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Oswestry障害指数

Oswestry Disability Index

別名
ODIOswestry機能障害指数
臓器系
運動器神経
科目
NeurologyMedical Rehabilitation
トピック
神経内科 G1-38:神経根症候群(頸腕痛・腰坐骨神経痛)リハビリテーション医学 06:筋骨格系・外傷のリハビリテーション

🧠 全体像:Oswestry Disability Index(ODI)は、が日常生活のどこにどれだけ支障を出しているかを、患者自身に10領域の質問へ答えさせて0〜100%の1つの数字にする自己記入式尺度である。画像でやを測るのでも、が診察所見を点数化するのでもない——「痛みそのもの」ではなく「痛みのせいで何ができなくなったか」を測る点が、ODIを他のスコアと分ける軸である。疾患の・治療効果の追跡で用いられる代表的な指標のひとつである一方、原著自体が英語版だけで4種、翻訳版が9種あり一部は採点方法の説明を欠くと指摘しており1、「ODIを使った」だけでは同じ尺度を指すとは限らない。

目的と適用場面

内容
目的 によるの障害度を、患者自身の回答で定量化する
評価の種類 尺度(PROM)。でも重症度の画像分類でもない
対象 (下肢のの有無を問わない)を有する患者
使う場面 治療前後の障害度追跡、・レジストリの評価、外来での経過観察
評価しないもの 画像上の狭窄・変性の程度、そのもの、疼痛の強さだけを取り出した値

💡 なぜ「痛みの強さ」だけを聞かないのか。 同じ強さの痛みでも、生活のどこに響くかは患者ごとに違う。ODIは10領域それぞれで「その動作をするとどうなるか」を尋ね、生活への影響という共通の物差しに変換することで、疾患や治療法をまたいで比較できるようにしている。

構成要素と配点

10項目からなり、各項目は0〜5点で採点される(高得点ほど障害が重い)2。各項目は障害の軽い順に並んだ6つの記述文からなり、患者は最も当てはまるものを1つ選ぶ。

⚠️ 記述文そのものは本ノートに載せない。 の著作権はMapi Research Trustが保有しており3、選択肢を独自に訳し直したものを臨床・研究で用いてはならないためである。

項目
1. 疼痛の強さ
2. 身の回りの動作(洗面・更衣)
3. 物を持ち上げる
4. 歩行
5. 座位
6. 立位
7. 睡眠
8. 性生活
9. 社会生活
10. 旅行・外出

各領域の得点(0〜5)を合計し、回答した領域の最大得点で割って100を掛けることで0〜100%の1つの値にする(標準は10領域×5点=50点満点で「合計÷50×100」だが、性生活の項目のように未回答の領域があるときは、その領域を分母からも除いて計算する)2。

⭐ 未回答の扱いを間違えると点数がずれる。 性生活の項目は答えにくさから未回答になりやすい——の術前患者147例を対象にした版ODIの検討では、性生活項目の回答率は48.3%にとどまり、この項目が一貫して低い回答率と欠測の多さを理由に事前に解析から除外され、残り9項目(合計点÷45×100)で解析されている2。未回答の領域を0点として合計に含めてはならず、分母(満点)も回答した領域数に合わせて縮めるのが正しい計算である。

解釈とカットオフ

ODIの得点は次の5段階の得点帯で解釈される2。

得点帯 解釈
0〜20% 障害は最小限。多くのに支障がない
20〜40% 中等度の障害。座位・立位・持ち上げなど複数領域に支障
40〜60% 高度の障害。痛みが生活の中心的な問題になっている
60〜80% 重度の障害。移動・身の回りの動作の多くに介助的な制限がある
80〜100% 相当、または症状の誇張が疑われる水準

⭐ 臨床的に意味のある変化の目安は約13点である。 ⚠️ は算出法で大きく変わる。 手術患者を対象にした検討では、算出法によってODIのに5倍の幅が生じた。著者らは()を統計的にも臨床的にも妥当な値と判断し、この集団での値として12.8点(100点満点中)を採用している4。同じ手法によるSF-36 Physical Component Summaryは4.9点、の疼痛スケールは1.2点、下肢痛の疼痛スケールは1.6点であった4。治療前後の比較では、この幅を下回る変化を過大解釈しない。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 画像所見の代わりにはならない。 の原著では、狭窄の形態学的な級も断面積も、ベースラインのOswestry Disability Indexとの関係が見いだせなかった5。画像上の狭窄が強いほどODIが高いとは限らない——ODIが測っているのは「生活への影響」であって「圧迫の強さ」ではない。

⚠️ どの版・どの言語かを確認しないと点数を比較できない。 原著の総説自体が、英語版だけで4種、翻訳版が9種存在し、その一部には誤りがある、または採点方法の説明が欠けていると指摘している1。異なる版・翻訳間で得点をそのまま比較しない。

⚠️ 著作権で保護されたであり、全文を転載できない。 Oswestry Disability Indexの著作権はMapi Research Trustが保有しており、新たな言語への翻訳・異文化適応には同トラストからの許諾が必要である3。臨床・研究で使うときは、この管理下にある版・翻訳を用いる(独自に訳し直した質問文を使わない)。

⚠️ 80〜100%帯は身体的な重症度だけを反映しない。 この帯は「相当」と「症状の誇張」のどちらもありうる区間として扱われる。単独の高得点をもってな重症度を断定しない。

⚠️ 未回答領域の扱いを誤ると点数が動く。 性生活のように未回答になりやすい領域があるため、分母を回答領域数に応じて調整せず一律50点満点で割ると、実際より低い(軽症寄りの)得点が出る。

まとめ

  • ODIはによる日常生活障害を、10領域(疼痛の強さ・身の回りの動作・持ち上げ・歩行・座位・立位・睡眠・性生活・社会生活・旅行)×0〜5点の自己記入で0〜100%に変換する尺度である。
  • 未回答領域は分子・分母の双方から除いて計算する。0〜20%を最小限、80〜100%を相当または症状誇張の疑いとする5段階で解釈する。
  • 臨床的に意味のある変化の目安は約12.8点()。
  • 画像上の狭窄の強さや形態分類とは相関するとは限らず、の原著でも級・断面積のいずれとも関係が見いだせなかった5。
  • 著作権保護されたのため全文転載はできず、版・翻訳を使う。英語版だけで4種、翻訳は9種以上あり、版によって採点方法の記載が不十分なものもある。

出典

  1. 1.The Oswestry Disability Index(Spine (Phila Pa 1976)・2000)抄録で確認した内容。Oswestry Disability Indexが脊椎疾患の代表的な疾患特異的アウトカム指標になっていること、この総説が公表されている版・翻訳・検証方法・正常者と腰痛患者の得点データを整理したものであること、英語版が4種・翻訳版が9種存在すること、その一部に誤りがある、または採点方法の説明を欠くものが含まれること、著者らが本尺度を「妥当で有効な指標(valid and vigorous measure)」と結論づけていること、一方で実際の変化に対する感度や、より障害の重い集団でのROC特性など理解が不十分な点も残ると述べていることを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-08-31
  2. 2.Measurement Properties of the Japanese Oswestry Disability Index in Preoperative Patients With Lumbar Spinal Stenosis: Effect of Pain and Numbness: A Cross-Sectional Study(Health Science Reports・2026)NCBI PMC(PMC13092216)経由で全文を確認した内容。日本語版ODI 2.0が日常生活動作・睡眠・性機能・社会生活に関する10項目から成り、研究目的での使用に外部機関への追加のライセンス取得や許諾が不要な形で公開されていること、各項目が0〜5点で採点され合計点を50で割って100を掛けた値を用いること、ODIの得点帯が0〜20%(minimal)・20〜40%(moderate)・40〜60%(severe)・60〜80%(crippled)・80〜100%(bedbound or exaggerating)に区分されると記載され、この区分の出典としてDavidson M, Keating J. "Oswestry Disability Questionnaire (ODQ)." Australian Journal of Physiotherapy 2005;51(4):270が引用されていること、腰部脊柱管狭窄症の術前患者147例を対象にした本研究では性生活の項目が一貫して低い回答率と欠測の多さを理由に事前に解析から除外され残り9項目(合計点÷45×100)で解析されたこと、性生活項目の回答率が48.3%であったことを確認した。閲覧 2026-08-31
  3. 3.Cross-cultural Adaptation of the Oswestry Disability Index: From English to Ilokano Version(Acta Medica Philippina・2025)Europe PMC REST経由で全文を確認した内容。Oswestry Disability Indexが10領域(疼痛の強さ、身の回りの動作、物を持ち上げる動作、歩行、立位、睡眠、性生活、社会生活を含む)から成る質問票であること、この著作権をMapi Research Trustが保有しており、本研究の翻訳・異文化適応にあたってMapi Research Trustから許諾を得たことを確認した。閲覧 2026-08-31
  4. 4.Minimum clinically important difference in lumbar spine surgery patients: a choice of methods using the Oswestry Disability Index, Medical Outcomes Study questionnaire Short Form 36, and pain scales(The Spine Journal・2008)抄録で確認した内容。腰椎手術患者を対象に複数のMCID算出法を比較したこと、この研究サンプルにおけるOswestry Disability IndexのMCIDが12.8点(100点満点中)であったこと、同じ手法でSF-36のPhysical Component Summaryが4.9点、腰痛の疼痛スケールが1.2点、下肢痛の疼痛スケールが1.6点であったことを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-08-31
  5. 5.Qualitative grading of severity of lumbar spinal stenosis based on the morphology of the dural sac on magnetic resonance images(Spine (Phila Pa 1976)・2010)抄録で、狭窄の級・硬膜嚢断面積のいずれもベースラインのOswestry Disability Index・手術成績と関係が見いだせなかったことを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-08-31