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Symptoms · Published

血管雑音

Vascular bruit

別名
ブルイbruit
臓器系
循環器
科目
Cardiology, Heart Surgery, Angiology, Vascular Surgery
トピック
循環器内科 B-08:動脈疾患の臨床像・身体診察・画像検査と糖尿病足循環器内科 B-17:腎・内臓血管の閉塞性・動脈瘤性疾患と人工動静脈瘻・血液透析アクセス
関連疾患
動静脈瘻

🧠 全体像:(ブルイ)は「心臓の雑音」ではなく、血管そのもの——頸動脈・・・など——を通る血流が化したときに聴こえるシュー音である。と混同しやすいが、部位が心臓の弁口ではなく血管の走行上にある点が最大の識別点になる。学習の軸は二つ:①どこでが生じるか(狭窄か、短絡か)という機序、②その雑音が「たまたま聴こえた」なのか「今すぐ評価すべき所見」なのかを見分けることである。

定義と用語の整理

(bruit、ブルイ)は、非心臓性の血管上で器を用いて聴取されるのシュー音・ザーザー音を指す1。

用語 内容
頸動脈・・・など、血管そのものの上で聴かれる雑音
心臓の弁口・で生じ、心臓の部位(・など)で聴かれる
収縮期・拡張期の両方にまたがって持続する雑音。・など短絡病変に特徴的2

⚠️ 「」と「」は部位で区別する。 同じシュー音でも、心臓の弁口上で聴こえれば、頸部・腹部・など末梢血管上で聴こえればである。両者が同時に存在することもある(の雑音が頸部へ放散する場合など)。

病態生理:なぜ雑音が生じるか

は、内腔が狭くなる(狭窄)か、本来つながっていない血管どうしが直接つながる(短絡)かのいずれかで血流が化することで生じる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular lumen'>血管内腔</span>の狭窄<br>(動脈硬化・炎症・外的圧迫)"] --> B["同一断面積を通る<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blood velocity'>血流速度</span>が上昇"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Reynolds number'>レイノルズ数</span>が臨界値を超え<span class='jp-term jp-term-diagram' title='turbulent flow'>乱流</span>化"]
    C --> D["血管壁の振動として<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bruit'>血管雑音</span>が生じる"]
    E["動脈と静脈が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='capillary bed'>毛細血管床</span>を介さず直接交通<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arteriovenous fistula'>動静脈瘻</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arteriovenous malformation (AVM)'>動静脈奇形</span>)"] --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high flow'>高流量</span>・低抵抗の短絡血流"]
    F --> G["収縮期・拡張期を通じた持続的な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='turbulent flow'>乱流</span>"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='continuous'>連続性</span>の機械様雑音を生じる"]
  • 狭窄性の雑音は、が50%を超えるあたりから聴取されやすくなり、頸動脈雑音では聴取患者の約3分の1が70〜90%の血行動態的に有意な狭窄を有する1。ただし狭窄が高度になりすぎて血流そのものが乏しくなると、逆に雑音が減弱・消失することがある。
  • 短絡性の雑音(AVF・)は、動脈血がを経ずに静脈へ流入し続けるため、収縮期だけでなく拡張期にも血流が持続し、収縮期・拡張期の両方にわたるの機械様雑音として聴こえる2。

⚠️ 見逃してはいけないもの

  • 頸動脈雑音:を示唆しうるが、感度は24〜84%と幅が広く非特異的な所見であり、「雑音が無い=狭窄が無い」とは言えない1。・脳卒中の既往がある患者で聴取すれば、症候性の評価(など)を急ぐ根拠になる。
  • 腹部・の:による続発性高血圧を示唆する所見であり、若年発症・急速に進行する高血圧、抵抗性の高血圧では積極的にする3。の腹部腫瘤に雑音を伴えばも鑑別に挙げる。
  • 透析用(AVF)でのの消失・急な変化:血栓症・によるアクセス機能不全を示唆し、緊急の評価を要する所見である2。

⭐ 無症候性の頸動脈雑音であっても、の年間は約1〜3%にとどまり、多くは脳卒中に進展せず自然に消退することもある1。雑音の存在そのものよりも、症候性か無症候性か、狭窄がどの程度進行しているかを重視する。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["血管上でシュー音・ザーザー音を聴取"] --> B{"聴取部位はどこか"}
    B -->|"頸部"| C["症候性か(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transient ischemic attack'>TIA</span>・脳卒中の既往)を確認"]
    C -->|"症候性"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='carotid ultrasonography'>頸動脈超音波</span>を急ぐ"]
    C -->|"無症候性"| E["危険因子を評価し経過を見る"]
    B -->|"腹部・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lumbar region (flank)'>側腹部</span>"| F["若年発症・急速進行・抵抗性の高血圧か"]
    F -->|"該当あり"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal artery stenosis, RAS'>腎動脈狭窄</span>を疑い画像評価"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dialysis access'>透析アクセス</span>上"| H{"雑音は普段どおりか"}
    H -->|"消失・急な変化"| I["血栓症・狭窄として緊急評価"]
    H -->|"変化なし"| J["定期評価を継続"]
  • まず聴取部位で頸部・腹部・上のどれかを見極める。
  • は症候性かどうかでが変わる。腹部雑音は高血圧の臨床像(若年発症・急速進行・抵抗性)と組み合わせて解釈する。
  • 上の雑音は「聴こえるか」ではなく「いつもと違うか」が評価の要点になる。

まとめ

  • は、血管の狭窄または短絡によるが原因で、部位が血管上にある点でと区別する。
  • 狭窄性の雑音は50%超あたりから聴取されやすくなるがでは逆に減弱しうる。短絡性の雑音(AVFなど)は収縮期・拡張期にわたるになる。
  • ⚠️ 頸動脈雑音は感度24〜84%と非特異的で「無ければ否定できる」所見ではない。腹部・の雑音はを、上の雑音の消失・急な変化は血栓症・狭窄を示唆し緊急評価を要する。
  • 症候性か無症候性か、普段と変化があるかを、雑音の有無そのものより重視する。

出典

  1. 1.Carotid Bruit(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)血管雑音(bruit)が非心臓性血管上で聴取される高調性のシュー音であり、内腔狭窄が50%を超えると乱流によって生じやすいこと。頸動脈雑音の感度は24〜84%と幅が広く非特異的な所見であること、聴取される患者の3分の1は70〜90%の血行動態的に有意な狭窄を有すること、無症候性頸動脈雑音の患者における脳血管障害の年間発生率は約1〜3%にとどまり、多くの無症候性雑音は脳卒中に進展せず自然消退することもあること。閲覧 2026-09-05
  2. 2.Arteriovenous Fistula(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2022)機能している動静脈瘻(AVF)では、聴診で収縮期・拡張期の両方にわたる連続性の機械様雑音が聴取されること。閲覧 2026-09-05
  3. 3.Renal Artery Stenosis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)腎動脈狭窄の身体所見として腹部・側腹部の血管雑音が挙げられ、末梢血管疾患を示唆する所見(遠位動脈拍動の減弱など)を伴うことが多いこと。閲覧 2026-09-05