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Masaoka-Koga分類

Masaoka-Koga classification

別名
Masaoka分類
臓器系
腫瘍呼吸器
科目
Pathology
トピック
病理学 C/7:脾臓・胸腺の疾患
適用疾患
胸腺腫

🧠 全体像は、など胸腺上皮性腫瘍が「どこまで浸潤・播種しているか」を、被膜→周囲脂肪組織→隣接臓器→胸膜・心膜播種→という一本の連続した解剖学的進展の軸でI〜IVBの6段階に並べるである。項目を足し合わせるスコアではなく、のように3つの軸(T・N・M)を組み合わせる方式でもない——単一の軸上のどこまで進んだかだけを見る、という点が構成の核である。と並べて語られることが多いが、両者は代替関係ではなく、の病期記載ではTNMが必須、Masaoka-Kogaは併記可能という位置づけに変わっている。

目的と適用場面

内容
目的 胸腺上皮性腫瘍()の(病期)の分類
対象 胸腺上皮性腫瘍と診断され、手術(切除または生検)を受けた患者
使う場面 術後の記載、予後・再発リスクの層別化、の適応判断、TNM登場以前からの文献データとの比較
評価しないもの 患者の全身状態、WHO組織分類(A・AB・B1〜B3・という細胞形態の区分)、

Masaoka(1981年、93例の解析)が原型となる4段階のを提唱し、Koga(1994年、79例の解析)がII期を「被膜への顕微鏡的浸潤」と「周囲脂肪組織への肉眼的浸潤」の2群(IIA・IIB)に分割する形で改訂したものが現行のである1。両分類とも「浸潤」「癒着」という用語の境界が曖昧だったため、ITMIG(International Thymic Malignancy Interest Group)が2011年に用語を明確化し、現行の定義として広く用いられている1

構成要素と配点

は点数を合計する体系ではなく、腫瘍の浸潤・播種の広がりを1つの病期に対応づける。

病期 定義
I 肉眼的・組織学的に被膜が完全に保たれている(被膜を貫かない範囲の浸潤、または被膜を欠く例で周囲組織への浸潤がないものを含む)
IIA 被膜への顕微鏡的浸潤(被膜を貫く浸潤が組織学的にのみ確認される)
IIB 周囲の胸腺組織・脂肪組織への肉眼的浸潤、または・心膜を貫かない範囲での肉眼的癒着
III 隣接臓器(心膜・大血管・肺・・迷走神経など)への肉眼的浸潤(組織学的な確認を要する)
IVA 胸膜または心膜への播種(と連続しない結節として顕微鏡的に確認される)
IVB 転移(・頸部リンパ節)または(胸腔外・肺実質を含む)

⭐ I〜IIBは被膜という単一の解剖学的境界を基準に3段階へ細分される一方、III以降は「どの構造に及ぶか」(隣接臓器→胸膜・心膜表面→リンパ節・遠隔臓器)へと評価対象が切り替わる。IIA/IIBの境界は「顕微鏡的浸潤」か「肉眼的浸潤」かという判定に依存し、この境界の曖昧さがITMIGによる用語明確化の主な動機になった1

解釈とカットオフ

病期 臨床的な意味合い
I 被膜を越えていない。完全切除で再発リスクが低い
IIA・IIB 被膜外への浸潤はあるが局所にとどまる。完全切除が可能なことが多い
III 隣接臓器への浸潤があり、切除の複雑さ・断端陽性のリスクが上がる
IVA 胸膜・心膜への播種があるが、遠隔臓器への転移ではないため、拡大切除や胸膜の対象になりうる
IVB があり、局所治療だけでは制御できない全身性の広がりを意味する

💡 病期が上がるほど再発リスクが高まり、切除の(R0か否か)と組み合わせての適応が判断される。個々の治療閾値・薬剤選択はノートの治療節に譲る。

⚠️ Masaoka-Kogaとは同じ解剖学的所見(・胸膜播種・リンパ節転移など)の多くを参照するが、評価の枠組みが異なる。Masaoka-Kogaは単一の、TNMはT()・N(リンパ節)・M(遠隔転移)を独立に評価してからへ集約する枠組みであり、両者の病期番号をそのまま対応させることはできない。詳細はを参照。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ IIA(顕微鏡的浸潤)とIIB(肉眼的浸潤)の境界は判定者間でばらつきうる。「被膜を貫いた」かどうかの判定は病理医の主観に依存する部分があり、この曖昧さを減らす目的でITMIGが2011年に用語を明確化した1

⚠️ Masaoka-Kogaは転移とをIVBとして一括しており、TNMのN分類(部位・個数)やM分類のような多段階の細分化を持たない。転移の頻度が高いの評価ではTNMの方が情報量が多く、WHO分類もTNMを必須の病期記載として位置づけている。

⚠️ 2025年1月以降、ITMIGはAJCC/ 第9版を胸腺上皮性腫瘍の病期評価における推奨体系としており、Masaoka-Kogaはもはや第一選択のではない2。既存のデータの多くはMasaoka-Koga時代に蓄積されたものであり、TNM版と混同して比較しないよう注意する。

⚠️ 胸腺のや、胸腺以外に原発する縦隔腫瘍・リンパ腫など)には適用しない。あくまで胸腺上皮性腫瘍を対象とした体系である。

まとめ

  • は胸腺上皮性腫瘍のを、被膜→周囲脂肪組織→隣接臓器→胸膜・心膜播種→という1本の軸でI〜IVBの6段階に分類する。
  • Masaoka(1981年)が原型を提唱し、Koga(1994年)がII期をIIA/IIBへ分割する改訂を加え、ITMIG(2011年)が用語を明確化した。
  • I〜IIBはの程度(顕微鏡的か肉眼的か)で細分され、III以降は浸潤・播種・転移の対象構造が段階的に広がる。
  • IIA/IIBの境界判定には評価者間のばらつきがあり、をIVBとして一括する点でTNMより情報量が少ない。
  • 2025年1月以降、胸腺上皮性腫瘍の病期評価は第9版が推奨体系となっており、Masaoka-Kogaは併記可能な位置づけに変わっている。

出典

  1. 1.The Masaoka-Koga Stage Classification for Thymic Malignancies: Clarification and Definition of Terms(International Thymic Malignancy Interest Group(ITMIG)/Journal of Thoracic Oncology・2011)I〜IVBの各病期の定義(被膜への浸潤・周囲脂肪組織への浸潤・隣接臓器への浸潤・胸膜心膜播種・リンパ行性血行性転移の境界)と、Masaoka(1981年、93例の解析)が原型を提唱し、Koga(1994年、79例の解析)がII期をIIA/IIBへ分割する形で改訂したという成立の経緯閲覧 2026-08-10
  2. 2.Staging(International Thymic Malignancy Interest Group(ITMIG)・2025)2025年1月以降、胸腺上皮性腫瘍の病期評価にはAJCC/UICC TNM分類第9版が推奨されており、Masaoka-Koga分類は現在の第一選択の病期分類ではなくなっていること閲覧 2026-08-10