Gynecology

Gynecology · 16

外陰・腟の悪性腫瘍

Malignant tumors of the vulva and vagina

前提:正常
女性生殖:子宮頸部・腟・外陰部泌尿生殖器系:生殖器系
疾患
外陰癌

🧠 全体像:外陰・腟の扁平上皮系腫瘍は、HPV関連経路とHPV非依存経路を区別する。外陰・腟病変は症状や色調が多彩であるため、疑わしい病変を生検し、病理型・浸潤深度・隣接臓器浸潤・リンパ節で治療を組み立てる。

外陰上皮内病変

VIN 1〜3という3段階分類は旧分類である。現在は次の用語を用いる。

現行分類 主な機序 意義
外陰扁平上皮内病変(vulvar low-grade squamous intraepithelial lesion:vulvar LSIL) 低リスクHPVによる産生性感染 旧VIN 1を含み、通常は癌とは扱わない
(vulvar high-grade squamous intraepithelial lesion:vulvar L) 高リスクHPV関連。喫煙、免疫抑制も関与 旧usual-type VIN/VIN 2・3に相当する
HPV非依存。など慢性皮膚疾患と関連 浸潤癌への進展リスクが高く、見逃しに注意
  • 約半数は無症状で、症状があれば掻痒が多い。
  • 病変は隆起性またはで、白、赤、桃、灰、褐色など多彩である。
  • 疑わしい病変は生検する。浸潤が疑われればで評価する。
  • vulvar Lは切除、レーザー、選択例でなどを用いる。dVINは切除が基本である。

外陰Paget病

乳房外Paget病は、閉経後に多い稀なである。

  • 長期間続く掻痒・圧痛と、境界明瞭な湿疹様紅斑・白色局面を示す。
  • 恥丘、大腿、臀部へ広がることがある。
  • 生検では大型で淡明なPaget細胞を認める。
  • 局所切除を基本とするが、病変境界を越えた進展や再発がありうる。浸潤と皮膚付属器・尿路・消化管などの関連癌を評価する。

外陰癌

発癌経路と臨床像

経路 特徴
HPV関連型 若年側に多く、vulvar L、喫煙、免疫抑制と関連
HPV非依存型 高齢者に多く、やdVINを背景とし、TP53異常を伴うことがある
  • 最多はで、ほかに黒色腫、腺癌、Bartholin腺癌、Paget病、転移性癌がある。
  • 外陰腫瘤、長期間の掻痒、潰瘍、出血、疼痛で発症する。隆起、など外観だけでは区別できない。
  • が最も多く、、会陰にも生じる。
  • 生検で確定し、と隣接臓器を評価する。下部生殖器のHPV関連多発病変にも注意する。

FIGO 2021病期

病期 要点
I 外陰に限局
IA 腫瘍≤2 cmかつ≤1 mm
IB 腫瘍>2 cmまたは>1 mm
II 下部尿道・下部腟・下部肛門へ進展し、リンパ節陰性
IIIA 上部尿道・上部腟、膀胱・直腸粘膜への進展、または≤5 mmの非固定リンパ節転移
IIIB >5 mmの所属リンパ節転移
IIIC 所属リンパ節転移に
IVA 骨盤骨へ固定、または固定・した所属リンパ節
IVB 遠隔転移

治療原則

  • 早期扁平上皮癌は腫瘍径・浸潤深度・正中からの距離に応じた局所切除を行い、適応例ではを用いる。
  • 進行癌では手術、放射線治療、を組み合わせる。
  • 一律の+両側リンパ節郭清ではなく、根治性と機能温存・合併症軽減を両立させる。
  • 外陰黒色腫は皮膚黒色腫としてなどで病期を決める。「全例3 cm」という旧来の扱いは現行の一律基準ではない。

腟上皮内病変

はCIN・外陰病変より稀で、上部1/3に多い。

  • 多くは無症状で、子宮摘出後またはのない患者の異常細胞診を契機に発見される。
  • で確定する。
  • 病変はも多く経過観察し、病変は切除、レーザー、外用療法など病変範囲に応じて治療する。

腟癌

  • 原発性は稀で、扁平上皮癌が最多である。腺癌、黒色腫、などもある。
  • 頸癌またはそのの既往がリスクとなる。
  • 性交後・閉経後・、尿路症状を示し、上部1/3後壁に多い。
  • 小児のは、ぶどう房状に突出するである。

DES曝露の歴史的背景

は1940〜1971年頃に妊婦へ使用された。胎内曝露は若年発症の腟・子宮頸部明細胞腺癌、、上部腟・子宮頸部・子宮の形成異常と関連する。これは歴史的曝露だが、曝露者には個別の長期追跡が必要である。

病期と治療

範囲
I 腟壁に限局
II 腟傍組織へ進展するが骨盤壁には達しない
III 骨盤壁へ進展
IVA 膀胱・直腸粘膜または真骨盤外へ直接進展
IVB 遠隔転移

生検で診断し、早期は手術または放射線治療、II〜IVA期では放射線治療を中心にを検討する。治療は腫瘍位置、組織型、既往放射線治療、臓器機能に合わせる。

flowchart TD
    A["外陰・腟の疑わしい病変"] --> B["生検で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='histology'>組織診</span>断"]
    B --> C["上皮内病変"]
    B --> D["浸潤癌"]
    C --> E["HPV関連か非依存かを分類"]
    E --> F["病変範囲と浸潤疑いに応じて切除・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ablation'>焼灼</span>・外用療法"]
    D --> G["局所進展・リンパ節・遠隔転移を評価"]
    G --> H["手術・放射線・薬物療法を個別化"]

まとめ

  • 外陰はvulvar LSIL、vulvar L、dVINで整理し、旧VIN 1〜3分類と混同しない。
  • ではHPV関連経路と・dVINを背景とするHPV非依存経路がある。
  • は稀だが、異常出血や頸癌既往、DES胎内曝露を手掛かりに生検し、病期に応じて手術・放射線・薬物療法を選ぶ。