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修正Glasgow予後スコア

Modified Glasgow Prognostic Score

別名
mGPSmodified Glasgow Prognostic Score
臓器系
腫瘍全身
科目
Pathophysiology
トピック
病態生理学 2-31:腫瘍による二次的障害(2):癌の全身的影響
構成:検査値
CRPアルブミン
適用疾患
悪液質

🧠 全体像)は、CRPアルブミンというたった2つのだけで、癌患者のの強さを0〜2点に段階化する予後スコアである。腫瘍そのものの大きさや広がりを測るとは別の軸——宿主側がどれだけ炎症でしているか——を数値化する点が本質で、という表現型の背後にある炎症負荷を客観視する手がかりになる。

目的と適用場面

内容
目的 の強さを2項目で段階化し、癌患者の予後(生存期間)を層別化する
対象 腫瘍の部位を問わない癌患者。119,608例の単一コホートで、を問わず生存を予測することが検証されている1
使う場面 診断時・治療開始前の採血値を用いた予後の目安づけ、臨床研究での炎症ベース予後指標としての利用
評価しないもの など腫瘍そのものの進展度、そのもの、の選択

構成要素と配点

⭐ 2項目、合計0〜2点。CRPとアルブミンの組合せで決まり、単純な加算ではない。CRPの閾値は10 mg/L(=1 mg/dL)、アルブミンの閾値は35 g/L(=3.5 g/dL)である1

CRP アルブミン GPS(原法) (修正版)
正常 正常 0 0
正常 低値 1 0
高値 正常 1 1
高値 低値 2 2

⚠️ GPSとの違いは、太字にした1マスだけである。 原法GPSはCRP高値・アルブミン低値のどちらか一方だけでも1点を付けるため、単独(栄養不良・肝疾患・など、炎症を伴わない低値)でも1点になってしまう。はこれを改め、CRPが正常であれば、アルブミンがいくら低くても0点とする。炎症を伴わないを除外し、「の指標」としてのを高めた設計である1

解釈とカットオフ

合計点 意味
0点 なし。CRP正常(アルブミン値は問わない)
1点 軽度〜中等度の炎症反応。CRP高値だがアルブミンは保たれている
2点 強い炎症反応。CRP高値かつアルブミン低値の両方がそろう

点数が上がるほどが短くなる傾向があり、腫瘍の部位を問わず一貫して観察される1。大腸癌ではとは独立した予後因子としてで有意であり1でも後のなどと並ぶ独立した予後因子であることが示されている2

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 癌以外の理由でCRPが上がる状況では解釈できない。 感染症、自己免疫疾患、外傷、術後早期など、癌とはがあるとCRPが上昇し、も見かけ上高くなる。急性感染症の最中に測定した値でを判定しない——炎症が落ち着いてから再評価する。

⚠️ を単独で決めない。 は予後の層別化ツールであり、化学療法の適応や手術可否そのものを決めるアルゴリズムではない。他の・全身状態評価と併せて解釈する。

⚠️ 閾値は施設のCRP測定法・単位系に依存する。 CRP 10 mg/L(1 mg/dL)、アルブミン35 g/L(3.5 g/dL)という閾値は原著での定義であり、測定法・報告単位が異なる施設ではそのまま流用できない場合がある。

⚠️ そのものではない。 はFearonらの国際コンセンサス(・BMI・の有無)で診断される症候群であり、はその背景にある炎症負荷を数値化する予後スコアにすぎない。が高いことはの診断を意味せず、逆にが0でもは存在しうる。

まとめ

  • はCRPとアルブミンの2項目だけでの強さを0〜2点に段階化し、癌患者の予後を層別化する。
  • CRPが正常なら、アルブミンがいくら低くても0点——これが原法GPS(低アルブミン単独でも1点)との唯一かつ本質的な違いである。
  • 点数が上がるほど生存期間が短くなる傾向があり、大腸癌ではではとは独立した予後因子として検証されている。
  • 感染症など癌以外の原因でCRPが上がる状況では解釈できず、を単独で決めるスコアでもない。
  • )そのものではなく、の背景にある炎症負荷を数値化する別のツールである。

出典

  1. 1.An inflammation-based prognostic score (mGPS) predicts cancer survival independent of tumour site: a Glasgow Inflammation Outcome Study(British Journal of Cancer・2011)mGPSがCRP≥10 mg/L(1 mg/dL)かつアルブミン<35 g/L(3.5 g/dL)で2点、CRP≥10 mg/Lのみで1点、CRPが正常なら(アルブミン値によらず)0点と採点されること、原法GPSでは低アルブミン血症単独でも1点が付く点でmGPSと異なること(考察でForrestら2004年の原著を引用して述べられている)、大腸癌(病期情報のあった430例)ではDukes病期とは独立した予後因子であったこと、11癌腫9,608例の単一コホートで腫瘍部位を問わず検証されたことを確認した閲覧 2026-08-04
  2. 2.The modified Glasgow prognostic score is an independent prognostic indicator in neoadjuvantly treated adenocarcinoma of the esophagogastric junction(Oncotarget・2018)食道胃接合部腺癌の術前化学療法後患者において、mGPS(CRP>1.0 mg/dL[10 mg/Lに相当]、アルブミン<35 g/Lで採点)が多変量解析で腫瘍分化度などと並ぶ独立した予後因子であったことを確認した閲覧 2026-08-04