Biochemistry

Biochemistry · 5/2

膜構成脂質;シグナル分子の前駆体

Membrane-forming lipids; precursors of signaling molecules — S I

疾患
Gaucher病ライソゾーム病

🧠 は「リン脂質・・コレステロールの海に、タンパク質が浮かぶモザイク」で読む。 脂質の頭部(、hydrophilic)と尾部(疎水性、hydrophobic)の組み合わせで、などの構造がされる。膜脂質の一部(PIP₂・を含むリン脂質)はの前駆体でもあり、の欠損はを起こす。

膜の3成分

脂質・タンパク質・糖質の3成分からなる。

成分 内容
脂質 リン脂質・・コレステロール
タンパク質 ・表在性
糖質 の一部

リン脂質

グリセロール-3-リン酸の2つのが脂肪酸で(疎水性の尾)され、リン酸がアルコールでの頭)される。

リン脂質 略称
ホスファチジン酸 phosphatidic acid
PC
ホスファチジルエタノールアミン PE
ホスファチジルグリセロール phosphatidylglycerol
-4,5- PIP₂
cardiolipin

💡 (プラズマローゲン plasmalogen)は心臓・脳に多い。 通常のの代わりにをもつ特殊なリン脂質で、心臓のPCの30–40%、脳の全リン脂質の30%、のPEの70%を占める。や、に関わる構造を作りやすい3D形状が示唆されている。

スフィンゴ脂質

を基本骨格とする。

種類 特徴・分布
sphingomyelin
肝・脾に多い(糖、glycosphingolipid)
ニューロンに多い、(C24)を含む
のC3に多い)
(GM1, GM3) 中枢・に多い

💡 の主な役割は は細胞-に働く(もこの一種)。

脂質の自己組織化と膜構造モデル

リン脂質・で、形と濃度に応じてを自発的に形成する。では、タンパク質がに埋め込まれ、できる。

  • 非対称性: の内葉・外葉で脂質組成が異なる。
  • 局在差: は主にミトコンドリア・細菌に存在。
  • の因子: 温度、脂肪酸の飽和/、コレステロール含量。など複数の相状態をとる。
  • : 膜の水平方向の脂質組成も不均一で、厚み・の異なる領域を作る。

シグナル伝達の前駆体としての膜脂質

膜のリン脂質は、単なる構造成分でなくシグナル分子の前駆体プールでもある。代表がPIP₂(phosphatidylinositol-4,5-bisphosphate)で、(phospholipase C)によりIP₃(イノシトール三リン酸、inositol trisphosphate)DAG(、diacylglycerol)に切断され、細胞内Ca²⁺放出(intracellular Ca²⁺ release)とPKC(C、protein kinase C)活性化の2次メッセンジャーになる。またから遊離されるは、(eicosanoid:プロスタグランジン・)の前駆体になる(06-02-eicosanoids-prostaglandins-thromboxane-and-leukotrienes-cyclooxygenase)。

医学的に重要な特殊脂質構造

を包む膜ので、としてを上げる( nodes of Ranvier間のみでが生じる)。

  • 組成:約40%水、乾燥重量の70–85%が脂質(ガラクトセレブロシド・・コレステロールが主体)という、非常に高い脂質含量。
  • タンパク質はCNS(中枢神経系、central nervous system)とPNS(、peripheral nervous system)で異なる(CNS:50%・塩基性タンパク(myelin basic protein、MBP)30%・MAG(myelin-associated glycoprotein)・MOG(myelin oligodendrocyte glycoprotein)/PNS:P0(protein zero)・PMP22(peripheral myelin protein 22)・MBP)。
  • 出生後最初の2年間で急速に形成され、脳のとともに脂質のが非常に高い。

⚠️ ビタミンB12欠乏などで起こる。 遺伝性・代謝性・感染性・自己免疫性の障害で成分が壊れると、特徴的な神経症状を呈する。

脂質蓄積症

生理的な回転では、を分解する。これらの酵素いずれかが遺伝的に欠損すると、基質脂質がリソソームに蓄積し、を形成して・細胞死を招く。

肝脾腫と神経症状はこのに共通。 高い貪食活性をもつ組織(肝・脾)が腫大し、含量が高くまた回転の速い神経系(特に発達初期)が強く障害される。代表例:Tay-Sachs病( hexosaminidase A欠損)、欠損)、Niemann-Pick病(スフィンゴミエリナーゼ sphingomyelinase欠損)。

まとめ

  • 膜は脂質(リン脂質・・コレステロール)・タンパク質・糖質からなり、で理解する。
  • リン脂質は等を作る。(プラズマローゲン)は心・脳に多い。
  • )はに働く。は脂質含量が非常に高い特殊膜構造。
  • PIP₂→IP₃/DAG、と、膜脂質はシグナル分子の前駆体でもある。
  • リソソーム酵素欠損による蓄積症は肝脾腫と神経症状を特徴とする。