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Symptoms · Published

精巣挙筋反射

Cremasteric reflex

別名
挙睾筋反射
臓器系
生殖・産婦人科神経
科目
PediatricsUrology
トピック
小児科 2-15:小児の外性器・内性器救急泌尿器科学 U-08:泌尿器科救急疾患
関連疾患
精巣付属器捻転

🧠 全体像:は「を撫でると精巣が持ち上がる」という単純なだが、臨床での最大の使い道はの鑑別にある。⚠️ ただし「反射が消失していれば」「反射が保たれていればではない」という単純な読み方は危険である。感度は高いが特異度は限定的で、反射が保たれたままが確認された症例も報告されている。反射所見はあくまで手掛かりの一つであり、確信が持てなければ画像評価・専門科評価を急ぐという原則の外には出られない。

定義と用語の整理

()は、の皮膚を撫でて誘発するで、の収縮により同側の精巣が方向へ引き上げられる現象を指す1。

用語 内容
の皮膚刺激で誘発される、収縮による同側精巣の挙上
・回腸鼠径神経の(の皮膚から)
の(L1・L2由来)(へ)

病態生理:反射弓

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inner thigh'>大腿内側</span>の皮膚を撫でる"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='genitofemoral nerve'>生殖大腿神経</span>・回腸鼠径神経の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='sensory afferents'>感覚線維</span>が刺激される"]
    B --> C["L1・L2脊髄神経核へ入力"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='genitofemoral nerve'>生殖大腿神経</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='motor efferents'>運動線維</span>が興奮"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cremaster muscle'>精巣挙筋</span>が収縮"]
    E --> F["同側の精巣が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inguinal canal'>鼠径管</span>方向へ挙上する"]

が成立するには、(の知覚)・・(への)・精索そのもののすべてが機能している必要がある1。精索がねじれて血流だけでなく神経の走行も障害されるでは、こののどこかが破綻し反射が消失しやすい。一方、精索そのものは無傷で精巣の付属器だけがねじれるでは、は障害されず反射が保たれる2。

⚠️ 見逃してはいけないもの

⚠️ はに対して感度100%・特異度66%と報告されている3。感度の高さから「反射があれば捻転は否定的」と考えたくなるが、に反射が保たれている症例も報告されており、この検査は100%特異的ではない1。

所見
消失することが多い(感度100%・特異度66%)3 保たれる2
精索・精巣血流 障害される 保たれる

⭐ 反射が保たれていてもを除外できない以上、臨床的疑いが残ればを自由に適用すべきである1。反射所見だけで帰宅させる判断はしない。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute scrotal pain'>急性陰嚢痛</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cremasteric reflex'>精巣挙筋反射</span>を評価"] --> B{"反射は保たれているか"}
    B -->|"消失"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='testicular torsion'>精巣捻転</span>を強く疑うが確定はできない"]
    B -->|"保たれている"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='testicular torsion'>精巣捻転</span>を否定できない<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='adnexal torsion'>付属器捻転</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='epididymitis'>精巣上体炎</span>なども考える"]
    C --> E["緊急<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Doppler ultrasonography'>ドプラ超音波</span>・泌尿器科コンサルト"]
    D --> F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='upper pole (of kidney)'>上極</span>限局の圧痛・血流保持など<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='adnexal torsion'>付属器捻転</span>を示唆する所見はあるか"}
    F -->|"あり"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='torsion of the testicular appendage'>精巣付属器捻転</span>として保存的加療を検討"]
    F -->|"疑わしい・確信が持てない"| E
  • 反射消失はを強く疑う根拠になるが、確定診断の根拠にはしない。
  • 反射が保たれていても、他の所見(限局の圧痛、ドプラでの血流保持)と合わせて総合的に判断する。確信が持てなければ画像評価・専門科評価を優先する。

まとめ

  • は、の刺激で精索を含む(L1・L2)を介してが収縮し精巣が挙上する現象である。
  • ⚠️ で反射消失は感度100%・特異度66%とされるが、反射が保たれていてもを否定できない——この検査は100%特異的ではない。
  • 精索が無傷なではが障害されず反射が保たれ、これがとの鑑別点の一つになる。
  • 反射単独では確定も除外もできず、確信が持てなければ・専門科評価を急ぐ。

出典

  1. 1.Cremasteric Reflex(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)精巣挙筋反射が男性に見られる浅在反射で、大腿内側の皮膚を撫でることで生殖大腿神経・回腸鼠径神経の感覚線維が刺激され、L1・L2脊髄神経核に由来する生殖大腿神経の運動線維を介して精巣挙筋が収縮し同側の精巣が鼠径管方向へ引き上げられること、精巣捻転に反射が保たれている症例も報告されておりこの検査は100%特異的ではなく、反射が存在しても精巣捻転を否定できずドプラ超音波を自由に適用すべきであること。閲覧 2026-09-05
  2. 2.Appendix Testis Torsion(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)精巣付属器捻転では精索・精巣動脈が無傷であるため精巣挙筋反射が保たれる点が、精索そのものがねじれる精巣捻転との鑑別点になること。閲覧 2026-09-05
  3. 3.EAU Guidelines on Paediatric Urology — Acute Scrotum(European Association of Urology (EAU)・2026)精巣捻転において精巣挙筋反射の消失単独では感度100%・特異度66%と報告されており、感度は高いが特異度は限定的でこれ単独で精巣捻転を確定も除外もできないこと。閲覧 2026-09-05