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患者立脚型手関節評価

Patient-Rated Wrist Evaluation

別名
PRWE
臓器系
運動器
科目
Traumatology and Orthopedics
トピック
外傷学 19:橈骨遠位端骨折の原則と治療
構成:症状
疼痛
適用疾患
舟状骨骨折橈骨遠位端骨折

🧠 全体像:PRWE(Patient-Rated Wrist Evaluation)は、など手関節の外傷・疾患で、患者自身に痛みと日常生活の支障を答えてもらう患者立脚型指標である。のやX線所見では捉えきれない「本人にとってどれだけ困っているか」を数値化する点に意味がある。⭐ 覚え方は「疼痛5問+機能10問=0〜100点、高いほど悪い」。

目的と適用場面

内容
目的 手関節の疼痛と機能障害を患者自身の回答で数値化する
対象 ・など手関節周辺の外傷、手関節の慢性疾患全般
使う場面 治療前後の比較、の、リハビリの経過観察1
評価しないもの 画像上の・骨癒合そのもの(患者の症状を測る指標であり、骨折の解剖学的な治り方とは別の軸である)

💡 DRAFFT2試験のように、手術か保存療法かを比較するのにPRWEが選ばれることが多い。 これは「骨がまっすぐ治ったか」ではなく「患者が困っていないか」を最終的な判定基準に置く発想による。

構成要素と配点

⭐ 15項目、各項目0(症状なし)〜10(最悪)の11段階で自己記入する2。

疼痛下位尺度(5項目、合計0〜50点)

項目 内容
1 安静時の疼痛
2 反復する手関節・手の動作をしているときの疼痛
3 重い物を持ち上げるときの疼痛
4 疼痛が最も強いとき
5 疼痛の頻度(どれくらいの割合で痛みがあるか)

疼痛尺度点数=5項目の合計(0〜50点)2。

機能下位尺度(10項目、合計を2で割って0〜50点)

特定活動(6項目)

項目 内容
1 ドアノブを回す
2 肉を切る
3 シャツのボタンを留める
4 椅子から立ち上がるときに手をつく
5 5 kg程度の物を運ぶ
6 トイレットペーパーを使う

(4項目)

項目 内容
1 身の回りの動作(洗面・着替えなど)
2 家事(掃除・洗濯など)
3 仕事(普段の職務・作業)
4 レクリエーション活動

機能尺度点数=特定活動6項目+4項目の合計を2で割った値(0〜50点)2。

PRWE総合点=疼痛尺度点数+機能尺度点数(0〜100点)2。

解釈とカットオフ

点数 意味
0点 疼痛・機能障害なし(最良)
100点 最も強い疼痛・機能障害(最悪)
点数の変化 によるは無く、治療前後の点数差や群間ので解釈するのが基本的な使い方

💡 PRWEはではなく連続尺度である。 「何点以上が異常」という単一の閾値は無く、や群間比較の効果量として読む。DRAFFT2試験では、群とK-wire固定群の12か月時PRWEの調整が−0.34(95%信頼区間−4.33〜3.66)で、両群に臨床的な差が無いと判定された1。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 開発時のテスト(ICC>0.90)・は・患者を対象にした集団で確立されたものである1。手関節の他の病態(、など)へ外挿するときは、その集団での心理測定学的検証を別途確認する。

⚠️ 患者の自己記入に依存するため、・言語の壁・記入への協力が得られない患者ではが低下する。 面接者が代筆する場合は回答の独立性が損なわれうる点に注意する。

⚠️ PRWEは症状の程度を測る指標であり、骨癒合やの良し悪しを直接示すものではない。 DRAFFT2試験で群の13%がを失って手術を要したにもかかわらず、群全体のPRWEに有意差が無かった例のように、画像所見とPRWEの結果が乖離しうることを踏まえて解釈する。

⚠️ 項目ごとの重み付けが疼痛・機能で1:1(各50点満点)である点は固定されている。 患者によって疼痛が主な問題か機能障害が主な問題かは異なるが、総合点だけを見ると内訳が分からなくなるため、疼痛尺度と機能尺度を分けて報告することが推奨される2。

まとめ

  • PRWEは手関節の疼痛・機能障害を患者自身の回答で数値化する15項目の患者立脚型指標である。
  • 疼痛尺度5項目の合計(0〜50点)と機能尺度10項目(特定活動6項目・4項目)の合計を2で割った値(0〜50点)を足し合わせ、0〜100点(高いほど悪い)で表す。
  • 単一ので重症度を分類する指標ではなく、治療前後の変化や群間比較の効果量として用いる。
  • ・患者で確立された・であり、画像所見(・骨癒合)とは別の軸を測っている点に注意する。

出典

  1. 1.Patient Rating of Wrist Pain and Disability: A Reliable and Valid Measurement Tool(Journal of Orthopaedic Trauma・1998)MacDermid・Turgeon・Richards・Beadle・Rothが、患者立脚型の手関節疼痛・機能障害尺度PRWE(Patient-Rated Wrist Evaluation)を開発したこと。信頼性研究は手関節周辺骨折患者99例(橈骨遠位端骨折64例・舟状骨骨折35例)を対象とし、テスト再検査信頼性はICC 0.90超と良好であったこと。妥当性研究は橈骨遠位端骨折患者101例を対象とし、時間経過に伴う有意な変化(p<0.01)を検出できたこと。国際的な手関節研究者100名のエキスパートパネルの意見を反映して開発された15項目の質問票であること閲覧 2026-09-07
  2. 2.Rasch analysis of the patient-rated wrist evaluation questionnaire(Archives of Physiotherapy・2018)PRWEが疼痛下位尺度5項目(安静時・反復動作時・重い物を持ち上げるとき・最悪時の疼痛、疼痛の頻度)と機能下位尺度10項目(特定活動6項目・通常活動4項目)から成ること、各項目が0(症状なし)〜10(最悪)の11段階で評価されること、疼痛下位尺度は5項目の合計(0〜50点)、機能下位尺度は10項目合計を2で割った値(0〜50点)として算出され、両者を合計した0〜100点(点数が高いほど疼痛・機能障害が強い)がPRWE総合点になること閲覧 2026-09-07