婦人科学

婦人科学 · 09

バリア・化学的避妊法と自然避妊法

Barrier and chemical contraceptives. Natural contraceptive methods

前提:正常
女性性内分泌学受精

🧠 全体像:は精子がへ到達するのを妨げ、は避妊と同時に性感染症リスクも低減する。自然避妊法は妊孕性徴候を追う必要があり、は「無月経・完全またはほぼ完全母乳・産後6か月未満」の3条件がそろう間だけ有効である。

バリア法・化学的避妊法

方法 使用法 重要点
性器接触前から装着し、後は基部を押さえて ・リスクを低減するが完全には防がない
内輪を腟内へ挿入し、外輪でを覆う と同時使用しない。性交後に除去する
製品指示の時間に腟内へ入れ、性交ごとに再使用 単独では失敗率が高い。nonoxynol-9は感染を防がないうえ、性器病変を増やして害になりうる(感染の相対危険1.12で有意差なし、性器病変の相対危険1.18、p=0.02)1
と併用し子宮頸部を覆う 性交後少なくとも6時間保持し、製品の上限を超えない

💡 予防効果が確立しているのはであり、・ホルモン法・だけではを防げない。内用(女性用)はでと同程度の防御効果が示されている。については性感染症の病原体を防ぐことを示唆する観察研究があるが、根拠はよりはるかに限定的で、予防を目的に選ぶ方法ではない。2

永久避妊

精管切除術

  • を遮断するが、術直後は遠位精路に精子が残る。
  • 8〜16週頃の術後で無精子または許容される非運動精子を確認するまで、別の避妊法を続ける。
  • 永久法として意思決定し、再吻合で妊孕性が必ず回復するとは説明しない。

卵管永久避妊

妊孕性認識法

方法 原理 限界
26〜32日周期では8〜19日目をとして避妊なし性交を避ける 周期が範囲外なら不適
過去の最短周期−18から最長周期−11までをと推定 周期変動に弱い
法 透明・の高い粘液を妊娠とする 感染、授乳、薬剤で判定困難
法 排卵後ので体温が上がる 排卵後確認であり事前予測には弱い
腟外 前に陰茎を 実行依存性が高く、を防がない

⚠️ 「自然避妊法」を一つの方法としてまとめない。 53研究の系統的レビューでは、1年目のが100女性年あたりSensiplanの1.8からPersonaの25.6、Billings法の10.5〜33.6までと、方法によって桁が違った。完全使用でもSensiplan 0.4からPersona 12.1まで開く。高品質の研究は1件も無く、集団の違いから方法間の直接比較もできない。3

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='menstrual cycle'>月経周期</span>を記録"] --> B["カレンダー・粘液・体温などを観察"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fertile window'>妊娠可能期間</span>を推定"]
    C --> D["その期間は性交を避けるか<span class='jp-term jp-term-diagram' title='barrier method'>バリア法</span>を使用"]
    D --> E["周期変動や記録不良で失敗率が上がる"]

授乳性無月経法

次の3条件をすべて満たす場合に限り、産後の一時的避妊法として高い効果を得られる。

  1. 月経が再開していない。
  2. 完全またはほぼ完全に母乳で栄養している。
  3. 産後6か月未満である。

いずれかを満たさなくなった時点で、別の避妊法へ移行する。厳密な「昼4時間・夜6時間」の間隔だけで判定せず、・搾乳・授乳頻度の変化も含めて評価する。

まとめ

  • は避妊に加えてリスクを低減する可逆的避妊法で、も外用と同程度の防御効果がある。単独はを防がず、nonoxynol-9はむしろ性器病変を増やす。
  • 切除後はで成功を確認するまで別の避妊法が必要である。
  • LAMは無月経、完全またはほぼ完全母乳、産後6か月未満の3条件がそろう間だけ用いる。は方法ごとに失敗率が大きく異なるため、ひとまとめの「自然避妊法」として扱わない。

出典

  1. 1.Nonoxynol-9 for preventing vaginal acquisition of HIV infection by women from men(Cochrane Database of Systematic Reviews・2002)無作為化比較試験5件のレビューで、ノノキシノール-9を使用した women のHIV感染リスクに有意差が無かった(相対危険1.12、95%信頼区間0.88〜1.42)こと。一方で**性器病変のリスクは有意に高かった**(相対危険1.18、1.02〜1.36、p=0.02)こと。ノノキシノール-9が腟からのHIV感染を防ぐという根拠は無く、**性器病変を増やすことで害を与えうる**こと閲覧 2026-08-21
  2. 2.Effectiveness of female controlled barrier methods in preventing sexually transmitted infections and HIV: current evidence and future research directions(Sexually Transmitted Infections・2005)無作為化比較試験により、**内用(女性用)コンドームが外用コンドームと同程度に性感染症を防ぐ**ことが示されていること。ダイアフラムが性感染症の病原体を防ぐことを示唆する観察研究があるが、これはコンドームの根拠より限定的であること閲覧 2026-08-21
  3. 3.Effectiveness of Fertility Awareness-Based Methods for Pregnancy Prevention: A Systematic Review(Obstetrics & Gynecology・2018)53研究の系統的レビューで、妊孕性認識法の**通常使用1年目の妊娠率は方法によって大きく異なる**こと(中等度品質の研究で100女性年あたり、標準日法11.2〜14.1、TwoDay法13.7、Billings法10.5〜33.6、基礎体温法9.0〜9.8、Sensiplan 1.8、Persona 25.6)。完全使用でも標準日法4.8、TwoDay法3.5、Sensiplan 0.4、Persona 12.1と幅があること。**高品質の研究は1件も無く**、集団の違いから方法間の直接比較はできないこと閲覧 2026-08-21