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Microbe Atlas · ウイルス

Dabie bandavirus

SFTSウイルス

分類
ブニヤウイルス / Bunyavirales
性状
エンベロープあり Enveloped(−)ssRNA
科目
Medical Microbiology
トピック
3/21: Bunyaviruses (Hanta-, Crimean-Congo haemorrhagic fever virus)
原因となる疾患
血球貪食性リンパ組織球症重症熱性血小板減少症候群

🧠 全体像:Dabie bandavirus(SFTSウイルス)は2011年に中国で重症熱性候群(SFTS)の原因として分離された新規ウイルスで1、フタトゲチマダニに媒介されるウイルスである2。⭐ 同じ旧Bunyaviridae科(現class Bunyaviricetes)に属すHantavirusが節足動物を介さずげっ歯類のを直接吸入して感染するのに対し、本ウイルスはという「科の原則」に従いつつ、ベクターを介さない院内ヒト-ヒト感染も証明されているという二面性を持つ3。

微生物学的な特徴

Phenuiviridae科Bandavirus属に属し、L・M・Sの3分節からなる1本鎖をゲノムに持つ。S分節はアンビセンス構造で、ヌクレオプロテイン(N)と非(NSs)の両方をコードする2。

💡 「SFTSウイルス」は臨床・疫学の場で広く使われる通称で、「Dabie bandavirus」はその英名(2011年に付けられた種名)である。 ⚠️ は2023年、ウイルス種の二名法規則に沿って本種の学名を「Bandavirus dabieense」に改めた4——「Dabie bandavirus」は現行の学名ではなく、文献でなお広く使われる旧称・通称にあたる。2011年の原記載時点では当時のBunyaviridae科Phlebovirus属の新種として同定されたが1、現行の分類ではPhenuiviridae科Bandavirus属に位置づけられる。

感染経路と疫学

⭐ 主要な媒介マダニはフタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)。 中国・韓国・日本で優占するマダニ種で、両性生殖に加えても可能なため個体数が急速に拡大しうる。他にRhipicephalus microplus・Haemaphysalis concinna・Haemaphysalis flavaなどもベクターとなりうる2。

  • 動物宿主:・・ヤギ・ネコ・イヌなどの化動物のほか、トガリネズミ・げっ歯類・イノシシ・渡り鳥(ハクガン、キジバトなど)といった野生動物が報告される2
  • 流行地:中国・韓国・日本が主な流行地で、いずれも継続的に症例が報告される。ベトナム・パキスタンでも症例報告がある2
  • 2009年に中国で初めて発見され、2019年末までに世界で14,500例超が報告された2

⚠️ だけでなく院内ヒト-ヒト感染も起こる。 病6例を・ウイルス分離・全ゲノム解読で調査した研究では、二次症例のウイルスが指標症例のウイルスと遺伝的に極めて近縁で同一の中国系統に含まれ、ベクターを介さない院内感染が証明された3。血液・体液への直接曝露を伴う医療従事者の感染対策が重要になる。

起こす疾患

重症熱性候群(SFTS)——発熱・血小板減少・を主徴とする感染症で、消化器症状やへ進行しうる。致死率は10〜19%とされ、死亡は主に50歳超の患者に集中する2。

診断

血液からのウイルス分離・による遺伝子検出、血清学的検査による診断が行われる2。

治療と予防

  • 特異的な承認治療薬として、日本ではがSFTSウイルス感染症に承認されている(診療が整備され緊急時対応可能な医療機関において、入院管理下での投与が求められる)
  • 予防はマダニ咬傷対策(、長袖・長ズボンの着用、草むらでの活動後の全身チェック)が中心。ワクチンは確立していない
  • 院内感染対策として、SFTS患者の血液・体液に対するに加えたが重要3

まとめ

  • Phenuiviridae科Bandavirus属、L/M/Sの3分節ゲノムを持つウイルス。2011年に中国でSFTS患者から分離された(通称SFTSウイルス、英名Dabie bandavirus)。⚠️ 2023年の改称後の現行の学名はBandavirus dabieense。
  • ⭐ 主要な媒介マダニはフタトゲチマダニ(中国・韓国・日本で優占)。動物宿主はから野生動物まで幅広い。
  • 流行地は中国・韓国・日本。2009年の発見以来、2019年末までに世界で14,500例超が報告された。
  • ⚠️ という「科の原則」に加え、ベクターを介さない院内ヒト-ヒト感染が全ゲノム解読で証明されている。
  • 起こす疾患は重症熱性候群(SFTS)——致死率10〜19%、死亡は50歳超に集中する。
  • 日本ではが承認治療薬。予防はマダニ咬傷対策とワクチン未確立。

出典

  1. 1.Fever with thrombocytopenia associated with a novel bunyavirus in China(New England Journal of Medicine(Yu XJ, et al.)・2011)中国6省の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)症例定義を満たす患者の血液から新規ウイルスが分離され、当時のBunyaviridae科Phlebovirus属の新種と同定されたこと——SFTSウイルスの原記載閲覧 2026-08-26
  2. 2.Emerging Tick-Borne Dabie bandavirus: Virology, Epidemiology, and Prevention(Microorganisms(Kim EH, Park SJ)・2023)PMC10536723(オープンアクセス全文)で確認した。Dabie bandavirus(SFTSウイルス)がPhenuiviridae科Bandavirus属に属し、L・M・Sの3分節負鎖1本鎖RNAゲノムを持ち、S分節がアンビセンス構造でヌクレオプロテイン(N)と非構造タンパク(NSs)をコードすること、主要な媒介マダニがフタトゲチマダニ(*Haemaphysalis longicornis*、中国・韓国・日本で優占するマダニ種で両性生殖・単為生殖の両方が可能なため個体数が急速に拡大しうる)であり、他に*Rhipicephalus microplus*・*R. sanguineus*・*Haemaphysalis concinna*・*Haemaphysalis flava*などもベクターとなりうること、動物宿主として家禽・家畜・ヤギ・ネコ・イヌなどの家畜化動物のほかトガリネズミ・げっ歯類・イノシシ・渡り鳥(ハクガン・キジバトなど)といった野生動物が報告されていること、ヒト症例が中国(流行地)・韓国(流行地)・日本(流行地)のほかベトナム・パキスタンでも報告されていること、致死率が10〜19%とされ死亡は主に50歳超の患者に集中すること、2019年末までに世界で14,500例超のSFTS患者が報告されたこと、2009年に中国で初めて発見されたことを確認した。閲覧 2026-09-16
  3. 3.Evidence of nosocomial human-to-human transmission of Dabie bandavirus: A clinical, epidemiological and virological investigation(International Journal of Infectious Diseases(Hong S, et al.)・2026)SFTSウイルスの現行学名が Dabie bandavirus であること、病院内の6例のクラスターについて接触者追跡・ウイルス分離・全ゲノム解読を統合した調査で、二次症例から分離されたウイルスが指標症例のウイルスと遺伝的に極めて近縁で同一の中国系統に含まれたこと、すなわちベクターを介さないヒト-ヒト院内感染が起こりうることを示したこと閲覧 2026-08-26
  4. 4.<特集>重症熱性血小板減少症候群(SFTS) 2025年5月現在(国立健康危機管理研究機構(IASR)・2025)ライブページで確認した。SFTSウイルスが2023年に二名法で「Bandavirus dabieense」と命名されたこと、ただし国内外では依然として「SFTSウイルス(SFTSV)」という通称が広く用いられていることを確認した。閲覧 2026-09-16