スコア体系ノート一覧へ

Scores · Published

Capriniスコア

Caprini score

別名
CapriniリスクアセスメントモデルCaprini RAM
臓器系
循環器
科目
Surgery
トピック
外科学 A/16:血栓塞栓症と血栓予防
構成:症状
浮腫

🧠 全体像:は、一般外科・消化器外科・泌尿器科・婦人科などの非患者を中心とした周術期患者において、およびの発症リスクを患者ごとに層別化するための重み付け加算スコアリングシステムである。患者の年齢や基礎疾患、、、不動期間などの多岐にわたる因子を1点・2点・3点・5点に配点して合算し、極低・低・中・高リスクの4群に分類する。米国胸部医学会(ACCP 2012)ガイドラインで標準的な予防戦略(・・抗凝固薬)の決定基準として広く採用されている。

目的と適用場面

項目 内容
目的 周術期患者における(・肺塞栓症)の発症リスクを定量化し、適切な予防法を選択する
対象 主に非整形外科系手術を受ける入院成人患者(一般外科、消化器外科、婦人科、泌尿器科、胸部外科、科など)
使う場面 術前評価時および入院時。手術内容や臨床経過に応じた術後の再評価
評価しないもの 患者の出血リスクそのもの(法の決定には、本スコアによると出血リスク評価の両立が必須)

構成要素と配点

患者因子および手術因子をリスクの強さに応じて1点、2点、3点、5点に配分し、該当する項目の点数を合計する12。

1点項目(軽度リスク因子)

  • 年齢 41〜60歳
  • 小手術(予定手術時間 45分未満)
  • 肥満(BMI 25 kg/m²超)
  • 軽度の(浮腫)
  • 妊娠または(1か月以内)
  • 原因不明の(3回以上)
  • 経口避妊薬またはの使用
  • 敗血症(1か月以内)
  • 重度肺疾患(1か月以内の肺炎など)
  • 異常な肺機能所見(など)
  • (1か月以内)
  • (1か月以内)
  • (・Crohn病)の病歴
  • 内科疾患によるベッド上安静

2点項目(中等度リスク因子)

  • 年齢 61〜74歳
  • 手術(45分超)
  • 大手術(開腹・・で 45分超)
  • 悪性腫瘍(現在治療中または過去の診断)
  • 72時間超の安静()
  • 下肢の・固定(1か月以内)
  • 中心静脈カテーテルの留置・アクセス

3点項目(高度リスク因子)

  • 年齢 75歳以上
  • (または肺塞栓症)の既往
  • の家族歴
  • 陽性
  • 陽性
  • の既往
  • その他の先天性・(症、症、症、)

5点項目(極高度リスク因子)

  • 脳卒中(1か月以内)
  • または
  • 、、または下肢骨折(1か月以内)
  • 急性(1か月以内の麻痺発症)
  • (1か月以内)

解釈とカットオフ

合計点数に基づいてVTEリスクを4段階に分類し、ACCPガイドラインに準拠して方針を決定する23。

リスク区分 合計点 推定VTE発症率 出血リスクが低い場合の予防法 出血リスクが高い場合の予防法
極低リスク 0点 約0.5%未満 ・頻回歩行のみ ・頻回歩行のみ
低リスク 1〜2点 約1.5% (がより優先)
3〜4点 約3.0% LMWHまたはによる薬物的予防。も可
高リスク 5点以上 約6.0%以上 薬物的予防(LMWHまたは)+の併用 まずを開始し、出血リスクが低下した時点でを追加

高リスク群(5点以上)のなかでも、8〜9点以上の例では症候性VTEのが10%を超えることが示されており、厳格な併用予防が必須となる。また、腹部・骨盤領域の悪性腫瘍に対する高リスク手術例では、退院後を含めて術後4週間までのLMWHによるが推奨されている。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 入力項目の多さと記入漏れ:約40項目に及ぶ詳細なリスク因子を評価するため、多忙な臨床現場では病歴やの聴取漏れによるスコアの過小評価が生じやすい。電子カルテの自動抽出システムなどを活用した標準化が望ましい。

⚠️ 整形外科領域への適用:や手術は自動的に5点(高リスク)に達するが、整形外科大手術には別個の整形外科特異的VTE予防ガイドライン(アスピリンやDOACの用量設定など)が存在するため、通常は非患者の層別化に主として用いられる。

⚠️ 外来化学療法患者との使い分け:外来でがん薬物療法を受けるの評価には、血液などを用いるが適しており、周術期の外科評価を目的としたと混同しない。

まとめ

  • は、非患者の周術期リスクを1点・2点・3点・5点の加算方式で評価する代表的なモデルである。
  • 0点(極低)、1〜2点(低)、3〜4点(中)、5点以上(高)の4群に層別化し、・・抗凝固薬予防を使い分ける。
  • 高リスク患者(5点以上)では抗凝固薬との併用が標準であり、悪性腫瘍手術では術後4週間のを考慮する。

出典

  1. 1.Thrombosis risk assessment as a guide to quality patient care(Disease-a-Month・2005)外科患者および内科入院患者における静脈血栓塞栓症リスクを個人別に評価するため、患者固有の素因と手術・急性侵襲の各因子を1点・2点・3点・5点に重み付けして合算するリスク評価モデル(Caprini RAM)を提唱した。閲覧 2026-10-28
  2. 2.Prevention of VTE in nonorthopedic surgical patients: Antithrombotic Therapy and Prevention of Thrombosis, 9th ed: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines(Chest・2012)非整形外科手術患者の静脈血栓塞栓症予防においてCapriniスコアに基づく4段階のリスク層別化(極低:0点、低:1〜2点、中:3〜4点、高:5点以上)を採用し、各群における機械的予防および低分子量ヘパリンや低用量未分画ヘパリンの使い分け、腹部骨盤悪性腫瘍手術での4週間延長予防を推奨した。閲覧 2026-10-28
  3. 3.Thrombosis prophylaxis in surgical patients using the Caprini Risk Score(Current Problems in Surgery・2022)外科各領域におけるCapriniスコアの大規模な臨床的妥当性検証の蓄積を総括し、特に高リスク(スコア5点以上)および超高リスク(スコア8〜9点以上)における静脈血栓塞栓症リスクの急増と抗凝固療法の有効性、電子カルテ導入による算定精度の重要性を示した。閲覧 2026-10-28