生物物理学

生物物理学 · 26.05

NMR分光法とESR分光法の違い

Differences between NMR and ESR spectroscopy

🧠 NMRは核、は不対電子の準位間遷移を測る。 基本式は共通だが、電子のが核より大きいため、必要なの周波数帯と得られる情報が異なる。

共通する共鳴原理

核磁気共鳴と電子共鳴(electron spin resonance; 、EPRともいう)は、いずれも静磁場で分裂した磁気準位にを与え、

ω0=∣γ∣B0\omega_0=|\gamma|B_0

を満たすときの吸収を観測する。これはと共鳴条件に共通する物理である。

観測対象と情報の違い

観点 NMR / EPR
観測対象 1^1H、13^{13}Cなどをもつ原子核 ラジカルや遷移金属中の不対電子
一般的な励起
主な環境情報 、核間結合、緩和 gg因子、超微細相互作用、電子周囲の
生物医学的用途 分子構造解析、MR、 、常磁性中心、標識の解析

電子の∣γ∣|\gamma|とは多くの核より大きく、同じB0B_0ならの共鳴周波数はNMRより高い。したがって「NMRは必ずこの周波数、は必ずこの周波数」と暗記するより、観測粒子のγ\gammaが周波数帯を決めると考える。

flowchart TD
  A["静磁場で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Zeeman'>ゼーマン</span>準位を形成"] --> B{"観測する<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spin'>スピン</span>"}
  B -->|"原子核"| C["RF で NMR"]
  B -->|"不対電子"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='microwave'>マイクロ波</span>で <span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythrocyte sedimentation rate'>ESR</span>"]
  C --> E["核の化学環境・緩和を解析"]
  D --> F["ラジカル・常磁性中心を解析"]

試料選択と医学的接続

NMRは不対電子を必要とせず、水素核が豊富な生体組織をそのまま信号源にできる。は不対電子をもつ試料に限られるが、に関わる短寿命ラジカルや標識を選択的に調べられる。

の画像信号はNMRを空間したものであり、画像には次に扱うと横緩和が関与する。

まとめ

NMRとは観測するは異なるが、磁場中の準位差と共鳴遷移を用いる。12

  • NMRとはともに、準位差とが一致する磁気共鳴を利用する。
  • NMRは核、は不対電子を観測する。
  • 磁気回転比の違いが、一般にNMRの帯との帯を分ける。
  • NMRは分子構造・、はラジカル・常磁性中心の解析に強みをもつ。

出典

  1. 1.Magnetic resonance spectroscopy(Science Progress・2017)NMRとESRを含む磁気共鳴分光の原理と用途閲覧 2026-08-21
  2. 2.Spin Hyperpolarization in Modern Magnetic Resonance(Chemical Reviews・2023)スピン物理に基づくNMR・MRIの情報取得閲覧 2026-08-21