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Clavien-Dindo分類

Clavien-Dindo classification

別名
Clavien-Dindo gradeDindo-Clavien分類術後合併症の重症度分類
臓器系
全身
科目
Surgery
トピック
外科学 G/05:術後管理と合併症外科学 G-08:術後管理と術後合併症

🧠 全体像:は、術後合併症を「何が起きたか」ではなく「それを治すために何をしたか」で重症度に分ける分類である。薬を足したか、手術・内視鏡・放射線の介入が要ったか、介入に全身麻酔を使ったか、が要ったか、死亡したか——と治療の強さが一段上がるごとに等級が上がる。臓器や病名に関係なく同じ物差しで測れるので、術式や施設をまたいだ合併症の比較に使われる。

目的と適用場面

内容
目的 術後合併症の重症度を、治療の強さというな基準で等級づけし、報告と比較を標準化する
対象 手術を受けた患者に生じた個々の合併症(外科全般、消化器・泌尿器・頭頸部・婦人科など)
使う場面 論文・学会での合併症報告、の、施設内の術後合併症の監査(カンファレンス)
位置づけ 重症度の分類であり、術前の全身状態の評価(の役割)とは時間軸が異なる

原著は一般外科手術6336例で検証され、等級は手術の複雑さとに有意に相関した(いずれもP<0.0001)。10施設144名の外科医の調査でも、症例提示の90%が正しく等級づけされた1。その後の5年間の利用を調べた報告でも、難しい11症例の等級づけのは89%だった2。

構成要素と等級

⭐ 点数を足す形式ではなく、合併症1つにつき1つの等級を与える順序分類である。定義は主に治療の内容で決まり、合併症の種類や原因は問わない3。

等級 定義 例(説明用)
I 正常な術後経過からの逸脱で、薬物治療も外科的・内視鏡的・放射線学的介入も要さない。許容される治療は・・・利尿薬・電解質補充・。ベッドサイドで開放した創感染もここに入る 術後の悪心に、発熱に、ベッドサイドで創を開放した表層の創感染
II 等級Iで許容される以外の薬物治療を要する。輸血とも含む 抗菌薬を要する肺炎や尿路感染、貧血に対する輸血
IIIa 外科的・内視鏡的・放射線学的介入を要し、全身麻酔下ではない 下の、
IIIb 外科的・内視鏡的・放射線学的介入を要し、全身麻酔下で行う に対する全身麻酔下の
IVa 生命を脅かす合併症(中枢神経系合併症を含む)で、中間ケアまたはICU管理を要する。単一臓器の障害(透析を含む) 人工呼吸を要する呼吸不全、透析を要する
IVb 同上で、多臓器の障害 に伴う
V 患者の死亡 —
接尾辞d 退院時点で合併症が残っているとき、当該の等級に付ける(障害の意)。追跡して評価を完結させる必要を示す IIIbd(後も機能障害が残って退院)

💡 例の列は理解のための当ノートの例示であり、原著の定義表には含まれない。実際の等級づけは、その患者に実際に行われた治療で決める。

原著は、等級IVに含める中枢神経系合併症として・・を挙げ、は除くと脚注で定めている1。

等級づけの流れ

治療の強さを重いほうから順にたどると迷わない。1つの合併症に複数の治療が重なったときは、最も強い治療で等級を決める。

flowchart TD
    A["術後に正常経過からの逸脱が起きた"] --> B{"死亡したか"}
    B -->|"はい"| V["等級V"]
    B -->|"いいえ"| C{"生命を脅かし、中間ケアまたはICU管理を要したか"}
    C -->|"はい"| D{"障害された臓器は1つか"}
    D -->|"1つ(透析を含む)"| IVA["等級IVa"]
    D -->|"複数"| IVB["等級IVb"]
    C -->|"いいえ"| E{"外科的・内視鏡的・放射線学的介入を要したか"}
    E -->|"はい"| F{"全身麻酔下で行ったか"}
    F -->|"はい"| IIIB["等級IIIb"]
    F -->|"いいえ"| IIIA["等級IIIa"]
    E -->|"いいえ"| G{"等級Iで許容される以外の薬物治療を要したか<br>(輸血・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='total parenteral nutrition, TPN'>完全静脈栄養</span>を含む)"}
    G -->|"はい"| II["等級II"]
    G -->|"いいえ"| I["等級I"]

解釈と運用上の取り決め

場面 取り扱い
等級の読み方 等級は手術の複雑さ・、患者・・が受け止める重症度と有意に相関する12
「軽症/重症」と呼ぶ 原著の著者らは「minor/major」のようなで不正確な語を文献から除くよう求めている。報告では等級そのものを書く2
縮約して報告する 5年間の利用調査では、引用論文の約半数が等級を縮約して報告していた。縮約するなら、どの等級をまとめたかを明記する2
患者に複数の合併症がある 等級は合併症ごとに付く。1人の患者の全合併症を1つの値にするには、等級に重みを付けて0〜100にまとめるComprehensive Complication Indexがある4
での評価 有害事象名ごとに個別のグレード定義を持つCTCAEに対し、は事象名を規定せず、すべての事象に共通の単一定義を使う。JCOGは72の術後有害事象について、このに沿った個別の定義を整備した3

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 合併症そのものの重さではなく、その施設で行われた治療の強さを測っている。 同じ病態でも、施設のや使える資源(IVRの可否、ICUの空き)が違えば、等級が変わりうる。施設間比較では、の違いを考えに入れて読む。

⚠️ IIIaとIIIbの境目は麻酔の種類で決まる。 原著の文言は「全身麻酔下でない」「全身麻酔下」で、や鎮静下の処置の置き場所は文言だけでは割れうる。広く流通している転載版には、をIIIb側に置くものがある。JCOG基準は鎮静下のを全身麻酔下と同じIIIbに置く3。論文を読むときは、どちらの取り決めで等級づけしたかを確かめる。

⚠️ 何を合併症に数えるか、いつまで観察するかは、等級の定義の外にある。 体温が高い日が何日続いたら発熱と数えるか、術中の事象を含めるか、術後何日までを対象にするかは研究ごとにばらついていた。この不統一が、JCOGが個別の定義を足した理由の1つである3。比較するときは観察期間と合併症の定義をそろえる。

⚠️ 等級は最も重い治療で決まるため、軽い合併症が積み重なる状況は見えない。 1人に複数の合併症が起きても、最重症の等級だけを報告すると軽い事象が消える。この欠点を補うのがComprehensive Complication Indexである4。

⚠️ 手術前のリスク評価には使えない。 起きた合併症に対して付ける事後の分類であり、術前の全身状態の評価にはなどを使う。

まとめ

  • は、術後合併症を治療の強さで等級I〜Vに分ける順序分類で、点数の加算はない。
  • 等級Iは薬も介入も不要(・・・利尿薬・電解質・は許容)、IIは許容外の薬物治療(輸血・を含む)、IIIは介入を要し麻酔の種類でIIIa(全身麻酔でない)とIIIb(全身麻酔下)に分かれる。
  • IVは生命を脅かす合併症で、がIVa、多臓器障害がIVb、Vは死亡。退院時に合併症が残れば接尾辞dを付ける。
  • 重症度をな「minor/major」でなく等級で書く。施設間のの差、観察期間、麻酔の区分の取り決めの違いに注意して比較する。
  • 1人の全合併症を1つの値にするにはComprehensive Complication Indexを使う。

出典

  1. 1.Classification of surgical complications: a new proposal with evaluation in a cohort of 6336 patients and results of a survey(Annals of Surgery(Dindo D, Demartines N, Clavien PA)・2004)1992年の分類を再検討し、合併症の治療内容に基づく等級づけを維持したまま生命を脅かす合併症と永続的な障害の記載方法を改めた新分類を、待機的一般外科手術6336例で検証した。等級が手術の複雑さと在院日数に有意に相関し(いずれもP<0.0001)、10施設144名の外科医の調査で症例提示の90%が正しく等級づけされた。PMCの本文でIIIa/IIIbの区別が全身麻酔の要否によること、中枢神経系合併症(虚血性脳卒中・脳出血)が等級IVに入ること、障害を示す接尾辞dが任意の等級に付けられることを確認した。各等級の定義表(Table 1)は画像のため本文からは取得できず、定義の原文はJCOGの再掲表(katayama-surg-today-jcog-pc-2016)で照合した。一過性脳虚血発作を除くという脚注は、原著Table 1を再掲した別の表の記述を検索結果で照合したもので、原著の画像そのものは確認できていない。閲覧 2026-10-27
  2. 2.The Clavien-Dindo classification of surgical complications: five-year experience(Annals of Surgery(Clavien PA, Barkun J, de Oliveira ML, et al.)・2009)抄録で確認した。分類の導入後5年間の文献利用を系統的に解析し、難しい11症例を7施設が独立に等級づけして89%の一致を得て、各等級が患者・看護師・医師の重症度の受け止めと有意に相関した(P<0.05)。引用論文の約半数が縮約した等級で報告し、3分の2は「minor/major」のような主観的な語を避けていた。一般原則の修正は不要で、「minor/major」のような主観的で不正確な語は外科文献から除くべきだと結論している。全文は購読誌のため、Methods・Resultsの詳細は未確認。閲覧 2026-10-27
  3. 3.Extended Clavien-Dindo classification of surgical complications: Japan Clinical Oncology Group postoperative complications criteria(Surgery Today(Katayama H, Kurokawa Y, Nakamura K, et al.)・2016)PMC4848327の全文(Europe PMCのfullTextXML)のTable 1で、Clavien-Dindo分類の等級づけの一般原則を逐語で確認した。Iは「正常な術後経過からの逸脱で、薬物治療も外科的・内視鏡的・放射線学的介入も要さない」(制吐薬・解熱薬・鎮痛薬・利尿薬・電解質・理学療法は許容、ベッドサイドで開放した創感染を含む)、IIは「Iで許容される以外の薬物治療を要する」(輸血と完全静脈栄養を含む)、IIIaは全身麻酔下でない介入、IIIbは全身麻酔下の介入、IVaは単一臓器障害(透析を含む)、IVbは多臓器障害(いずれもIC/ICUでの管理を要する生命を脅かす合併症で、中枢神経系合併症を含む)、Vは死亡、退院時に合併症が残る場合は接尾辞d(disability)を付し追跡の必要を示す。Table 2でCTCAE(有害事象名ごとに個別のグレード定義)とClavien-Dindo分類(事象名を規定せず全事象に共通の単一定義)の違いを確認した。JCOG基準は72の術後有害事象について個別の定義を一般原則に沿って与え、例えば鎮静下の気管切開をIIIb側に置く。閲覧 2026-10-27
  4. 4.The comprehensive complication index: a novel continuous scale to measure surgical morbidity(Annals of Surgery(Slankamenac K, Graf R, Barkun J, Puhan MA, Clavien PA)・2013)抄録で確認した。多くの研究が最重症の合併症だけを報告し軽い事象を無視するという問題に対し、Clavien-Dindo分類で整理した合併症を重症度で重み付けして1人の患者の全合併症を0〜100の連続尺度(Comprehensive Complication Index)にまとめる方法を示した。重みは472人が30種の合併症を評価した中央値から得て、1299例で検証し、従来の指標より治療効果の差の検出に鋭敏であった。閲覧 2026-10-27