組織病理学

組織病理学 · H1-030

胆石症

SPECIMEN - Cholelithiasis

描出疾患
胆石症

🧠 全体像:(cholelithiasis)は胆道内に結石が形成される病態で、とが中心である。肉眼では色だけでなく、断面、硬さ、表面、形成部位を合わせて判定する。

胆石の分類

種類 ・外観 形成に関わる条件
コレステロール石 コレステロール主体、淡黄〜黄白色 胆汁のコレステロール、結晶、胆嚢運動低下
黒色色素石 ビリルビンカルシウム主体、黒色で硬い 、肝硬変、加齢など
褐色色素石 褐色で比較的軟らかい 胆管内感染、胆汁うっ滞
混合石・複合石 コレステロール、色素、が混在 複数の形成機序
石 白色調の主体 比較的まれ

コレステロール石が多数を占める地域は多いが、割合は集団・地域で異なるため、な比率では分類しない。先進国ではコレステロール石が優位で黒色色素石は15%程度だが、東アジアでは胆道感染や寄生虫に関連する褐色色素石が胆管内・に生じる。胆石保有率そのものも、アメリカ先住民60〜70%、先進国の白人成人10〜15%、黒人・東アジア・サハラ以南アフリカではさらに低いと差が大きい1。

💡 結石の型は、できた場所で見分ける方が確実である。 胆嚢内の結石は主にコレステロール石か黒色色素石、胆管内の結石は大半が褐色色素石(ビリルビンカルシウム石)という対応がある。胆嚢結石患者の10〜15%は胆管結石を合併し、胆嚢結石を伴わない原発性胆管結石は西欧より東アジアに多い。原発性と続発性の胆管結石は発生機序が異なると考えられており、疫学・機序・分類は結石の存在部位ごとに分けて扱う2。

形成機序

flowchart TD
    A["胆汁組成の変化"] --> B["コレステロール<span class='jp-term jp-term-diagram' title='supersaturation'>過飽和</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unconjugated bilirubin'>非抱合ビリルビン</span>増加"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mucins'>ムチン</span>などを核に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crystallization'>結晶化</span>"]
    D["胆嚢運動低下・胆汁うっ滞"] --> C
    E["溶血または胆道感染"] --> B
    C --> F["結晶の成長・凝集"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gallstone formation'>胆石形成</span>"]

肉眼標本で見る形態

  • 相互に接して成長した結石は、圧迫面が平らな多面体状のを示す。
  • 単一の黄色い大型石はコレステロール石を示唆するが、外観だけでは成分を断定できない。
  • 黒色・褐色の色素石、層状の混合石・複合石、白色の石を区別する。

合併症

結石の位置・移動 起こりうる病態
胆嚢頸部・ 胆石発作、急性・
、
十二指腸乳頭部 胆石性
腸管へ

長期のはを介してのリスクと関連するが、胆石が直ちに癌を意味するわけではない。発癌のは長期の慢性炎症そのものであり、結石を伴う場合(lithiasic)でも伴わない場合(non-lithiasic)でも同じである。実際にはの大半が、有症状の胆石に対するのあとに偶発的に見つかっている3。

まとめ

  • 胆石はコレステロール石、黒色・褐色色素石、混合石などに分類する。
  • 、、胆汁うっ滞が結石形成の三要素である。
  • 色素石は黒色と褐色で形成機序が異なる。
  • 合併症は胆嚢炎、胆管炎、、などである。

出典

  1. 1.Gallstone disease: Epidemiology of gallbladder stone disease(Best Practice and Research Clinical Gastroenterology・2006)胆石保有率は集団で大きく異なり、アメリカ先住民では60〜70%、先進国の白人成人では10〜15%、黒人・東アジア・サハラ以南アフリカではさらに低い。先進国ではコレステロール石が優位で黒色色素石は15%だが、東アジアでは胆道感染や寄生虫に関連する褐色色素石が胆管内あるいは肝内胆管(肝内結石症)に生じる。変えられない危険因子は女性・加齢・民族/家族歴、変えられるものは肥満、メタボリック症候群、急速な減量、肝硬変やCrohn病、胆嚢うっ滞である。閲覧 2026-08-24
  2. 2.Gallstone disease: Epidemiology, pathogenesis, and classification of biliary stones (common bile duct and intrahepatic)(Best Practice and Research Clinical Gastroenterology・2006)胆嚢結石患者の10〜15%が胆管結石を合併する。胆嚢内の結石は主にコレステロール石か黒色色素石であるのに対し、胆管結石の大半は褐色色素石(ビリルビンカルシウム石)である。胆嚢結石を伴わずに胆管内で形成される原発性胆管結石は西欧より東アジアに多く、原発性と続発性では発生機序が異なると考えられる。したがって胆石の疫学・機序・分類は、結石の存在部位によって分けて考える必要がある。閲覧 2026-08-24
  3. 3.Gallbladder cancer(Nature Reviews Disease Primers・2022)胆嚢癌は胆道系で最も多い癌だが症状に乏しく、大半は有症状の胆嚢結石に対する胆嚢摘出術の後に偶発的に発見される。発癌の重要な駆動因子は長期にわたる慢性炎症であり、これは結石を伴う場合(lithiasic)でも伴わない場合(non-lithiasic)でも同じである。根治が期待できるのは外科的切除のみで、切除可能な症例はごく少ない。閲覧 2026-08-24