Microbe Atlas · ウイルス
O'nyong-nyong virus
オニョンニョンウイルス
- 分類
- トガウイルス / Togaviruses
- 性状
- エンベロープあり Enveloped(+)ssRNA
- 科目
- Medical Microbiology
- トピック
- 3/33: Togaviruses (Alpha- and Rubivirus)
🧠 全体像:オニョンニョンウイルスはアルファウイルス属 Alphavirus アルファウイルス属(Alphavirus) Alphavirus(アルファウイルス属) の中で蚊ではなくハマダラカ Anopheles mosquito ハマダラカ(Anopheles mosquito) Anopheles mosquito(ハマダラカ) (Anopheles属)が媒介する例外であり、臨床像はチクングニアウイルスchikungunya virusチクングニアウイルス(chikungunya virus)chikungunya virus(チクングニアウイルス)とほぼ区別できないほど似る(同じSemliki Forest抗原複合体 antigenic complex 抗原複合体(antigenic complex) antigenic complex(抗原複合体) に属し血清学的にも交差する)。アフリカに限局し、1959〜1962年には推定200万人規模という史上最大級のアルボウイルス arbovirus アルボウイルス(arbovirus) arbovirus(アルボウイルス) 流行を起こした後、数十年間ほぼ報告が途絶え、1996年にウガンダで再興したという特異な疫学を持つ。
微生物学的な特徴
アルファウイルス属Alphavirus アルファウイルス属(Alphavirus)Alphavirus(アルファウイルス属) に共通する基本構造 basic structure基本構造(basic structure) basic structure(基本構造)・複製様式(プラス鎖positive-sense strand プラス鎖(positive-sense strand)positive-sense strand(プラス鎖) ssRNA・エンベロープあり・正20面体icosahedral正20面体(icosahedral)icosahedral(正20面体)、ポリプロテイン前駆体polyprotein precursor ポリプロテイン前駆体(polyprotein precursor)polyprotein precursor(ポリプロテイン前駆体) からの蛋白切り出し)はチクングニアウイルスchikungunya virusチクングニアウイルス(chikungunya virus)chikungunya virus(チクングニアウイルス)のノートを参照。オニョンニョンウイルスはチクングニアウイルス chikungunya virus チクングニアウイルス(chikungunya virus) chikungunya virus(チクングニアウイルス) と同じSemliki Forest抗原複合体 antigenic complex抗原複合体(antigenic complex) antigenic complex(抗原複合体)に分類され、両者の血清抗体は交差反応 cross-reactivity 交差反応(cross-reactivity) cross-reactivity(交差反応) を示す——流行地が重なる場面では血清診断 serodiagnosis 血清診断(serodiagnosis) serodiagnosis(血清診断) だけでの鑑別が難しくなる。
病原性の仕組み
チクングニアウイルスchikungunya virus チクングニアウイルス(chikungunya virus)chikungunya virus(チクングニアウイルス) と同様、関節・筋肉への組織指向性 tissue tropism 組織指向性(tissue tropism) tissue tropism(組織指向性) がウイルス血症後の激しい関節痛を説明する(機序の詳細はチクングニアウイルスchikungunya virusチクングニアウイルス(chikungunya virus)chikungunya virus(チクングニアウイルス)を参照)。臨床的にはチクングニア熱chikungunya feverチクングニア熱(chikungunya fever)chikungunya fever(チクングニア熱)よりやや軽症とされることが多いが、慢性関節炎への移行も報告される。
感染経路と疫学
- 媒介蚊vector mosquito 媒介蚊(vector mosquito)vector mosquito(媒介蚊) がハマダラカ Anopheles mosquito ハマダラカ(Anopheles mosquito) Anopheles mosquito(ハマダラカ) 属(Anopheles gambiae、Anopheles funestus)である点がアルファウイルス属 Alphavirus アルファウイルス属(Alphavirus) Alphavirus(アルファウイルス属) の中で例外的——同属の他のウイルス(チクングニア・ウマ脳炎群)はいずれもAedes属やCulex属が媒介する
- 分布はサハラ以南のアフリカ(東・中央・西アフリカ)に限られる
- 1959〜1962年の汎アフリカ的大流行では推定200万人が感染したとされ、記録に残る中で最大規模のアルボウイルス arbovirus アルボウイルス(arbovirus) arbovirus(アルボウイルス) 流行の一つとされる
- その後長期間ほぼ報告がなかったが、1996年にウガンダで再興し、以後散発 sporadic 散発(sporadic) sporadic(散発) 的な報告が続く
起こす疾患
| 病型 | 特徴 |
|---|---|
| オニョンニョン熱 | 発熱、多関節痛polyarthralgia多関節痛(polyarthralgia)polyarthralgia(多関節痛)・関節炎(チクングニア熱chikungunya fever チクングニア熱(chikungunya fever)chikungunya fever(チクングニア熱) と類似)、斑状丘疹性発疹maculopapular rash斑状丘疹性発疹(maculopapular rash)maculopapular rash(斑状丘疹性発疹)、リンパ節腫脹。チクングニア熱chikungunya fever チクングニア熱(chikungunya fever)chikungunya fever(チクングニア熱) よりやや軽症とされることが多い |
診断
RT-PCR(急性期)と血清学 IgM/IgG 血清学(IgM/IgG) IgM/IgG(血清学) が中心だが、チクングニアウイルスchikungunya virus チクングニアウイルス(chikungunya virus)chikungunya virus(チクングニアウイルス) との血清学的交差反応 cross-reactivity交差反応(cross-reactivity) cross-reactivity(交差反応)により抗体検査だけでは両者を区別しにくい。流行地域endemic region 流行地域(endemic region)endemic region(流行地域) (アフリカに限局)と媒介蚊 vector mosquito 媒介蚊(vector mosquito) vector mosquito(媒介蚊) の生態(ハマダラカAnopheles mosquitoハマダラカ(Anopheles mosquito)Anopheles mosquito(ハマダラカ))が鑑別の手がかりになる。
治療と予防
特異的な抗ウイルス薬はなく対症療法が中心。ワクチンは実用化されておらず、予防はハマダラカ Anopheles mosquito ハマダラカ(Anopheles mosquito) Anopheles mosquito(ハマダラカ) 対策(防蚊網など、マラリア対策と共通する)に依存する。
まとめ
- オニョンニョンウイルスはアルファウイルス属 Alphavirus アルファウイルス属(Alphavirus) Alphavirus(アルファウイルス属) の中でハマダラカAnopheles mosquito ハマダラカ(Anopheles mosquito)Anopheles mosquito(ハマダラカ) (Anopheles属)が媒介する例外——他のアルファウイルス WEE/EEE/VEE アルファウイルス(WEE/EEE/VEE) WEE/EEE/VEE(アルファウイルス) はAedes・Culex属が媒介する。
- チクングニアウイルスchikungunya virus チクングニアウイルス(chikungunya virus)chikungunya virus(チクングニアウイルス) と同じSemliki Forest抗原複合体 antigenic complex 抗原複合体(antigenic complex) antigenic complex(抗原複合体) に属し、臨床像も血清学的反応も似るため鑑別が難しい。
- アフリカに限局し、1959〜1962年の大流行(推定200万人感染)の後、1996年にウガンダで再興するという特異な疫学を持つ。
- 治療・予防はチクングニア熱 chikungunya fever チクングニア熱(chikungunya fever) chikungunya fever(チクングニア熱) と同様に対症療法と蚊媒介対策が中心で、特異的な抗ウイルス薬・実用化ワクチンはない。