球桿菌 Coccobacilli
科目
Medical Microbiology
トピック
2/22: Brucella genus
原因となる疾患
ブルセラ症

🧠 全体像:Brucella suisはBrucella melitensisと同じ「マクロファージに乗ってを巡回する」基本病態を持つブルセラ属菌で、リザーバーがブタである点が異なる。の原因種であり、養豚・食肉解体というに加え、米国では野生化したブタ(イノシシ)の狩猟・解体が現在の主要なである——1972年に全国撲滅計画が養豚へ拡大されて商業養豚からが排除されたため、いま残るブタ関連はほぼ野生化ブタへの曝露による12。ヒトの臨床像・診断・治療はB. melitensisと共通するため、ここではB. suisに固有の疫学と臨床的特徴を扱う。

微生物学的な特徴・病原性の仕組み

グラム陰性・の球桿菌で、マクロファージ内でを阻害して生存するという基本性状は属共通——詳しい機序はBrucella melitensisを参照。Brucella属はの分類でカテゴリーB——「散布が中等度に容易」「中等度の発病率と低い」「診断能力との強化を要する」群——に置かれており3、培養操作自体が検査者への感染リスクとなる点も同じである。

感染経路と疫学

  • リザーバーはブタ。養豚・食肉解体業者のに加え、野生化したブタ(イノシシ)の狩猟・解体(皮剥ぎ・内臓処理)による曝露が、米国では現在の主要な感染経路である1
  • 生の豚肉・血液への接触や未殺菌の豚肉加工品を介した感染も報告される。米国では野生化ブタの肉と血液に曝露した男性が心臓植込み型デバイスの感染を起こした例が報告されている2
  • 野生化ブタが定着した地域では宿主側の感染率が高い。オーストラリアの野生化ブタ686頭の血清調査では真の率がクイーンズランド州17%(95%信頼区間12〜22%)・ニューサウスウェールズ州11%(同8〜14%)と推定され、検査された犬3,074頭のうち600頭がでブタの生息密度と正の関連を示した。ペット用に流通する生の野生化ブタ肉からもB. suisのが検出されている4
  • 他の菌種と比べて化膿性・膿瘍形成傾向が強いとされ、や骨関節の限局性膿瘍を来しやすい点が臨床的特徴として挙げられる

⚠️ 潜伏期が長く、曝露の記憶と結び付きにくい。 米国の3例(確定2例・疑い1例)の調査では、少なくとも2例が曝露の4〜6か月後まで発症しなかった。原因不明の発熱では、渡航歴・食事歴・職業に加えて狩猟などの余暇活動までしないと曝露を拾えない1。

起こす疾患・診断・治療

臨床像(・肝脾腫・、化膿性合併症の傾向)、診断(血液培養・)、治療(2剤以上を6週間以上併用して単剤治療を避ける原則、のでアミノグリコシドを含む併用のほうが再発が少ないとされる一方、だけで完結するドキシサイクリン+リファンピシンが広く使われている事情、重症・複雑例での3剤併用)はいずれもBrucella melitensisを参照。膿瘍形成例ではドレナージが治療の補助として必要になることがある。診断の実務・治療レジメンの使い分けの詳細はのノートを参照。

まとめ

  • B. suisはブタを主なリザーバーとするブルセラ属菌で、の原因種。
  • ヒトへの感染経路は養豚・食肉解体のに加え、野生化したブタの狩猟・解体が米国では現在の主要な経路である1。潜伏期は数か月に及ぶことがあり、余暇活動まで含めたが必要になる。
  • 病態生理・診断・治療はB. melitensisと共通するが、化膿性・膿瘍形成傾向が比較的強いとされる。

出典

  1. 1.Brucella suis infection associated with feral swine hunting - three states, 2007-2008(Centers for Disease Control and Prevention(Morbidity and Mortality Weekly Report)・2009)抄録のみを閲覧した(誌面本文は未取得)。米国では1972年に全国ブルセラ症撲滅計画が養豚へ拡大され、商業養豚からブルセラ症が排除された結果ヒトの*Brucella suis*感染が減少し、現在の米国のブタ関連ブルセラ症は主に感染した野生化ブタ(feral swine:イノシシ・野生ブタ)への曝露に伴うと述べている。2008年に南カロライナ州とペンシルベニア州から報告された症例を発端とする調査で、確定2例・疑い1例の計3例がいずれもフロリダ州での野生化ブタ狩猟に関連し、少なくとも2例は曝露の4〜6か月後まで症状が出なかったことを確認した。閲覧 2026-09-27
  2. 2.Brucella suis Infection in Cardiac Implantable Device of Man Exposed to Feral Swine Meat, Florida, USA(Emerging Infectious Diseases(Centers for Disease Control and Prevention)・2025)抄録で、米国の*Brucella suis*感染が通常は野生化ブタへの曝露によることを確認した。報告例はフロリダ州で野生化ブタの肉と血液に曝露した男性の心臓植込み型デバイス感染で、培養・分子診断・全ゲノム解析で診断された。抄録の範囲にとどまる。閲覧 2026-09-27
  3. 3.Bioterrorism Agents/Diseases(Centers for Disease Control and Prevention・2018)2018年4月4日最終レビューのページ(本体は自動取得を拒否したため、Wayback Machineの2024年11月16日保存版を curl で取得して本文を確認)で、ブルセラ症(*Brucella*属)がカテゴリーBに置かれていることを確認した。カテゴリーBは「散布が中等度に容易」「中等度の発病率と低い致命率をもたらす」「CDCの診断能力の特定の強化と疾病サーベイランスの強化を要する」病原体と定義されている。カテゴリーAは炭疽・ボツリヌス毒素・ペスト・天然痘・野兎病・ウイルス性出血熱である。閲覧 2026-09-27
  4. 4.Brucella suis in feral pigs in Australia: what is the risk?(Australian Veterinary Journal・2025)抄録で、オーストラリアでは野生化ブタが*Brucella suis*の主要な宿主であり、クイーンズランド州・ニューサウスウェールズ州で犬のブルセラ症が増えていること、野生化ブタ686頭の血清調査で調査法を補正した真の血清陽性率がクイーンズランド州17%(95%信頼区間12〜22%)・ニューサウスウェールズ州11%(同8〜14%)だったこと、犬3,074頭のうち600頭が血清陽性でブタの生息密度と正の関連を示したこと、ペット用に商業流通する生の野生化ブタ肉から*B. suis*のDNAが検出されたことを確認した。抄録の範囲にとどまる。閲覧 2026-09-27