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Bosniak分類

Bosniak classification

別名
ボスニアク分類
臓器系
腎・泌尿器
科目
Internal MedicinePathology (Histopathology)
トピック
内科学 S-23:単純・複雑性腎嚢胞と常染色体優性多発性嚢胞腎内科学 N-02:尿細管間質性疾患・嚢胞性腎疾患組織病理 H2-064B:単純性腎嚢胞(肉眼標本)
構成:画像所見
壁在結節石灰化

🧠 全体像:は、腎の嚢胞性病変を造影所見の形態だけでI・II・IIF・III・IVへ並べ、悪性である確率を段階的に見積もる分類である。点数を足す採点表ではなく、当てはまる所見から1つのクラスを割り当てる。⭐ 判定は造影CTまたは造影MRIで行う。 2019年版は「Bosniak Iの診断以外では、超音波でクラスを割り当てる役割は不確実である」と明記しており1、超音波だけでを最終分類しない。⚠️ 2019年に大きく改訂された。 旧版は「厚い」「不整」「少数」といった言葉を定義せずに使っていたが、v2019はこれらをミリ単位と本数で定義し直した。どちらの版で語っているかを毎回明示する。

目的と適用場面

内容
目的 腎のが悪性である確率を層別し、・経過観察・治療の分岐を決める
対象 感染性・炎症性・血管性の原因と、壊死を伴うを除外したあとの瘤1
使う材料 造影CTまたは造影MRI。壁と隔壁の厚さ・本数・形状と造影の有無のみ
判定しないもの 組織型、生物学的な悪性度、術式。⚠️ 悪性の確率を予測する体系であって、包括的な管理アルゴリズムではない1

💡 「」の線引きにも定義がある。 v2019は、腫瘤の約25%未満が造影される組織である場合をとみなす1。壊死を伴う侵襲的ながBosniak IVと呼ばれてしまうことを防ぐための線である。

⚠️ 用語の使い分けも決められている。 「嚢胞」はBosniak Iのと、嚢胞と診断できたBosniak IIの腫瘤にだけ用い、それ以外は「」と呼ぶ。「」のような俗称は混乱を招くので避けるとされている1。

v2019が数値化した用語

⭐ 改訂の中身は、ほぼこの表に尽きる。 所見の名前は旧版から変わっておらず、その名前が指す範囲が数値で固定された。

用語 v2019の定義
薄い 2 mm以下
軽微に肥厚 3 mm
厚い 4 mm以上
少数の隔壁 1〜3本
多数の隔壁 4本以上
不整な肥厚 壁・隔壁との境界が鈍角で、3 mm以下の凸状の突出
結節 壁・隔壁との境界が鋭角なら大きさを問わず、鈍角なら4 mm以上の凸状の突出

は発生元の壁・隔壁に垂直に行う。隔壁の両側に突出があるときは、下地の隔壁の厚みを除いた合計の垂直距離を用いる1。

💡 「鋭角か鈍角か」を先に見る。 大きさより境界の角度が先に効く——鋭角に立ち上がる突出は、小さくても結節としてBosniak IVへ送られる。鈍角になだらかに盛り上がる突出だけが、4 mmという線で結節(IV)と不整な肥厚(III)に分かれる。

⚠️ 「造影される」の定義も1つに統一された。 肉眼的に明らかに増強していれば造影ありとする。明らかでなければ、を置けるだけの大きさがあるかを見て、置けるならで20 以上の上昇、で15%以上の信号強度上昇を可能な造影とする。できるだけの大きさがなく、肉眼的にも明らかでなければ造影なしとして扱う1。

分類基準

クラス v2019の主な所見 悪性の割合(v2019で分類した975腫瘤)2 おおまかな方針
I 平滑で薄い(2 mm以下)壁の。壁は造影されてよい1 0% 追跡不要
II 薄い(2 mm以下)隔壁が少数(1〜3本)。石灰化は形態を問わずこの群。で均一かつ70 以上、またはプロトコルで均一・20 超・の腫瘤も含む1 9%(95%CI 5〜17%) 追跡不要
IIF 造影される薄い隔壁が多数(4本以上)、または壁・隔壁の平滑で軽微な肥厚(3 mm)。単純で不均一に高信号を示す腫瘤も含む1 26%(13〜46%) 画像で経過観察
III 造影される厚い(4 mm以上)または不整な壁・隔壁が1つ以上。結節性の造影はない1 80%(71〜87%) 泌尿器科で治療または監視を個別に判断
IV 造影されるを1つ以上もつ1 88%(83〜91%) 悪性を強く疑い、切除・を評価

⚠️ 複数のクラスの所見が混在したら、最も高いクラスを割り当てる1。隔壁が少数でも、その隔壁が厚ければIIではなくIIIになる。

旧版から移動した所見

⭐ v2019は低リスク側へ寄せる方向の改訂である。 次の2つは旧版でIIFだったものがIIへ下がった1。

  • あらゆる形態の石灰化(厚い石灰化・結節状石灰化を含む)。石灰化そのもの、あるいはそのは、単独の所見としては予測能がほとんどない
  • 3 cm超の均一な・腫瘤(旧版のサイズ基準を削除)

逆にIIFへ加わったのが、単純で不均一に高信号を示すである。一部のがこの所見を取りうることが理由になっている1。

⚠️ 石灰化がIIへ移ったことには裏がある。 厚い石灰化や結節状石灰化はで造影される構造を隠してしまうことがある。そのため、こうした腫瘤ではクラスを割り当てる前に、石灰化に鈍感な(プロトコル、差分画像つき)で隠れた造影所見の有無を確かめることが勧められている1。

判定の進め方

flowchart TD
    A["腎の嚢胞性病変<br>感染性・炎症性・血管性と壊死性充実腫瘤を除外"] --> B["造影CTまたは造影MRIを撮る<br>超音波単独では分類しない"]
    B --> C{"造影される結節があるか<br>鋭角なら大きさ不問<br>鈍角なら4 mm以上"}
    C -->|"ある"| D["class IV"]
    C -->|"ない"| E{"造影される壁・隔壁が<br>4 mm以上または不整か"}
    E -->|"はい"| F["class III"]
    E -->|"いいえ"| G{"造影される隔壁が4本以上<br>または壁・隔壁が3 mmに肥厚<br>またはT1で不均一に高信号"}
    G -->|"はい"| H["class IIF"]
    G -->|"いいえ"| I{"壁が2 mm以下で隔壁は1〜3本か"}
    I -->|"隔壁がなく壁は2 mm以下"| J["class I"]
    I -->|"隔壁が1〜3本、または均一な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high attenuation'>高吸収</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='unenhanced imaging'>非造影</span>腫瘤"| K["class II"]

⚠️ で不均一・・厚い石灰化を伴う腫瘤は、クラスを付ける前にへ回す。 これらは造影所見を覆い隠しうるため、v2019はでの再評価を勧め、そのの所見でクラスを割り当てるよう推奨している1。

解釈

  • クラスと悪性率の対応は滑らかではない。 v2019で分類した975腫瘤のでは、I 0%、II 9%、IIF 26%、III 80%、IV 88%と、IIFとIIIのあいだで大きく跳ぶ2。
  • 同じクラスでも中身で悪性率が違う。 IIFのうち、薄い平滑な隔壁が多数だけのものは10%(95%CI 2〜33%)にとどまるのに対し、壁・隔壁の軽微な肥厚をもつものは47%(18〜77%)に達する2。⭐ IIFと書いて終わりにせず、どの所見でIIFになったかを併記する。
  • 者間の一致は旧版より改善した。 で分類した207例の検討では、重み付きκが2019年版0.64対2005年版0.50で、2019年版では上級医と若手の一致度に差がなかった3。
  • 改訂で上がったのは特異度である。 class I〜IIFとIII〜IVに二分した診断能では、悪性に対する特異度が83%対68%と高く、感度は89%対84%で差がなかった3。💡 不必要な切除を減らすという設計目標が、そのまま数字に出ている。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 悪性率の数字は、測った集団を離れると意味が変わる。 ではclass IIFの悪性率が、病理を参照基準にすると41%、画像追跡を参照基準にすると2%だった2。切除された腫瘤だけを数えれば悪性率は跳ね上がる——検証である。外来で見つかった嚢胞に、切除例由来の数字を当てない。

⚠️ 同一症例で新旧を比べても、悪性率の差は示されていない。 2005年版と2019年版を同じ症例に当てた4研究では、IIF 24%対42%、III 74%対77%、IV 79%対84%で、いずれも有意差はなかった2。⭐ v2019で改善したと示されているのは者間一致と特異度であって、悪性率そのものではない。

  • ⚠️ 超音波で分類しない。 Bosniak Iの診断を除けば、造影の有無にかかわらず超音波でクラスを割り当てる役割は不確実とされている1。
  • ⚠️ クラスはそのものではない。 v2019は自らを悪性予測の体系であって包括的な管理アルゴリズムではないと位置づけ、年齢・併存症・・患者の希望とリスク許容度を治療計画に要すると述べている。とくにclass IIIを一般集団で経過観察と治療のどちらに回すのが最適かは不明とされている1。
  • ⚠️ 悪性である確率は分かっても、その癌がどう振る舞うかは分からない。 臨床的に問題となる悪性度の高い癌と、生涯を左右しない緩徐な癌を分ける力はこの分類にない1。の中でも嚢胞性のものは緩徐な経過をとりやすい。
  • ⚠️ 腫瘤の大きさも増大速度もクラスに入っていない。 経過観察に入った腫瘤で重要なのは全体の大きさの変化ではなく形態の変化との増大であり、大きさや増大速度を分類へ組み込めるかは今後の課題とされている1。
  • ⚠️ のような多発嚢胞や、症候群の患者へそのまま持ち込まない。 v2019は管理に関する記載を一般集団向けと明記している1。小児でも、成人のを基盤とする本分類をそのまま適用するには限界がある。
  • 1 mm単位の測定が実務で再現するとは限らない。 v2019自身も、数量的な基準はな表現ではなく目安として意図したものだと述べている1。

まとめ

  • は腎のを造影所見の形態だけでI・II・IIF・III・IVに分け、悪性の確率を層別する。点数を足す採点表ではない。
  • ⭐ 判定は造影CTまたは造影MRIで行う。 Bosniak Iの診断を除けば、超音波でクラスを割り当てる役割は不確実とされている。
  • ⚠️ 2019年の改訂で用語が数値化された。 薄い=2 mm以下、軽微な肥厚=3 mm、厚い=4 mm以上、少数=1〜3本、多数=4本以上。結節は境界が鋭角なら大きさを問わず、鈍角なら4 mm以上。鈍角で3 mm以下は不整な肥厚としてIIIにとどまる。
  • 造影の定義も統一され、肉眼的に明らかでなければで20 以上、で15%以上の上昇を可能な造影とする。v2019はあらゆる形態の石灰化と3 cm超の均一な腫瘤をIIへ下げ、単純で不均一に高信号を示す腫瘤をIIFへ加えた。
  • 悪性率はクラス順に0%・9%・26%・80%・88%で、IIFとIIIのあいだで跳ぶ。⭐ 同じIIFでも、どの所見でIIFになったかで悪性率は大きく違う。
  • ⚠️ IIFの悪性率は参照基準が病理なら41%、画像追跡なら2%。 切除例に偏った数字を外来の偶発嚢胞へ当てない。
  • v2019で改善したと示されているのは者間一致と特異度であって、悪性率そのものの差ではない。
  • クラスはではない。とくにclass IIIを経過観察と治療のどちらに回すかは未解決で、年齢・併存症・を併せて決める。

出典

  1. 1.Bosniak Classification of Cystic Renal Masses, Version 2019: An Update Proposal and Needs Assessment(Radiology・2019)30年以上使われてきたBosniak分類の2019年改訂版は、MRIを正式に取り込み、それまで曖昧だった画像用語に定義を与え、より多くの嚢胞性腫瘤を低リスクのクラスへ入れることを主眼とする。嚢胞性腎細胞癌は過剰診断・過剰治療されており、旧版は読影者間変動と報告ごとの悪性率のばらつき、良性腫瘤の切除が多い点が問題だったとする。PMC(PMC6677285)の全文で以下を確認した。v2019は「thin」を2 mm以下、「minimally thickened」を3 mm、「thick」を4 mm以上、「more than a few」を「many(4本以上)」と定義する。壁または隔壁から生じる凸状の突出は、壁・隔壁との境界が鋭角なら大きさを問わず、鈍角なら4 mm以上のとき結節(class IV)とし、鈍角で3 mm以下のときは不整な肥厚(class III)とする。計測は発生元の壁・隔壁に垂直に行い、隔壁の両側に突出があるときは下地の壁・隔壁の厚みを除いた合計の垂直距離を用いる。class Iは平滑で薄い(2 mm以下)壁をもつ単純嚢胞で、壁は造影されてよい。class IIには薄く(2 mm以下)少数(1〜3本)の隔壁をもつ腫瘤(石灰化の形態は問わない)、単純CTで均一かつ70 HU以上の腫瘤、腎腫瘤プロトコルCTで均一かつ20 HU超で造影されない腫瘤などが含まれ、旧版でIIFとされた3 cm超の均一な高吸収非造影腫瘤とあらゆる形態の石灰化はIIへ移された。class IIFは4本以上の薄い造影される隔壁、または壁・隔壁の平滑で軽微な(3 mm)肥厚をもつもので、v2019では壁または隔壁が造影されることを要件とし、脂肪抑制単純T1強調MRIで不均一に高信号を示す嚢胞性腫瘤(一部の乳頭状癌がこの所見を取りうる)が新たに加えられた。class IIIは結節性の造影を伴わない、1本以上の厚い(4 mm以上)または不整な造影される壁・隔壁をもつもの。class IVは1個以上の造影される結節をもつもの。造影は肉眼的に明らかな増強を優先し、明らかでなければ関心領域で計測してCTで20 HU以上の上昇、MRIで15%以上の信号強度上昇を「計測可能な造影」とする。計測できず肉眼的にも明らかでなければ造影なしと扱う。複数のクラスの所見をもつ腫瘤には最も高いクラスを割り当てる。腫瘤の約25%未満が造影される組織である場合を嚢胞性腫瘤とみなす。⚠️ Bosniak I単純嚢胞の診断以外では、造影の有無にかかわらず超音波でBosniakクラスを割り当てる役割は不確実であると本文に明記されている。管理については、class IとIIを無視し、IIFを経過観察し、IVを切除またはアブレーションの対象として検討することが今後も管理の柱であり続けるだろうと述べる一方、class IIIを一般集団で経過観察と治療のどちらに回すのが最適かは不明であるとしている。IIFの経過観察を続ける根拠として、約10%が画像上進行し、進行した腫瘤の約85%が悪性であるという値を挙げているが、これは本文献自身の解析ではなく参照文献12・54の引用である。同様に「class IIIの約半数が悪性(個々の報告では25〜100%)」「class IVの約90%が悪性」も引用値である。閲覧 2026-09-02
  2. 2.Bosniak Classification of Cystic Renal Masses Version 2019: Proportion of Malignancy by Class and Subclass-Systematic Review and Meta-Analysis(American Journal of Roentgenology・2025)2019年版Bosniak分類を用いた12研究・966例975腫瘤のメタ解析で、悪性の割合はclass Iが0%、class II 9%(95%CI 5〜17%)、class IIF 26%(13〜46%)、class III 80%(71〜87%)、class IV 88%(83〜91%)だった。サブクラス別では、IIFのうち薄い平滑な隔壁が多数のもの10%(2〜33%)、壁・隔壁の軽微な肥厚をもつもの47%(18〜77%)、T1不均一高信号のもの26%(8〜57%)、IIIのうち厚く平滑な壁・隔壁をもつもの78%(60〜90%)、3 mm以下の鈍角の突出をもつもの84%(77〜90%)、IVのうち大きさを問わない鋭角の突出をもつもの88%(80〜93%)、4 mm以上の鈍角の突出をもつもの86%(77〜91%)だった。class IIFは病理を参照基準とした場合41%、画像追跡を参照基準とした場合2%と大きく異なり、検証バイアスが示唆される。同一症例内で2005年版と2019年版を比較した4研究では、悪性の割合はIIFが24%対42%、IIIが74%対77%、IVが79%対84%でいずれも有意差はなかった。組み入れ基準は、良性を示す病理または5年以上の画像追跡を参照基準としてもつ研究である(抄録のみを閲覧しており全文は未取得)。閲覧 2026-09-02
  3. 3.MRI-based Bosniak Classification of Cystic Renal Masses, Version 2019: Interobserver Agreement, Impact of Readers' Experience, and Diagnostic Performance(Radiology・2020)2009〜2018年に腎MRIと手術病理の両方を受けた嚢胞性腎腫瘤207例(平均49歳、男性139例・女性68例)を経験年数の異なる放射線科医8人が独立に分類した後ろ向き研究で、読影者間一致は2019年版のほうが2005年版より高く(重み付きκ 0.64対0.50)、2019年版では上級医と若手のあいだで一致度に差がなかった(κ 0.65対0.64)のに対し2005年版では差があった(0.54対0.46)。class I〜IIFとIII〜IVに二分した診断能では、悪性に対する特異度が2019年版83%対2005年版68%と高く、感度は89%対84%で差がなかった(抄録のみを閲覧しており全文は未取得)。閲覧 2026-09-02