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Microbe Atlas · 細菌

Klebsiella ozaenae

クレブシエラ・オゼナエ

分類
腸内細菌科 / EnterobacteriaceaeKlebsiella
性状
Gram陰性 (G−)桿菌 Bacilli通性嫌気性 Facultative
科目
Otorhinolaryngology
トピック
30: Types of rhinitis
原因となる疾患
萎縮性鼻炎

🧠 全体像:Klebsiella ozaenaeは「菌の名前」より先に「病名の名前」を疑うべき菌である——Klebsiella pneumoniaeのとして分類され、というが進行性に萎縮し悪臭を放つ疾患の古典的な起因菌とされてきたが、同時に無症状の上気道に定着する常在菌でもあり、検出されたことだけでは病的意義を確定できない。同じK. pneumoniaeのでもK. pneumoniae本体が院内感染で暴れるの代表であるのとは対照的に、こちらは稀な症として記憶する菌である。

微生物学的な特徴

グラム陰性桿菌で、腸内細菌科Klebsiella属に属する。Klebsiella pneumoniaeは形態・生化学的性状で近縁な複数のに分けられ、そのうちK. pneumoniae subsp. ozaenaeが、K. pneumoniae subsp. rhinoscleromatisがという、それぞれ別の慢性肉芽腫性〜萎縮性のと結びつけられてきた1。同じKlebsiella pneumoniaeの枠組みの中でも、臨床像の異なる複数の「顔」を持つ菌として読む。

⚠️ 「別種」ではなく「」であることに注意する。 検査室や臨床報告では慣習的にKlebsiella ozaenaeという独立した種名のように扱われることが多いが、現行の分類上はK. pneumoniaeのである1。

病原性の仕組み

⭐ 本菌は上気道の常在菌でもある。 健常者の上気道にも定着しうる菌であり、慢性萎縮性鼻炎の起因菌として知られてきた一方で、検出=発症とは言えない1。萎縮性鼻炎そのものは、・骨の進行性萎縮により鼻腔が異常に広くなり、乾燥した分泌物が痂皮として貯留する疾患で、この痂皮の中で細菌が増殖し悪臭(fetor)の原因になると理解されている2。

💡 稀な菌であるほど、報告される症例は「侵襲性感染症としての顔」に偏る。 近年は上気道のにとどまらず、髄膜炎など通常は想定しない部位からの分離例が文献レビューの対象になっている1——常在菌としての性質と、まれに侵襲性感染を起こしうる性質の両方を併せ持つ菌として扱う。

感染経路と疫学

  • 上気道(鼻腔)に定着したのち、慢性萎縮性鼻炎という形で慢性のを起こす
  • 英国での症例報告でも「稀な疾患」と明記されるなど、先進国ではに遭遇する菌ではない2

起こす疾患

疾患 押さえどころ
・骨の進行性萎縮、悪臭を伴う、乾燥したの痂皮というcrusting・fetor・atrophyの三徴が特徴2

診断

  • ・痂皮またはからの培養で本菌を同定する。内視鏡検査・での萎縮所見を確認する2
  • 上気道の常在菌でもあるため、培養陽性のみでを確定せず、萎縮性鼻炎に特徴的な臨床像(crusting・fetor・atrophy)と合わせて判断する1

治療と予防

  • 実際の症例では、による定期的なに加え、経口2週間・局所5日間を併用して治療されている2
  • ⚠️ 症例数自体が乏しく、標準治療として確立した単一のレジメンは示されていない——による痂皮の除去と抗菌薬治療を組み合わせる方針が実地では取られている2

まとめ

  • Klebsiella ozaenaeはKlebsiella pneumoniaeの(subsp. ozaenae)で、同じK. pneumoniaeのであるK. rhinoscleromatis(の起因菌)とは別の疾患像と結びつく。
  • 上気道の常在菌でもあり、の古典的な起因菌とされてきた。
  • 萎縮性鼻炎はcrusting(痂皮)・fetor(悪臭)・atrophy(萎縮)の三徴で特徴づけられ、診断は・痂皮・の培養と内視鏡・所見による。
  • 稀な疾患であり確立した単一の標準治療は無いが、による+抗菌薬(など)の組み合わせが実地で用いられている。
  • 常在菌としての性質を併せ持つため、まれに髄膜炎など侵襲性感染症の起因菌として報告されることもある。

出典

  1. 1.From Commensal to Pathogen: Unveiling Klebsiella pneumoniae subsp. ozaenae as a Cause of Meningitis and a Literature Review(Cureus・2025)Klebsiella ozaenaeがKlebsiella pneumoniaeの亜種(subsp. ozaenae)として位置づけられること、本菌が上気道の常在菌であり慢性萎縮性鼻炎(ozena)の起因菌として知られてきたが、近年は髄膜炎を含む侵襲性感染症の原因としても認識されるようになっていることを確認した閲覧 2026-09-16
  2. 2.A report on a rare case of Klebsiella ozaenae causing atrophic rhinitis in the UK(BMJ Case Reports・2011)英国における萎縮性鼻炎(atrophic rhinitis/ozena)の稀な症例で、臭気を伴う膿性鼻漏・乾燥した黄緑色の痂皮・粘膜萎縮という古典的三徴(crusting, fetor, atrophy)を呈したこと、内視鏡検査とCTで所見を確認し鼻漏・痂皮・生検組織の培養でKlebsiella ozaenaeを同定したこと、治療は生理食塩水による定期的な鼻洗浄・経口シプロフロキサシン2週間・局所オフロキサシン点鼻スプレー5日間で行われたことを確認した閲覧 2026-09-16