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DN4質問票

DN4

別名
Douleur Neuropathique 4神経障害性疼痛スクリーニング質問票
臓器系
神経
科目
Clinical PharmacologyIntensive Therapy and Anesthesiology
トピック
臨床薬理学 38:痛みの定義・評価・分類麻酔科学 B-20:疼痛管理
構成:症状
疼痛錯感覚

🧠 全体像:DN4は、痛みを訴える患者においての要素が存在するかをベッドサイドで迅速に識別・スクリーニングするための臨床ツールである。2005年にフランスグループによって開発された。痛みの質に関する7項目と、診察室で行える簡単な感覚検査3項目の計10項目(各1点、合計0〜10点)で構成され、4点以上を陽性と判定する。関節炎などのと、・・などのではする治療薬(NSAIDsか、やSNRIか)が根本的に異なるため、初期診療における適切なの道標として国際的に広く推奨されている。

目的と適用場面

項目 内容
目的 のスクリーニングおよびとの鑑別
対象 急性・慢性の疼痛(、、、など)を訴える成人患者
使う場面 初診時の・診察、治療薬(、ミロガ、など)の導入判断、専門医紹介の検討
評価しないもの の確定診断(画像や神経生理学的検査による病変部位の証明が必要)、痛みの強さ自体の定量

だけでなくによる簡単な感覚診察が組み込まれている点が特徴であり、診察を含めた施行時間は数分以内と極めて簡便である1。

構成要素と配点

は4つの質問群(合計10項目)からなる。各項目について、該当すれば「はい(1点)」、該当しなければ「いいえ(0点)」とし、合計点を0〜10点で算出する1。

問診:患者への質問(7項目)

患者の訴える痛みの局所に関して、以下の感覚が存在するかをする。

質問群 項目番号 症状の特徴 配点
質問1:痛みには次の特徴があるか? 1 灼熱感(焼けるような痛み) 0点 / 1点
2 痛みを伴う(冷たさによる強い痛み) 0点 / 1点
3 (電気ショックが走るような痛み) 0点 / 1点
質問2:痛む部位に次の症状を伴うか? 4 ・ピリピリ感() 0点 / 1点
5 針で刺されるような感じ・ 0点 / 1点
6 感(感覚の鈍さ) 0点 / 1点
7 かゆみ(異常な) 0点 / 1点

診察:検者による感覚検査(3項目)

痛む部位をや正常部位と比較しながら診察する。

質問群 項目番号 診察手技と所見 配点
質問3:痛む部位にがあるか? 8 触覚低下:脱脂綿で軽く触れた際、正常部と比べて触覚が低下している 0点 / 1点
9 :安全ピンや爪楊枝などの針刺激に対して痛覚が低下している 0点 / 1点
質問4:痛む部位において誘発されるか? 10 刷毛(ブラシ)誘発痛:化粧用ブラシやなどで皮膚をなでた際に痛みが誘発・増悪する() 0点 / 1点

合計点:0〜10点。

解釈とカットオフ

スクリーニング判定

  • 4点以上(4/10点以上):陽性。の可能性が極めて高い。原著における検証では、感度 82.9%、特異度 89.9% を示した1。
  • 3点以下(3/10点以下):陰性。(やなど)の可能性が高い。

欧州神経学会(EAN)・欧州疼痛(EFIC)・NeuPSIGの合同ガイドラインは、が疑われる患者に対するスクリーニングとしてDN4を強く推奨している2。

自己記入式版(I-DN4)

診察項目(質問8〜10)を省略し、7項目(質問1〜7)のみを患者自身が記入する自己記入式版(I-DN4)も検証されている。この場合、3点以上 / 7点を陽性とすることで、診察を含む原版と同等のスクリーニング精度が得られるとされる。

flowchart TD
    A["原因の鑑別を要する疼痛患者"] --> B["DN4<span class='jp-term jp-term-diagram' title='questionnaire'>質問票</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='medical interview (history-taking)'>問診</span>7項目+診察3項目)を実施"]
    B --> C{"合計スコア"}
    C -->|"0〜3点:陰性"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nociceptive pain'>侵害受容性疼痛</span>の可能性が高い<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Musculoskeletal'>筋骨格系</span>・炎症性疾患の精査<br>NSAIDsや<span class='jp-term jp-term-diagram' title='physiotherapy'>理学療法</span>を検討"]
    C -->|"4点以上:陽性"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neuropathic pain'>神経障害性疼痛</span>の可能性が高い"]
    E --> F["神経解剖学的分布の一致を確認"]
    F --> G["原因疾患の精査<br>(画像・神経生理学的検査等)"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neuropathic pain'>神経障害性疼痛</span>治療薬の導入<br>(Caチャネル<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alpha-2-delta ligand'>α2δリガンド</span>、SNRI等)"]

限界と使ってはいけない場面

⚠️ スクリーニングツールであり、確定診断ツールではない。 国際疼痛学会(IASP)のにおいて、のには、神経の解剖学的支配領域に一致する疼痛分布とに加えて、神経系の病変または疾患をに証明する(画像検査、、皮膚生検など)が必要とされる。DN4陽性は「精査と治療薬の適応を強く考慮する契機」であって、単独での確定診断ではない。

⚠️ における過信は禁物である。 や変形性症などでは、局所の筋膜・炎によると、によるが混在する()。DN4が4点以上であっても、患者の訴える痛みの全成分がとは限らず、病態に応じた併用療法を考慮する。

⚠️ 痛みの強さや治療効果の判定には向かない。 DN4は痛みの「性質」と「感覚所見の有無」を二値(0または1)で問う指標であり、痛みの重症度そのものを追跡する目的には適さない。強さの推移にはNRSやVASを用い、痛みの多次元的変化にはMcGill疼痛などを用いる。

⚠️ 重度のや意思疎通困難例では判定できない。 痛みの表現についての質問が主体であるため、言語理解や表現が困難な患者では正確なスコアが得られない。

まとめ

  • DN4は、7項目と簡単な感覚診察3項目の計10項目からなるのスクリーニングである。
  • 10項目中4点以上で陽性と判定され、感度・特異度ともに80〜90%前後の高い識別能を持つ。
  • との鑑別により、早期の適切な薬剤選択(やSNRIなど)を支援する。
  • スクリーニングツールであり単独での確定診断にはならず、の確認と所見を合わせて評価する。

出典

  1. 1.Comparison of pain syndromes associated with nervous or somatic lesions and development of a new neuropathic pain diagnostic questionnaire (DN4)(Pain(Bouhassira D, Attal N, Alchaar H, et al.)・2005)神経病変または身体病変に伴う疼痛患者160例を対象に、痛みの感覚性記述7項目とベッドサイド感覚診察3項目の計10項目からなるDN4質問票を開発・検証し、4点以上をカットオフとすることで感度82.9%・特異度89.9%で神経障害性疼痛を侵害受容性疼痛から識別できることを確認した。閲覧 2026-10-27
  2. 2.Joint European Academy of Neurology-European Pain Federation-Neuropathic Pain Special Interest Group of the International Association for the Study of Pain guidelines on neuropathic pain assessment(European Journal of Neurology(Truini A, et al.)・2023)欧州神経学会(EAN)・欧州疼痛連合(EFIC)・NeuPSIGの合同診療ガイドラインにおいて、神経障害性疼痛疑い患者のスクリーニング質問票としてDN4、自己記入式I-DN4、LANSSの使用を強く推奨し、確定診断には皮膚生検(強い推奨)や定量的感覚検査(弱い推奨)などを組み合わせる診断経路を提示していることを確認した。閲覧 2026-10-27