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Microbe Atlas · 節足動物

Demodex

ニキビダニ

分類
ダニ / Mites
科目
Dermatology
トピック
3-19: Rosacea and Perioral Dermatitis

🧠 全体像:デモデックス属は健常な成人の皮膚にもごく普通に常在する的な毛包内寄生ダニであり、「検出された=病的」ではない。D. folliculorumD. brevisの2種がヒトに寄生し、前者はに群生、後者はに単独で潜むという生息場所の違いを持つ。臨床的に意味を持つのは存在の有無ではなく密度の異常な増加で、(睫毛根部ののフケ)やとの関連が知られる。

微生物学的な特徴

  • 体長0.15〜0.4 mm程度ののダニで、8本の短い脚を持ち、回転するような動きで1時間あたり8〜16 mm程度しか移動できない
  • D. folliculorum(体長0.3〜0.4 mm)はに複数個体が群生し、D. brevis(体長0.15〜0.2 mm)はに単独で生息する1。この生息部位の違いが2種を区別する鍵になる
  • 夜間に毛包から這い出して交配・産卵し、は2〜3週間程度とされる
  • 主に顔面(鼻、、眼瞼、頬、前額、顎)のが発達した部位に多い

病原性の仕組み

💡 「常在」と「病的」の境界は量の問題であって質の問題ではない。 健常な成人も1個体あたり1000〜2000匹規模のを常在させているとされ1、無症候のまま一生を終える宿主が大多数である。皮膚1 cm²あたり5匹を超えるとの診断とする基準が提案されているが、この閾値自体が恣意的でエビデンスも強くないとされる1

  • 密度が上昇すると、虫体そのものによる機械的刺激、毛包内容物の消費やの蓄積、随伴する細菌叢の変化などが複合的に炎症を誘発すると考えられている
  • では、健常対照群よりの密度が高い傾向が報告されている1。ただし密度上昇が原因なのか炎症環境の結果なのかは、個々の病態で議論が分かれる

感染経路と疫学

  • 皮膚同士の直接接触で伝播するとされ、加齢とともに検出率が上がる傾向がある
  • 免疫不全者(進行したHIV感染症など)では、稀に瀰漫性・重症のデモデックス症を来すことがある

起こす疾患

関連疾患・病態 との関係
睫毛根部の2の一病型
自然免疫反応・神経血管調節などとともに、の関与が病態の一因として挙げられる
健常対照より密度が高い傾向が報告される

診断

  • 睫毛の・鏡検(Hoyer液に封入して観察)、cyanoacrylateを用いた標準化皮膚表面生検が古典的な検出法である1
  • 近年は・反射による非侵襲的な検出も行われる1
  • 検出そのものより、症状・のフケなど)とあわせて病的意義を判断する

治療と予防

  • 軽症・無症候であれば治療対象にならない。「検出された=治療が必要」ではない
  • 難治性の眼瞼炎にはティーツリーオイル系の洗浄が用いられるが、エビデンスの確実性は非常に低い〜低いにとどまる3
  • 基盤治療はであり、詳しくはノートを参照

まとめ

  • デモデックス属(D. folliculorumD. brevis)は健常な成人の皮膚にも常在する的な毛包内寄生ダニであり、検出=病的ではない
  • D. folliculorumに群生、D. brevisに単独で生息するという生息部位の違いで2種を区別する。
  • 臨床的に意味を持つのは密度の異常な増加であり、のフケ)やとの関連が知られるが、の解釈には注意が要る。
  • 難治性の眼瞼炎にはティーツリーオイルが用いられるが、エビデンスは弱い。

出典

  1. 1.Human Permanent Ectoparasites; Recent Advances on Biology and Clinical Significance of Demodex Mites: Narrative Review Article(Iranian Journal of Parasitology (Litwin D, Chen W, Dzika E, Korycińska J)・2017)D. folliculorumが毛包漏斗部に群生し、D. brevisが脂腺・マイボーム腺に単独で生息するという生息部位の違い、健常人も1個体あたり1000〜2000匹規模のニキビダニ属を常在させているとされること、1 cm²あたり5匹超という診断閾値は恣意的でエビデンスも弱いとされること、酒皶・脂漏性皮膚炎・口囲皮膚炎・眼瞼炎・霰粒腫でニキビダニ属の密度が高い傾向が報告されていること、睫毛抜去鏡検・標準化皮膚表面生検(cyanoacrylateを用いる)・ダーモスコピーや反射共焦点顕微鏡が検出法として用いられることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Blepharitis(American Academy of Ophthalmology (EyeWiki)・2026)前部眼瞼炎のうちデモデックス性は睫毛根部の円柱状のフケ(cylindrical dandruff)を特徴とすることを確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.Tea tree oil for Demodex blepharitis(Cochrane Database of Systematic Reviews (Savla K, Le JT, Pucker AD)・2020)Demodex性眼瞼炎に対するティーツリーオイルの除螨効果に関するエビデンスの確実性が非常に低い〜低いことを確認した閲覧 2026-08-10