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Symptoms · Published

求心性視野狭窄

Concentric visual field constriction

別名
視野狭窄tunnel vision
臓器系
眼科神経
科目
Pharmacology
トピック
薬理学 A21:抗てんかん薬・鎮痛補助薬
起因薬
チオリダジン

🧠 全体像:(に視野の外側から欠損が進む状態)は、「どこから欠損が始まったか」と「進行の速さ」で原因が大きく分かれる病態である。が先行してゆっくり進行すればのような杆体優位の変性を、無症状のまま緩徐に進行すれば緑内障や薬剤性の網膜・を、急性に生じれば血管性・を疑う。さらに、視標を遠ざけても視野が拡大しない「」は疾患ではあり得ない所見であり、非(機能性)を強く示唆する——この1点を知っているかどうかで、無用な精査を避けられる。

定義と用語の整理

  • 「」は視野の周辺部から中心に向かってに狭くなる状態を指し、特定のだけが欠ける・とは区別する。
  • 「」と「」は臨床でほぼ同義に使われるが、後者は欠損のパターン()を明示した表現である。
  • 患者はしないことが多く、「物にぶつかりやすくなった」「暗い場所で見えにくい()」という形で気づかれることがある。

病態生理

視野がに狭くなる機序は、責任部位によって大きく3系統に分けられる。

系統 代表疾患 進行の特徴
網膜(杆体優位) が先行し、を経てに至る緩徐進行
視神経・ 緑内障、 無症状のまま進行し、末期になって初めてされることが多い
薬剤性() 通常は鼻側から始まり、耳側より鼻側視野が広範に欠損する非対称なパターンをとる

杆体は薄暗い環境での視覚()とを担うため、杆体機能が進行性に低下するとが先に出て、その後にの狭小化が続くという順序になる。杆体の大量脱落が進むとや錐体にも波及し、にも影響が及ぶ1。

⚠️ 薬剤性のは不可逆になりうる。 によるは約1/3の患者に生じ、発現は投与開始から数ヵ月〜数年後で、重度の欠損があっても本人が気づかないため検査でしか捉えられない2。既存のがある患者や他の薬を併用中の患者では特に注意する2。

⚠️ 緊急・見逃してはいけない鑑別

状況 見逃してはいけない理由
のある薬剤(、など)を投与中の患者のな 症状に乏しく定期検査でしか捉えられない。発見が遅れるほど不可逆な欠損が拡大する1
緩徐進行だが未診断の・緑内障 末期までされにくく、発見時にはすでに不可逆なが進行していることが多い
急性発症の や慢性緑内障のような緩徐進行の疾患では説明できず、血管性・炎症性の急性病変を疑う

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='concentric visual field constriction'>求心性視野狭窄</span>を疑う"] --> B{"視標を遠ざけると視野は拡大するか"}
    B -->|"拡大する(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='organic (disease)'>器質性</span>)"| C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='night blindness'>夜盲</span>が先行したか"}
    B -->|"拡大しない(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tubular (tunnel) visual field'>管状視野</span>)"| D["非<span class='jp-term jp-term-diagram' title='organic (disease)'>器質性</span>(機能性)<span class='jp-term jp-term-diagram' title='visual disturbance'>視覚障害</span>を検討"]
    C -->|"あり"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinitis pigmentosa'>網膜色素変性</span>など杆体優位の変性を疑う"]
    C -->|"なし"| F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinal toxicity'>網膜毒性</span>のある薬剤の使用歴があるか"}
    F -->|"あり"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='drug-induced retinopathy'>薬剤性網膜症</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='optic neuropathy'>視神経症</span>を疑う"]
    F -->|"なし"| H["緑内障などの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='optic neuropathy'>視神経障害</span>を評価"]

⭐ 「視標を遠ざけても視野が拡大しない」は疾患ではあり得ない所見である。 正常な視野ものも、視標を遠ざければ幾何学的に視野は拡大する。はこの拡大を欠く点で、・を強く示唆する3。

評価の進め方

  • :の有無と発症からの時間関係、のある薬剤(、・など)の使用歴を必ず確認する。
  • :は簡便だが感度に限界があり、やで定量的に評価する。か非かは、検査距離を変えて視野の拡大の有無を見ることで鑑別できる3。
  • (ERG):杆体機能を定量評価し、症状に先行する機能低下を検出できるため、のある薬剤の投与中は定期的なモニタリングに用いられる4。

まとめ

  • は視野がに狭くなる所見で、網膜(杆体優位)・視神経・薬剤性の3系統に責任部位を分けて考える。
  • が先行してから緩徐に進行するパターンはのような杆体優位の変性を示唆する。
  • 薬剤性(特に)のはされにくく不可逆になりうるため、定期的な・によるモニタリングが必須である。
  • 視標を遠ざけても視野が拡大しない「」は疾患ではあり得ず、を疑う手がかりになる。

出典

  1. 1.Retinitis Pigmentosa(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)杆体機能の進行性喪失が夜盲と周辺視野の段階的な狭小化を来し、最終的に杆体の大量脱落が網膜色素上皮と錐体にも悪影響を及ぼすこと、開放隅角緑内障の合併が約2〜12%に見られること、クロロキン・チオリダジンなど薬剤性網膜症も鑑別に挙がることを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Sabril 500 mg film-coated tablets - Summary of Product Characteristics(Sanofi / electronic medicines compendium (emc)・2025)ビガバトリンによる視野欠損が約1/3の患者に生じ発現が投与開始から数ヵ月〜数年後で大半の患者が自覚しないこと、既存の臨床的に問題となる視野欠損がある患者には推奨されず他の網膜毒性薬と併用しないことを確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.Nonorganic Vision Loss(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)非器質性視覚障害の患者は視標を提示する距離を変えても視野の辺縁を一定の距離で認識する管状視野(tubular field、gun barrel field)を呈しうること、正常な視野や器質性病変による視野狭窄では視標を遠ざけるほど視野が拡大するのに対し、非器質性ではこの拡大がみられない点で鑑別できることを確認した閲覧 2026-09-05
  4. 4.サブリル散分包500mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(製造販売元:サノフィ株式会社)・2023)ビガバトリンの視野障害が両側性求心性視野狭窄で通常鼻側からあらわれ耳側より鼻側が広範に欠損すること、外国人成人36.5%・小児20.0%に発現が報告され、視力検査・対座法を少なくとも3ヵ月に一度、網膜電図などによる視野検査を投与開始時・3ヵ月・9ヵ月・12ヵ月・以降少なくとも6ヵ月ごとに行うことを確認した閲覧 2026-09-05